マウスコンピューターの11.6型ウルトラブックは日本人のこだわりを満たす
カーボンファイバー採用で985gを実現したウルトラブック、LuvBook X
筐体3面にカーボンファイバーを贅沢に使用
LuvBook Xシリーズは、高価だが軽くて丈夫なカーボンファイバーをボディーに多用し、軽さと堅牢性を両立させたことがウリだ。カーボンファイバーを採用したウルトラブックは市場に存在する。例えばデルの「XPS13」は底面部分に使用しているが、天板・底板・キーボード面の3面に使用している例はまだ珍しい。
その理由は単純でカーボンファイバーの成型には非常に手間がかかるからだ。手順としては編みこんだ炭素繊維を加熱して化学変化を起こし硬化させる。この際に変形が起きることがあり、実際に部品として利用できるものの割合(歩留まり)が著しく低い。
LuvBook Xでは、自動車のボンネットを思わせる曲面を各辺に用意しており、かつアイソレーションタイプのキーボードを実現するために、たくさんの穴も開けなければならない。
本機は東レ製のカーボンファイバーを利用しているそうだが、こうした問題から歩留まりは1割程度と低く、コストとしてはCPUを上回るほどだという。
さて、カーボンファイバーは、本機の天板と底面、キーボード面の3面に採用されている。カーボンファイバーは、軽くて強度が高いのだが導電性があるため、無線LANなどの電波が通りにくい。そこで、無線LANやBluetoothのアンテナが内蔵された液晶面には、非導電性のグラスファイバーを採用することで、高い電波感度を実現している。
また、天板および底板には微妙なカーブが設けられており、アーチ状になっている。このカーブによって、天板にかかる圧力を分散させ、耐圧性を高めているのだ。よく見るとカーボンファイバー独特の格子模様のテクスチャーが見えるようになっており、質感も高い。
液晶のヒンジ部はステンレス製で、放熱部品を兼ねている。背面には排気口が用意されており、長時間連続動作させてもボディーが熱くなりすぎるようなことはない。この薄型のボディーでエアフローを確保するため、熱はヒンジの隙間を通して上に抜ける構造だ。ゴム足の部分と開いた液晶部分の下端はツライチとなっており、底面のスペースも確保する。このため、ディスプレー部の開閉角度は限られるが、薄さと廃熱を考慮するうえで避けられない部分だったという。
ちなみにLuvBook Xは、Sandy Bridge世代のCPUを搭載したウルトラブックだが、Ivy Bridge世代のCPUがこの筐体に載る予定は今のところない。
プロセスルールのシュリンクによって、CPUコア自体の消費電力と発熱が下がったIvy Bridgeだが、グラフィック性能が大きく進化しており、そのためのケアが必要となるためだ。例えば、ヒートシンクのつくり直しや筐体そのものの素材を放熱に有利な金属に変更するといった対応が必要になる。
またカーボンファイバーは断熱性が低く、本機の場合、直接触れても熱を余り感じないが、熱伝導性の高い金属にすれば当然筐体そのものが熱を持つ。体感的に人が熱さを感じないようにする配慮が必要になる。
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