iBooks Authorでどこまでできるか
最後に、iBooks Authorとウィジェットで何ができるのか、いくつか例を紹介しましょう。
1つは、ゲームです。これまで自作のゲームをiPhone/iPad向けにパッケージとして配布するには、App Storeを経由する必要がありました。一方、Androidであればアプリのパッケージファイル(apk)をサーバーに用意しておくだけで済むので、楽に配布できます。
iBooks Authorを使えば、ゲームも電子書籍として配布できます。説明文をiBooks Authorで書いておき、その横にゲームのウィジェットを配置しておけばよいわけです。「無料配布なら」という前提条件はつきますが、ゲームをパッケージとして簡単に配布できるのは大きなメリットかもしれません。
実際に自作のJavaScriptゲームをiBooksに埋め込んでみました。
iPadで見ると下図のようになります。
ゲームのウィジェットをタップするとプログラムが起動し、ゲームをプレイできます。
ゲームの場合、いくつか問題があります。1つは画面の回転です。ウィジェットから書籍のページに戻った後、画面を回転させるとウィジェットのプログラムはリセットされます。ゲームの場合、最初からプレイし直すことになってしまいます。回転さえしなければ、いったん書籍のページに戻ってもプログラムはリセットされません。回転させたくない場合は、インスペクタで「縦向きを無効にする」にチェックを入れてください。
また、HTML5のaudio要素を使って音声を再生する場合、MP3ファイルは利用できません。data URL形式であれば可能かもしれませんが、少なくともMP3ファイルは埋め込めません(インターネット上にあるファイルはURLを指定して再生できます)。
localStorage(ローカルストレージ)も利用できます。ローカルストレージのストレージ領域はブック単位ではなくiBooksで共通なので、key()メソッドで他の書籍が保存したローカルストレージの内容も読み出せてしまいます(バージョンアップで変更される可能性はありますが)。逆に、異なる書籍同士でデータをやりとりできるとも言えます。
観光案内のパンフレットなどに便利なのが地図です。iBooksではGoogleマップなどの地図も表示できます。
また、地図表示に欠かせない位置情報も、Geolcoation APIを使って取得できます(ただし、下図のように、ユーザーに位置情報の提供を確認するダイアログが2回表示されます)。
今回紹介したサンプルを実際に埋め込んだ電子書籍を筆者のサイトに用意しました。iPadでアクセスすれば直接、iBooksでサンプルを表示できますので、ぜひ試してみてください。
- サンプルファイルのダウンロード
- http://www.openspc2.org/HTML5/iBooks/081/
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iBooks Authorは手軽に電子書籍が作れたり、HTML5のアプリ/ウィジェットを埋め込んだりできるユニークなアプリケーションです。現時点ではそれほど多くの機能はありませんが、今後バージョンアップされれば、もっといろいろな使い方ができるようになるかもしれません。
それでは、また次回。