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Appleの第2四半期決算が純益95%増 — iPhone販売増が貢献

2011年04月21日 22時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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Macの販売台数は過去最高の376万台
前年同期比28%のアップ

 iPhone絶好調の陰に隠れているが、それ以外の製品についてはどうだろうか。Mac製品の同四半期の販売台数は過去最高の376万台で前年同期比28%アップとなった一方、iPodの販売台数は902万台で17%のダウンとなった。Macについては、2月にThunderboltポートを搭載した新MacBook Proの販売が開始され、MacBook Airについても昨年末にリニューアルが行なわれたばかりだ。

新「13インチMacBook Pro」

 iMacのリニューアルを直前に控えているという噂こそあるものの、iPadなど自社内での競合が指摘される製品の存在いかんにかかわらず、引き続きMac製品はコンスタントに売れているといえるだろう。一方でiPodはその役割をある程度iPhoneに譲った感があり、iPhone好調の裏で少しずつ市場が縮小している状態だ。

予測を下回ったiPad販売台数と
サプライチェーン問題

 また同四半期における「iPad」の販売台数は、Appleによれば469万台だったという。初代iPadの販売開始が2010年4月だったため、その推移を比較するデータはないが、2010年内の累計販売台数が約1500万台だと報告されており、本来であれば少なくとも500~600万台程度は売れるものと予想されていた。Wall Street Journalによれば、アナリストらの予想で同四半期におけるiPad販売台数は620万台だとされており、やはり予想を下回る数字だったと認識されているようだ。

 Appleによれば、これは需要が少ないのではなく、iPadの生産と供給が間に合っていないことによると回答しており、iPadの売れ行きが予想を下回っているものではないと主張している。実際、米国をはじめとし、日本を除いた主要国での販売が3月にスタートした「iPad 2」だが、店頭在庫がなく入荷に数日から1週間程度かかるケースがいまだに発生しており、入手困難な様子がうかがえる。

入手困難な状態が続いている「iPad 2」

 iPad 2入手が可能な近隣店舗を探すアプリなどが存在するほどで、Appleの主張に間違いはないだろう。また、iPad 2発表直前は初代iPadの買い控えも多数発生したはずで、その分の機会損失もあるものとみられる。

 こうしたiPadの予想を下回る販売実績が取りざたされる一方で、4月20日の決算発表直前には「日本の震災がAppleの業績にどのような影響をもたらすのか」といった予測記事が報道各社のニュース紙面を賑わせた。

 Appleは現在、製品製造に必要な部品を業界各所から集めてサプライチェーンを構成している。初期のころは同社も1部品を1ヵ所ないし2ヵ所から調達するようなシンプルなサプライチェーンを維持していたが、初代iPadの製造初期は液晶パネルの製造問題でサプライチェーンが滞り、思ったように生産を伸ばせなかった苦い経験がある。

 以後は部品調達先を積極的に拡大する施策を続けており、こうした供給問題に直面しないよう努めているといわれる。だが、部品によっては特定サプライヤーに依存するケースもあり、今回の東日本大震災では日本からの部品の供給量が極端に落ち込んだり、特定部品の調達が行なえないといった事態も想定される。噂レベルでは、今年秋以降でのリリースが予定されているといわれる「iPhone 5」のカメラ部品は、ソニーからの供給が遅れる見込みだとされており、その他の部品供給も含めてiPhone 5のリリース遅れを誘発しているのではと考えられている。

 だがApple COOのTim Cook氏によれば、現時点では今回の震災による影響は軽微で、今後の注視が必要としながらも、Appleの製品供給や業績計画に大きな問題とはならないとの認識だという。また、プロセッサーやフラッシュメモリーなどで供給を依存する韓国Samsungなどについては、現在特許や商標権で係争中ながら、それとは別にサプライヤーや協力パートナーとしての関係を維持していくことを強調している。


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