Appleは1月23日(現地時間)、同社会計年度で2013年第1四半期(2012年10〜12月期)決算を発表した(関連リンク)。2012年末ごろからiPhone 5の見込み販売数減によるサプライヤーへの部品発注減で生産調整が発生しているとの報道が続くなど、驚異的な高成長と高利益体質を維持してきた同社に異変が起きているとされ、その行方を占うものとして今回の決算発表には特に注目が集まっていた。前後のストーリーと合わせ、その実際を分析していく。
売上は前年同期比17.7%アップ、純利益は横ばい
Appleによれば、同四半期の売上は545億ドル(約4兆8669億円)で前年同期の463億ドル(約4兆1346億円)から17.7%のアップ、純利益は130億7800万ドル(約1兆1694億円)で前年同期の130億6400万ドル(約1兆1681億円)と比較してほぼ横ばい。希薄済みの1株あたりの利益(Diluted EPS)は13.81ドルで、前年同期の13.87ドルからは微減となっている。
なお、昨年度の第1四半期は14週だったのに対し、今期は13週とわずかに短くなっている。グロスマージンは38.6%で、昨年同期の44.7%と比較すると悪化している。なお、米国外での売上比率は61%で、1年前の58%と比較してわずかに上昇している。
「iPhone」4780万台、「iPad」2290万台と過去最高
「Mac」(410万台)と「iPod」(1270万台)は減少
同四半期における各製品ごとの販売台数は、iPhoneが4780万台(昨年は3704万台)、iPadが2290万台(昨年は1543万台)、Macが410万台(昨年は520万台)、iPodが1270万台(昨年は1540万台)となっている。売上だけでなく、iPhoneとiPadが過去最高の販売台数を記録する一方、MacとiPodはともに減少している。特にMacについては減少幅が2割を超えており、落ち込みが大きい。これについては後の項で分析していく。
各製品ごとの販売台数 | ||
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製品名 | 2013年第1四半期 (2012年10〜12月期) |
2012年第1四半期 (2011年10〜12月期) |
iPhone | 4780万台 | 3704万台 |
iPad | 2290万台 | 1543万台 |
Mac | 410万台 | 520万台 |
iPod | 1270万台 | 1540万台 |
投資家が失望?
このように、Appleは過去最高売上を達成するとともに、iPhoneとiPadについてそれぞれ過去最高の販売台数を記録している。こうした業績が好調な一方で純利益はほぼ横ばいなど、今後のAppleや業界の行方を占ううえで重要な指標も読み取れ、いささか難しいものとなっている。
同決算の発表直後、23日終値で514.01ドルだったApple株価(AAPL)は時間外取引で10%以上下落し、460ドル前後の水準を維持している。期待ほどの業績ではなかったことが投資家らの失望を誘ったとの論調だろうが、過去最高の業績を発表したAppleが、なぜこれほどまでに失望を持って受け止められているのだろうか?