The Dailyは、オフラインでコンテンツを読む機能も搭載している。同アプリは、起動するとまずインターネットにコンテンツを読み出しにいく。そして、ヘッドラインを読み出した段階でまず画面が表示され、その間にも先読みを行なってコンテンツ内容をキャッシングし、最終的にすべてのコンテンツを内部に取り込む。
画面上部には円グラフ型の進行状況を示すバーが用意されており、それが100%になると完了だ。以後は、オフラインでThe Dailyを開いてもコンテンツがそのまま読めるようになっている。
最終的にキャッシュされるコンテンツがどの程度の容量なのか不明だが、試した環境が光回線ということもあり5分とかからずにダウンロードが完了した。だが、米国で一般的なナローバンドだともう少し違った状況になるかもしれない。また、キャッシュされるのは写真や文章などの比較的軽いコンテンツが中心で、ストリーミング再生される動画はオフライン状態では見られない。
アプリ本体のサイズは約50MB程度であり(初期のWIRED Magazineは、コンテンツサイズだけで500MB以上あった)、比較的軽い印象だったのだが、トータルでどの程度ストレスを感じさせない作りになっているのか気になるところだ。
不満は多少あるが、合格点といえる内容
感想だが、まず価格に関しては称賛していいレベルだと考える。豊富なボリュームに対して週間価格が99セントで、年間購読で39.99ドル。記事の好みもあるため一概にはいえないが、普通にニュースを見るレベルであれば十分だろう。しかも写真や動画の素材が豊富で飽きさせない。
気になるのは、むしろこのクオリティーが今後も維持されるのかという点だ。オンライン版Wall Street Journalの購読料が月間15ドル(割引きなしの場合)と4倍近い価格差があるが、片方がビジネスマンを対象にした経済紙、もう一方が一般読者を対象にした大衆紙であることを考えれば、普及を考えた価格なのかもしれない。
また先ほど書いたように、The Dailyの体裁は、新聞というよりも日々更新の「雑誌」という印象に近い。デジタル技術を利用した新しいタイプの雑誌といえるかもしれない。
アプリの操作については、まごつくことがあるのが気になった。画面上部にある「The Daily」のボタンを押せばいつでもホーム画面に戻れるのだが、自分がどの記事を見ていたのかを見失うことが多く、記事の俯瞰性がもう少し高いとうれしいと感じた。
iPadへの負荷が高いのか、スクロールの最中にときどき動きが固まったり(特に最初のホーム画面)、画面が表示されないことがあった。たびたびクラッシュにも見舞われるため、あまりリッチな表現だけにこだわらず、全体のバランスをとってきびきびと動くようチューニングしてほしいところだ。
全体的には、今のところレスポンスに関する不満が多少ある程度で、メディア王とAppleがタッグを組んで仕掛ける一大プロジェクトとして、十分合格点をあげたくなるものと考えている。
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