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iPad日刊紙「The Daily」創刊—Appleの狙いは何か?

2011年02月07日 19時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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 The Dailyは、オフラインでコンテンツを読む機能も搭載している。同アプリは、起動するとまずインターネットにコンテンツを読み出しにいく。そして、ヘッドラインを読み出した段階でまず画面が表示され、その間にも先読みを行なってコンテンツ内容をキャッシングし、最終的にすべてのコンテンツを内部に取り込む。

 画面上部には円グラフ型の進行状況を示すバーが用意されており、それが100%になると完了だ。以後は、オフラインでThe Dailyを開いてもコンテンツがそのまま読めるようになっている。

The Dailyは再起動するたびにコンテンツを読みにいき、もし内容の更新があった場合は読み込みを完了させるまで画面上部に円グラフ形式で進行状況が表示される。100%に達するとキャッシングが完了したことを意味し、オフラインでのコンテンツ閲覧が可能になる

 最終的にキャッシュされるコンテンツがどの程度の容量なのか不明だが、試した環境が光回線ということもあり5分とかからずにダウンロードが完了した。だが、米国で一般的なナローバンドだともう少し違った状況になるかもしれない。また、キャッシュされるのは写真や文章などの比較的軽いコンテンツが中心で、ストリーミング再生される動画はオフライン状態では見られない。

動画など一部コンテンツはストリーミング再生、あるいはリアルタイムで情報を取得しているため、オフライン状態では表示できない

 アプリ本体のサイズは約50MB程度であり(初期のWIRED Magazineは、コンテンツサイズだけで500MB以上あった)、比較的軽い印象だったのだが、トータルでどの程度ストレスを感じさせない作りになっているのか気になるところだ。

不満は多少あるが、合格点といえる内容

 感想だが、まず価格に関しては称賛していいレベルだと考える。豊富なボリュームに対して週間価格が99セントで、年間購読で39.99ドル。記事の好みもあるため一概にはいえないが、普通にニュースを見るレベルであれば十分だろう。しかも写真や動画の素材が豊富で飽きさせない。

The Dailyの設定メニュー。ここで「Subscribe」することで、最新コンテンツを購読できる

料金オプションは1週間99セントと1年間39.99ドルの2種類。項目を選ぶとApple IDの入力を求められ、それが承認されると購読期限が延びる

現在はキャンペーン期間中により、Verizon Wirelessの協賛で2週間の購読無料期間がついている。App Storeからのダウンロードには米国のiTunes Storeアカウントが必要だが、無料期間もあり試してみる価値はありそうだ

 気になるのは、むしろこのクオリティーが今後も維持されるのかという点だ。オンライン版Wall Street Journalの購読料が月間15ドル(割引きなしの場合)と4倍近い価格差があるが、片方がビジネスマンを対象にした経済紙、もう一方が一般読者を対象にした大衆紙であることを考えれば、普及を考えた価格なのかもしれない。

 また先ほど書いたように、The Dailyの体裁は、新聞というよりも日々更新の「雑誌」という印象に近い。デジタル技術を利用した新しいタイプの雑誌といえるかもしれない。

 アプリの操作については、まごつくことがあるのが気になった。画面上部にある「The Daily」のボタンを押せばいつでもホーム画面に戻れるのだが、自分がどの記事を見ていたのかを見失うことが多く、記事の俯瞰性がもう少し高いとうれしいと感じた。

 iPadへの負荷が高いのか、スクロールの最中にときどき動きが固まったり(特に最初のホーム画面)、画面が表示されないことがあった。たびたびクラッシュにも見舞われるため、あまりリッチな表現だけにこだわらず、全体のバランスをとってきびきびと動くようチューニングしてほしいところだ。

 全体的には、今のところレスポンスに関する不満が多少ある程度で、メディア王とAppleがタッグを組んで仕掛ける一大プロジェクトとして、十分合格点をあげたくなるものと考えている。

広告はバナーまたは1ページすべてを使った形で挿入されている。広告と記事の境目が分かりにくい点は、欧米の雑誌にみられる特徴だ

(次ページへ続く)

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