本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説をあますことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けをはじめ、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
注文しておいたキーボードが到着しました! リュウドのBluetoothキーボード「RBK-2200BTi」です。Mac専用ということで、iPad/iPhone 4にベストマッチかな、と……取材に出る足取りも軽くなりそうです。
さて、今回はリリースされたばかりのiPad版「VLC Media Player」(以下、iPad版VLC)について。OS Xユーザーにもおなじみの広範なフォーマットに対応するオープンソース系メディアプレイヤーが、iPadでどのように再現されているのか? それでは早速、その機能に触れてみよう。
iPad版「VLC」が登場した背景
iPad向けバージョンの話を始める前に、VLCの由来やメディアプレイヤーとしての特徴について解説しておこう。
正しくは「Video LAN Client」という名称のVLCは、多数のビデオ/オーディオコーデックに対応したマルチプラットフォーム指向メディアプレイヤーだ。フランスの理工/技術系高等教育機関「エコール・サントラル・パリ」の学生により開発プロジェクトがスタート、当初はストリーミング映像受信用クライアントに位置付けられていたが、次第に動画再生ソフトとしての機能を強化する方針に転じ、現在に至る。
対応するビデオ/オーディオコーデックには、FFmpegなど外部オープンソースプロジェクトの成果を取り入れつつ、機能の強化を図っている。しかもオープンソース指向で、WindowsやOS Xはもちろん、Linuxなど各種PC-UNIXでも動作する。いわば「メディアプレイヤー界のアーミーナイフ」だ。
オープンソースのVLCがなぜiOS向けに提供されてこなかったか、事情はわからない(リモコンソフトは存在した)。今回のiPad版をリリースしたフランス企業Applidiumは、VLCチームの助言を受けつつ開発したそうで、iPad版ソースコードはVLCのコードツリーにも反映される予定とのことだが、「なぜこの時期になったのか」、「なぜiPad版限定か」という疑問は残る。そういえば、メディアプレイヤー的なアプリをApp Storeで見かけるようになったのは最近のこと。ともあれ、今後はiOS標準のAPI(Media Playerフレームワーク)がサポートしないコーデックもiOSで再生可能になる、その余地ができたと理解したい。

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