RAMディスクを作成する
大容量メモリーの活用法としては、RAMディスクが定番だ。昔は日本語の変換処理に時間がかかっていたので、日本語入力システムをRAMディスク上に置くと、高速入力が可能になるなどメリットが大きかった。筆者は仮想OSのために大容量メモリーを使うので、利用可能領域を減らしてしまうRAMディスクは使っていないのだが、RAMディスクが威力を発揮する用途もある。
64bit版のWindows 7でRAMディスクを作成するならフリーソフトの「Dataram RAMDisk Configuration Utility」を利用する。まずはDATARAM CORPORATIONのダウンロードページから、「Dataram_RAMDisk_V3.5.130RC13a.msi」を入手してインストールする。
アプリケーションを起動したら、「Settings」タブの「FAT32 Partition」にチェックを入れて、「Disk Size」にRAMディスクの容量を入力する。「Start RAMDisk」をクリックすれば、RAMディスクが作成される。
「Load and Save」タブでは、パソコンのシャットダウン時にRAMディスクのデータをHDDに書き出し、次回起動時に読み込んで元の状態に戻すこともできる。例えば、ゲームを丸ごとコピーしておくと、シーン切り替えなどのロード時間がほぼゼロになる。パソコンの終了時にはデータが保存されるので、続きを楽しむこともできる。ただし、データ量が多いとパソコン終了時の保存と起動時の読み込みに時間がかかってしまうのはしょうがない。
常に同じ内容のRAMドライブを利用するなら、まずRAMディスクをその内容にしてから、「Save Disk Image Now」で保存する。そして起動時に読み込む設定にしたうえで、終了時には“保存しない”ようにする。これで、パソコン起動時に同じ内容のRAMドライブが作成されるようになる。
RAMディスクはウェブブラウザーのキャッシュファイルに利用するのが定番だが、一度表示したページでないと効果がないし、再描画速度も体感できるほど高速化はできない。それならば、USBメモリーで利用できるウェブブラウザー「Firefox Portable」などを、RAMディスクに入れて使ってみよう。これなら劇的に起動が速くなる。ウェブサイトの閲覧中もほどんどHDDにアクセスしないようになるので、ノートパソコンのバッテリー延命技として使う手もある。
Photoshopなどの画像編集ソフトで、RAMディスクをキャッシュとして利用するのも効果が大きい。例えば大量のレイヤーを使った高解像度画像でも、読み込みや保存、エフェクトの適用などがサクサク動く。一方、動画編集では扱うデータが大きすぎるので、数GB程度ではキャッシュとして役に立たない。とはいえ、10GB以上確保できるなら、短めの動画を編集する際に効果が期待できるかもしれない。
なお、フリーウェア版のDataram RAMDiskでは、RAMディスクのサイズは最大4GBまでに制限されている。さらに大容量を確保したいなら、9.99ドルの有料版にアップグレードする必要がある。
32bit版のWindowsでメモリーを活用する技
最後に、32bit版のWindowsで利用できない、管理領域外のメモリーを活用する技を紹介しよう。利用するのは中国産のフリーソフト「Gavotte Ramdisk」だが、公式サイトがないので、ソフト名で検索するなどしてファイルを入手しよう。「7-ZIP」という形式で圧縮されていることが多いので、「Lhaz」などの解凍ソフトで展開する。
Gavotte Ramdiskを起動し、「Install Ramdisk」をクリックすると、ドライバーインストールの警告画面が開くので、インストールを選ぶ。続いて「Disk Size」のプルダウンメニューから「768M」もしくは「512M」を選択して、「OK」をクリックする。「Success」と表示されたら成功だ。「Drive Letter」に表示されているドライブ名が作成されている。
ただし、管理領域以上の容量をしてした場合は、オーバーした分だけ通常のメモリー領域を使うので注意しよう。また、終了時にメモリーの内容をHDDに退避するような機能はない。あくまでキャッシュとして活用しよう。
筆者紹介─柳谷智宣
1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。現在使っているノートパソコンは、東芝のSS RXとMac。とはいえ、1年以上前の製品なので、買い換えを思案中。日経パソコンオンラインで「ビジネスパソコンテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)、「PDFビジネス徹底活用技」(技術評論社)、「Linkedln人脈活用術」(東洋経済新報社、共著)。
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