5月12日、NTTプライム・スクウェアは、クラウド型コンテンツ配信プラットフォーム「Fan+」を発表した。プラットフォームをNTTプライム・スクウェア、コンテンツ提供を角川グループがサポートする。
文化をサポートできるサービスを目指す
発表会の冒頭、NTTプライム・スクウェアの共同出資者の角川グループホールディング会長兼CEOの角川歴彦氏が挨拶を行なった。角川氏は戦後の経済成長を支えたモノ社会から個々の嗜好性を重視したカルチャー社会に移行したことをとらえ、「日本でも心の豊かさを売る時代になったけど、日本企業は今までこういうことが下手だった。アップルやグーグルのような見本を示されて、ようやく実行する時代になってきた」と解説。NTTとの協業は「どちらともなく近づいた」と表現し、クラウドコンピューティングのインフラを用いて、角川グループがコンテンツ配信に本腰を入れることをアピールした。
また、NTT持ち株会社の代表取締役副社長である鵜浦博夫氏は「コンテンツと消費者をつなぐ触媒として全力を挙げて、この新しいビジネスに取り込んでいきたい」と意気込みを語った。
ハイブリッド型コンテンツ、マルチデバイス
続いてNTTプライム・スクウェアの取締役企画部長 井上淳也氏が、今回のコンテンツ配信サービス「Fan+」について解説した。Fan+は「あらゆる『ファン』のためのマルチデバイス向けクラウド型コンテンツ配信サービス」を提唱しており、ユーザーごとのコンテンツのコレクション、そしてあらゆる情報機器への対応、動画、写真、テキストなどハイブリッド型のコンテンツの配信といった特徴を持つ。
発表会場で流されたイメージビデオでは、歴史ファン、鉄道ファン、アメコミファンなどの特定のジャンルの好事家が紹介され、特定のユーザーにフォーカスしたコンテンツ配信であることがアピールされた。こうしたFan+のコンセプトについて同氏は「100万人が1つの同じものを見ているのではなく、1万人が100のものを見ているという場所を提供しているのがFan+」と語った。
NTTプライム・スクウェアは、コンテンツプロバイダー(ショップ)の配信をサポートするプラットフォームを提供。具体的には動画や写真、テキストなどを組み合わせたハイブリッドコンテンツの制作ツールのほか、多彩なデバイスへの配信システムなどを利用可能にするという。ビジネスモデルはユーザー課金と広告のハイブリッド型で、パートナーとのレベニューシェアになるという。「特定のジャンルの‘ファン’を抱える出版社やスポーツ団体、エンターテインメントや音楽業界、プロダクションの方々」(プレスリリースより)などのコンテンツプロバイダを募っている。
また、「Fan+だけに閉じていただけではダメだと考えている」(井上氏)とのことで、リアルイベントやグッズの販売、イベントのライブ中継などといった連動も進めていく。サービスの開始は2010年の9月を予定している。