AMD製CPUのラインナップ
AMD CPUのラインナップはカテゴリがかなりオーバーラップしているため、選択に迷うことが多い。そのため、まずはラインナップを最初に確認しておきたい。
(1)Phenom II X4/X3
(2)Phenom II X2
(3)Athlon II X4/X3
(4)Athlon II X2
この中で、Phenom II X3はすでに生産が終わっているため現在ではほとんど目にすることがない。また昨年までラインナップにあった、Socket AM2世代のPhenom X4が姿を消し、流通しているAMD CPUは基本的に、すべてSocket AM3へと移行している。
またAthlonブランドもAthlon IIへと移行し、CPUソケットがSocket AM3となった。そしてコア数の違いにより、X4/X3/X2と3つのパターンが用意され、これがPhenom IIとの差別化を難しくしている。
Athlon IIとPhenom IIの違いは、L3キャッシュの有無にある。そのため、例えばゲームパフォーマンスであれば4コアのAthlon II X4よりも2コアのPhenom II X2の方が速いという現象が起きる。逆にスレッド数が生きる動画エンコードなどでは、Athlon II X4の方が速くなるため、予算を低く抑えたい場合どちらを選ぶか非常に迷うところだ。また、Athlon II X3の価格差は、上位のAthlon II X4や、Phenom II X2に近く、わざわざ選ぶ理由が見つからない状態となっている。
Phenom IIのラインナップ | |||||
---|---|---|---|---|---|
CPU | Phenom II | ||||
X4 965 BE | X4 955 BE | X4 945 | X4 910e | X2 555 BE | |
CPUコア数 | 4 | 4 | 4 | 4 | 2 |
CPUパッケージ | AM3 | ||||
Socket AM3対応 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Socket AM2+対応 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
製造プロセス | 45nm SOI | 45nm SOI | 45nm SOI | 45nm SOI | 45nm SOI |
動作クロック | 3.4GHz | 3.2GHz | 3GHz | 2.6GHz | 3.20GHz |
L2キャッシュ容量 | 512KB×4 | 512KB×4 | 512KB×4 | 512KB×4 | 512KB×2 |
L3キャッシュ容量 | 6MB | 6MB | 6MB | 6MB | 6MB |
TDP | 125W | 125W | 95W | 65W | 80W |
Athlon IIのラインナップ | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
CPU | Athlon II | |||||
X4 635 | X4 630 | X4 620 | X4 605e | X3 440 | X2 555 | |
CPUコア数 | 4 | 4 | 4 | 4 | 3 | 2 |
CPUパッケージ | AM3 | |||||
Socket AM3対応 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Socket AM2+対応 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
製造プロセス | 45nm SOI | 45nm SOI | 45nm SOI | 45nm SOI | 45nm SOI | 45nm SOI |
動作クロック | 2.9GHz | 2.8GHz | 2.6GHz | 2.3GHz | 3GHz | 3.1GHz |
L2キャッシュ容量 | 512KB×4 | 512KB×4 | 512KB×4 | 512KB×4 | 512KB×3 | 1MB×2 |
L3キャッシュ容量 | - | - | - | - | - | - |
TDP | 95W | 95W | 95W | 45W | 95W | 65W |
もし、AMDプラットフォームで選ぶのであれば、最上位のPhenom II X4を選ぶことをまずはお勧めする。または中間のラインナップは全て捨て、Phenom II X2もしくは、一番安価なAthlon II X2をチョイスするというのもありかもしれない。なお、Phenom II X2やAthlon II X3は、CPUの個体や使用するマザーボードに依存するものの、無効化されているコアを復活させてそれぞれ「Phenom II X4」「Athlon II X4」として使用することも不可能ではない。ただし、当然ながらそのような使い方は保証外の自己責任となるほか、必ずしもコアの復活ができるとも限らないため、一種博打的要素が強い。安価にクアッドコア環境を構築できる可能性があるため、自作ユーザーの間ではあえてチャレンジする人も多いが、こと初心者ユーザーの皆さんにはお勧めしないので聞き流してもらってもかまわない。
AMDのマザーボード
Socket AM3に対応するチップセットの選択肢は以下のとおりだ。
(1)AMD 890GX
(2)AMD 790GX/FX
(3)AMD 785G
最新となるAMD 890GXは、SATA 3.0 6Gbpsをサポートすることで話題となったが、内蔵されるグラフィックス機能は、単体グラフィックスカードほどパワフルではない。そのためゲーム用途など過剰な期待はしない方がいいだろう。なおチップセットの型番に「G」が付くモデルは、グラフィックス機能として「ATI Radeon」シリーズを内蔵している。
ほとんどのマザーボードが、DDR3メモリとなっているが、「AMD 785G」搭載の一部マザーボードではDDR2をサポートしていることもあるため、メモリを使い回すのであれば、そういった製品を探すという手もある。
ここまで駆け足で2009年~2010年4月までのCPU/メモリ/マザーボードのトレンドを追いかけてみたが、好みの候補は見つかっただろうか。原稿執筆時では未確認ではあるものの、近々AMDからはミドルレンジ向けの6コア搭載製品CPU「Phenom II X6」シリーズも発売予定だ。ボケっとしてるとすぐに新製品が出てしまうのが自作パーツの世界の魅力でもあるが、まずはCPUの選定から初めてみてはいかがだろうか?
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