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ストレージ管理の切り札 「ARX」を深く濃く解説 第2回

F5のエンジニアによるデモで動きがわかった

マルチベンダーでNASを束ねるってどういうこと?

2009年10月15日 13時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 記事協力●F5ネットワークス

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NASを束ねよう!ARXの初期設定にチャレンジ

 こうした知識を得たうえで、ARXの具体的な導入過程を見てみる。ARXはアプライアンスとして提供されているので、まずコンソールからIPアドレスを割り当て、束ねる対象となるファイルサーバーやNASが導入されているLANに参加させる。特にファイルサーバーの手前でゲートウェイのように挿入する必要はないが、ARXはクライアント/サーバー間の通信をプロキシすることで仮想化とファイル配置の最適化を行なっているので、論理的にはすべての通信がARXを経由する必要がある。あとはGUIの「ARX Manager」を使って、ウィザードで管理者の登録やネットワーク関連の設定をまとめてやってしまえば、サービスが開始される。

GUIのツールであるARX Managerで設定を開始

 実際にLAN上のファイルサーバーやNASを登録してみよう。ARXではまず設定をまとめたコンテナとも呼べる「ネームスペース」を作成する。ネームスペースでは、利用するファイル共有プロトコルはCIFSか、NFSか、Active Directoryのようなユーザー認証はどうするか? などをウィザードで決めていく。

 次に作成したネームスペースに、実サーバの共有フォルダーを束ねた仮想的な固まり「ボリューム」を追加する。前述したとおり、ARXが束ねる単位はShareやExportと呼ばれる共有フォルダーなので、ファイルサーバーやNASの共有フォルダーを登録し、1つのボリュームとしてまとめていく作業になる。ボリュームというより、実際は巨大な共有フォルダといったほうがイメージしやすいかもしれない。

 ここではNAS-1にShare1、NAS-2にShare2、NAS-3にShare3を登録し、これをShare0というボリュームとして構成することにしよう。これが完了すると、自動的にディレクトリ構造の学習を開始し、収集した情報はメタデータとして別途保存されることになる。

 最後に作成したボリュームを公開するための「バーチャルサービス」を作成する。バーチャルサービスはユーザーがアクセスするための仮想IPアドレスとマウントポイントの名前を指定する。これがいわゆる「グローバルネームスペース」になる。マウントポイントはたとえば\\VirtualHostName\share0や\\1.1.1.1\share0などと指定すればよいだろう。このようにARXが複数のファイルサーバーやNASを束ねる過程は、ロードバランサーに近いものがある。

 あとは管理者がユーザーに対して、このマウントポイントをアナウンスし、ユーザーはネットワークドライブとして割り当てればよい。もちろん、仮想化されているので、ユーザーからはNAS-1、NAS-2、NAS3などの物理的な位置を意識せず、通常の共有フォルダーとして利用できるのだ。

 こうした一連の設定をARXはすべてGUIのウィザードから行なえる。メニューがすべて英語とはいえ、並んでいるボタンをうえから順繰りに押してウィザードを起動し、各種設定を行なえばよいので、手順も容易だ。

(次ページ、さっそくポリシー設定! まずはマイグレーションから)


 

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