未曾有の世界大不況もなんのその。ひとり気を吐く巨大消費国・中国のEC市場が急伸している。2010年の予測市場規模は5兆円。その新市場を相手にした輸出販売支援サービスをアリババ日本法人とネットプライスドットコムが4月28日、立ち上げた。最大のポイントは、“丸投げ”によるわずらわしさの解消にある。
170万店、1.5兆円――圧巻の中国ECサイト
「(中国最大のECモールである)『Taobao(タオバオ)』に出店するショップの24%が、日本から商品を輸入してネットで販売したい、と答えている。ざっと3000億円程度の(日本から商品を輸出できる)ポテンシャルがある」
アリババ日本法人の香山 誠社長はこのように説明する。アリババグループが運営するTaobaoは、取引高で中国市場の8割を占めるECモール。その規模は、「出店者数は170万社以上。取引高は、楽天市場とYahoo!オークションを足したよりも多い1.5兆円」(香山氏)というから驚きだ。そのTaobaoのネットショップオーナーたちが日本製品を売りたがっている、と聞けば、「うちも中国でひと儲けするか」と色めき立つメーカーや卸売業者は少なくないだろう。
売り手・買い手の双方に立ちはだかる高い壁
だが、いくら中国のネットショップオーナーのニーズや市場の可能性があっても、現実はそううまくいかなかった。理由は、「取引先開拓」「言葉」「貿易実務」の大きく3つの問題に集約される。たとえば、いくら商品力があっても、まったく伝手(つて)のない日本の業者が、右も左も分からない中国で自力で営業先を切り開くのは不可能に近い。仮に売り先が見つかっても、言葉や商習慣の違いを乗り越え、通関手続きなどの貿易実務のノウハウも当然必要だ。さらに、与信調査力が及ばない海外では、代金回収のリスクも付いて回る。
こうした事情は“輸入する側”である中国のバイヤーもほぼ同じだ。加えて、「代金は元で支払いたい」「CIF(シフ:貿易における運賃・保険料込み条件)で送ってほしい」といった、輸入側が持つ個別の要望もある。
魅力はあるが、輸出(日本)/輸入(中国)の双方にとって高い壁が存在していた――というのが実情だ。