27日、筆者を含む「ニコ厨」(ニコニコ動画の中毒者)なiPhone/iPod touchユーザーに、ドワンゴから大きなプレゼントが届いた! 待望のiPhone/iPod touch版プレーヤー「ニコニコ動画」がリリースされたのだ(iTunes Storeで見る、関連記事)。
今までiPhone/iPod touchではFlashプレーヤーが提供されておらず、ウェブブラウザーを使ってもニコニコ動画(ニコ動)は再生できなかった。でも、どーしてもiPhone/iPod touchでゴロ寝しながらニコ動が見たいっ!! そんなユーザーの願いが伝わったのかドワンゴでもiPhone版プレーヤーの開発を進めており、3月末の時点で「すでに開発済み」というニュースが出ていた(週刊アスキーWebの記事)。
しかしそこから1ヵ月、待てど暮らせどアプリは出てこない。一体どうしたのだ!? もしかして何かトラブルが? と心配していたところ、この27日になって突然のリリースが決まった状況だ。
なぜ、iPhone版プレーヤーのリリースに時間がかかったのか。また開発者としてどんなところに苦労して、どこにこだわったのか。今回はそんな素朴な疑問をニコニコ動画プレーヤーの開発陣にぶつけてみた。お話をうかがったのは、ドワンゴ ニコニコ事業本部 副本部長の齋藤光二氏(齋藤P)と、ドワンゴ研究開発本部 研究開発部 ソフトウェアエンジニアの溝口正仁氏だ。
アップルの審査で時間がかかっていた
── iPhone版プレーヤーのリリースがずれ込んだのはなぜですか?
溝口氏:アップルの審査※でちょっと時間がかかっていました。週刊アスキーの記事でも話していましたが、あの時点で審査には出していたんですよ。その後、アップルからガイドラインに沿ったアプリにしてほしいとのフィードバックを受けて、マイナーチェンジしていた感じです。
※アップルの審査:iPhoneアプリは開発者が勝手に公開できるわけではなく、事前にアップルの審査を受ける。ここでアップルの規定に沿わないアプリはリジェクト(拒否)されて作り直しとなる。
── それは大変な話で……。そもそもケータイ用の「ニコニコ動画モバイル」に比べると、ユーザーの絶対数が少ないiPhoneでなぜアプリを作ろうと思ったんですか?
溝口氏:iPhone版アプリの企画段階前に、個人的にもiPod touch買っていろいろ試していたんです。そうしたら、ほとんどのサービスがiPod touchで使えたのに、ニコ動だけが見られなかった。だから作る必要があるんじゃないかと考えました。
── 単にアプリを作るといっても人件費などのコストがかかります。その辺は大丈夫だったんでしょうか?
溝口氏:直接の収益というよりは、ニコニコ動画を広める広報的な意味合いもあります。
齋藤P氏:収益面は、極論を言えばニコ動自体が赤字なんですよね。でも今、ニコ動はインターネットの初期のような「先行投資」のフェーズにあります。何よりニコ動は「みんなにニコニコしてほしい」というのが基本的なポリシーです。だから「iPhoneユーザーにもニコニコしてほしい」と願って作っています。
開発に至った理由には、iPhoneというガジェットが素晴らしかったことも挙げられるでしょう。ドワンゴ自体が「新しモノ好き」で、そうしたものには積極的に関わっていこうという気がある。だから、利益は度外視でやってしまおう!とゴーサインを出しました。
── アプリ自体は無料ですよね?
齋藤P氏:ええ。使ってもらって、ニコ動のファンになってもらい、プレミアム会員に加入して、サーバー代を毎月525円分を負担してくれると嬉しいなぁwというスタンスです。プレミアム料金を払っても、PC/ケータイ/iPhoneでも同じアカウントで使えるわけです。そう考えると、悪い条件でもないんじゃないかと思いますが……。
── iPhoneでプレミアム会員になるとここがいいぞ!というところはありますか?
齋藤P氏:一般会員の方は、1日に3回以上再生すると、最初の2回はフルスペックで再生しますが、3回目からフレームレートが落ちます。プレミアムの快適さを知らない方には、最初の2回で疑似体験してもらおうと……。
逆にプレミアム会員の方は月額525円を負担してもらっているのに、制限をかけるというのもナンセンスですよね。「好きなだけ高画質で見たい場合は、ぜひプレミアム会員に!」というのがiPhoneアプリの狙いでもあります。
── iPhoneからプレミアム会員は申し込めますか?
齋藤P氏:今はできませんが、今後は対応します。iPhoneを持っている人はITリテラシーが高いので、ほぼパソコンを持たれていますよね。そちらで申し込みをお願いいたします。
