日本電信電話(株)(NTT)と東京大学は28日、“ucode”(RFIDなどを利用した個体識別番号)を利用した電子会議システム“Conference@ID”(カンファレンスエイド)を発表した。
東京大学の坂村健教授(左)とNTTサイバーソリューション研究所の小川克彦所長(右) |
Conference@IDは、ucodeを貼付したホワイトボードやプリンターを“ユビキタスコミュニケーター”(UC:ucode対応の携帯情報端末)で操作し、板書の印刷やサーバーへの保存を可能とするシステム。ネットワークとRFIDの利用によって、さまざまなオフィス機器の相互接続を容易にできる。
ユビキタスコミュニケーター(UC) |
やり取りされるデータは、すべて専用のサーバー(Conference@IDサーバー)上で管理され、ucodeとIPアドレスのひも付けも行なう。それぞれの機器にデータを受け渡しする際の指示はUCを使う仕組みだ。
例えば、ホワイトボードの内容を保存したい場合には、UCでホワイトボードのucodeを読み込み、記録ボタン(STORE)を押す。そうすると、そのコマンドがネットワーク越しにホワイトボードに送信され、スキャナーで読み取ったホワイトボードの内容が画像ファイルとしてConference@IDサーバーにアップロードされる。この画像を印刷する際には、プリンターのucodeをUCで読み取り、UCの印刷ボタン(PLAY)を押し、印刷したい画像を指定する。コマンドを受信したプリンターは、Conference@IDサーバーから画像を取得して印刷処理を行なう。リモコンと機器のやり取りはHTTPを利用。コマンドはXMLによって記述されている。
ホワイトボードのucodeをUCでタッチし、STOREボタンを押すと、その内容がサーバーにアップされる |
プリントする際も、プリンターをUCに登録し、UC上で印刷したい画像を指定する |
操作はUCにプレインストールされたリモコンソフトで行なうが、やり取りされる情報はUCを経由しないため、端末の持ち出しや紛失による情報漏洩が起こりにくく、ログも残せる。UC上のインターフェースも“PLAY”(実行)、“STOP”(停止)、“FIND”(情報検索)、“STORE”(保存)、“MOVE”(移動)という5種類の動作に絞り込んだ。これはビデオデッキの基本操作(再生、録画、早送り、巻き戻し、停止/一時停止)にアイデアを得たものだ。
ネットワークを使った情報機器の連携に関しては、これまでもさまざまな標準化団体やメーカーが取り組んできたが、今回の仕組みはネットワークでやり取りするものを、個体識別ID(ucode)と簡単なコマンドに絞り込むことで、柔軟性を高くしたのが特徴。それぞれの機器にはネットワークインターフェースのほかに、コマンドを解釈し、機器を制御するためのモジュール(デモではパソコンが使用されていた)が必要になるが、ソフトの作り込み次第でさまざまな応用ができる。また、UCの代わりに携帯電話機を利用したソリューションを提案することも可能だという。
利用イメージ |
Conference@IDは、現在実証実験中で、半年から1年程度の実験期間を経て実用化される見込み。現状では具体的な名前は提示されなかったが、NTTと東京大学以外の企業/団体への導入も予定されている。