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ノキア、超低消費電力の近距離無線技術“Wibree”などの説明会を開催

2006年10月26日 19時05分更新

文● 編集部 橋本 優

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ノキア・ジャパン(株)は26日、超低消費電力の近距離無線技術“Wibree(ワイブリー)”などの同社のテクノロジーに関する記者説明会を東京・目黒で開催した。

テロ・オヤンペラ氏
NOKIA社の上級副社長兼CTO(最高技術責任者)のテロ・オヤンペラ氏

説明会では同社フィンランド本社(NOKIA)の上級副社長兼CTO(最高技術責任者)であるテロ・オヤンペラ(Tero Ojanpera)氏が、同社のテクノロジー戦略について説明を行なった。

同氏は「テクノロジーは収益につながる差別化」だとし、独自のテクノロジー開発を行なうことで他社製品との差別化を計り、それが収益に結びつくと指摘。また、複数の製品ラインナップで共通のテクノロジーを導入することで「成熟した市場ではコストの優位性に貢献する」とした。

その上で、同社のテクノロジー開発における優先事項として

  • インターネットの取り込み
  •     
  • ソフトウェア・プラットフォームとアプリケーション
  •     
  • 一貫性のあるアーキテクチャー
  • マルチな無線技術を採用した製品の開発

の4つを挙げた。

このうちインターネットについては「固定(通信)から移動(通信)に移行している」とし、さらにモバイル機器が完全にパーソナルなツールである点やGPSなど位置情報を活用できる点などを挙げ「(移動通信であれば)パソコン以上のこともできる」とした。

また、マルチな無線技術を採用した製品の開発については、ワイヤレスLANとセルラーの切り替えをユーザーに感じさせないような、シームレスな統合を目指すとしており、HSPA(High Speed Packet Access)やLTE(Long Term Evolution)、WiMAX(IEEE 802.16e)などの無線規格に注目していると語った。

中川義克氏
ノキア・リサーチセンター東京の所長である中川義克氏

続いて、ノキア・ジャパンの開発拠点である“ノキア・リサーチセンター東京”について、その所長で工学博士の中川義克氏が説明した。

ノキア・リサーチセンター東京の活動
ノキア・リサーチセンター東京の日本における活動の実績

リサーチセンター東京の設立は1986年で、今年で20周年を迎える。現在の従業員数は1097名で、52ヵ国の人たちが働いているという(そのうち59%はフィンランド出身者)。リサーチセンターでは、製品や技術の開発と共に、大学との共同研究や共同執筆、学会での発表など、アカデミックな活動にも従事していることを強調した。

世界のノキア・リサーチセンター
世界中に拠点を持つノキア・リサーチセンター

現在、リサーチセンターは米国や中国など全世界で9つの拠点が存在するが、その中でも東京は、モバイル技術やサービスにおいて世界をリードする環境が整っており、研究開発の先陣を切る役割を果たしているという。

現在、同社の研究開発は“テレコム(音声)”から“IT(通信)”への分岐点に差し掛かっていると同氏は指摘し、「コア・ビジネスを超えた研究開発が重要になってくる」との見解を示した。

Wibreeで超低電力マーケットのスタンダードを目指す

ハッリ・テュリマー氏
ノキアのコーポレートストラテジー テクノロジーアウトライセンシング担当のハッリ・テュリマー氏

最後に、Wibreeについてノキアのコーポレートストラテジー テクノロジーアウトライセンシング担当のハッリ・テュリマー(Harri Tulimaa)氏が説明を行なった。

Wibreeはノキアが現地時間の3日に発表した無線技術で、Bluetoothと比較して10分の1の電力で送受信を行なえるのが特徴。最大10メートルまでの範囲で、1Mbpsのデータ転送ができ、医療機器や玩具、スポーツ関連製品などに組み込むセンサーの情報をワイヤレスで伝送するのが主な用途となる。Bluetoothと異なり、Wibreeは音声や画像などの伝送は視野に入れておらず、「Bluetoothと対抗するものではない」とした。

Bluetoothのチップの1部として実装できるのも特徴で、BluetoothとWibreeを両方利用できる“デュアルモード”チップと、Wibreeのみの“スタンドアロンモード”チップが提供される。前者は主にパソコンや携帯電話機への組み込み用で、後者はセンサーを埋め込む製品や機器などに搭載される。

Wibreeスケジュール
Wibreeのリリーススケジュール

開発スケジュールは、2007年春にチップのプロトタイプを完成させ、同年の第2四半期ごろにWibreeの仕様を確定。2008年には製品化を目指したいという。Wibreeのファーストリリースは、仕様が固まった段階でオープンなフォーラムを介して発表するという。

Wibree開発の経緯について同氏は、現在、超低消費電力の無線技術でオープンなものがなく、周波数やプロトコルにおいても、世界的にバラバラな仕様になっている。そこで同社独自の技術を開発し、これをオープンスタンダードとすることで、この分野のマーケットを独占したい考えだという。

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