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“日本のインターネットを築いた者たちの足跡を見よ!”――“インターネットの夜明け”試写会が開催

2005年04月07日 20時52分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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ブロードバンドタワーの大和田廣樹氏とヤフーの取締役最高執行責任者 兼 事業推進本部長の喜多埜裕明氏
劇場公開映画のように、宣伝用パンフレットやポスターも制作してPRに余念がない、ブロードバンドタワーの大和田廣樹氏(左)とヤフーの取締役最高執行責任者 兼 事業推進本部長の喜多埜裕明氏

(株)ブロードバンドタワーとヤフー(株)は7日、東京・三田の慶應義塾大学 三田キャンパスにおいて、日本でインターネットを立ち上げ、普及・促進に努めてきたキーパーソンへのインタビューを中心にしたドキュメンタリー映像“インターネットの夜明け”の試写会を開催した。この映像は、5月23日から前編12回(6月30日まで)、7月1日から後編12回(7月30日まで/同時に前編12回を再放送)をYahoo! Japanの無料コンテンツとしてストリーミング配信するもの。Windows Media Player向け(WMV形式)に配信され、ビットレートは56k/300k/1Mbpsからユーザーのインターネット接続環境に応じて選択できるという。



質問に答えるヤフーの喜多埜氏ら
質問に答えるヤフーの喜多埜氏(左)と大和田氏(右)

試写会場には、企画・制作を行なったブロードバンドタワーから代表取締役社長の大和田廣樹(おおわだひろき)氏、ヤフーから取締役最高執行責任者 兼 事業推進本部長の喜多埜裕明(きたのひろあき)氏が出席。企画意図や制作の裏話などを披露したほか、インターネットの立ち上げ時期(1980年代)から現在に至るまでインターネットの研究・技術開発の第一線で活躍している慶應義塾大学 環境情報学部教授の村井 純氏、(株)インターネット総合研究所の代表取締役所長の藤原 洋(ふじわらひろし)氏を招いて、当時を振り返っての苦労話や、現在各メディアで騒がれている“TVとインターネットの対立・融合”などについて持論が展開された。

ドキュメンタリー映像“インターネットの夜明け”の概要(表中敬称略)

監督
徳田 淳
企画・制作
(株)ブロードバンドタワー/ヤフー(株)
制作協力
(株)NHKエンタープライズ
音楽
石川よしひろ(エンディング)
監修
藤原 洋((株)インターネット総合研究所)
協力
遠藤 諭((株)アスキー)

“NHK特集”っぽいテーストを感じさせるオープニングシーン
現時点では前編12回分が制作完了し、後編12回分を鋭意編集中という。写真は、“NHK特集”っぽいテーストを感じさせるオープニングシーン

最初に大和田氏が、「自分ではドキュメンタリーを作ったことがほとんどなかったので、“NHKスペシャル”や“プロジェクトX”を制作されたNHKエンタープライズに協力を得られたのが大きい。ただ、(インターネットの創世記に活躍された)出演を依頼した方々は現在も多忙な場合が多く、企画意図をきちんと伝えていくのが大変だった。利害が対立して依頼したけど出演いただけなかった方もいるのが残念。出演者交渉は80点くらいでしょうか」「内容を“単なる記録映像”にしないために、“プロジェクトX”を意識して、出てくる方がどんな苦労をして障壁を乗り越えてきたのか、その人間的なドキュメントが面白いところであり、(視聴者に強く)伝えていきたい」と企画・制作の意図を説明した。

貴重な!? 学生時代の村井氏の姿
映像の中には、貴重な!? 学生時代の村井氏の姿も収められている

村井氏は1980年代当時、助手という立場から民間企業に働きかけて資金を集め、遠隔ネットワークを構築するといった、当時は誰もできなかった実験を果たした。その熱意の源について、「昔からコンピューターが大嫌いだった。コンピューターに人間が支配されるという印象があったから。むしろ人間の周りをコンピューターが取り囲んで、人間のためにこいつら(コンピューター)が仕事をするという環境を作りたかった。そのためにネットワークが必要と考えた」と話す。

さらに、ISP(インターネット接続事業者)が林立してきた1995年ごろから“IX”(Internet eXchange、インターネット上のパケット通信をスムーズに行なう回線交換技術や装置)の重要性を説き、それまでの村井氏ら有志のボランティアによる運用から、事業化・法人化を果たすべく、各企業にビジネス化を持ちかけた際の苦労について、「インターネットはインフラなので今も昔もビジネスになりにくい。顧客からお金をもらい、顧客をシッカリ捕まえておくことが重要。そのためには、本当に(この技術が)必要だということを説得・証明する必要がある。これは本来ビジネスの分野ではあるが、“ここまでは研究の範囲、ここからはビジネスだからバトンタッチ”という具合にきれいに分けることはできない。インターネットは新しい分野であり、ビジネスモデルを作り出し、挑戦する必要があるから。“ビジネスの人”(=企業)がお金の匂いを感じるところまでは、大学が研究を行なう必要があった。そのせいで、『研究者のくせに、なんでビジネスまでやってるんだ』と言われることもあった(笑)」と、当時を振り返りながら語った。



質問に熱心に答える村井氏と藤原氏
大和田氏(右)や学生からの質問に、身振り手振りを交えながら熱心に答える村井氏(左)と藤原氏(中央)

最後に元(株)テレビ朝日のアナウンサーでこの試写会の司会を務めた朝岡 聡(あさおかさとし)氏が、“TVとインターネットの対立・融合”について質問すると、村井氏は「TVとインターネットは比較にならない。人はインターネットを使いながらTVを見るし、ラジオも聞く。インターネットはその裏側にあるもので、TVみたいなサービスも、ラジオみたいなサービスもできるけど、裏側で何を行なっているかについて、多くの人はあまり興味がないだろう。共存といえば共存だが、ようは使う側(視聴者)のロジックで、何がしたいのか、マーケットドリブンやユーザーの要求によって使い分けが進むと思う」と回答。

藤原氏も、「インターネットはインフラであり、(情報を)動かす技術。端末としては携帯電話もあればコンピューターもある。別のものと考えられている放送網も実は同じ。つながるの(端末の形態)がTVであったりパソコンであったりするが、ユーザーがほしいのはコンテンツ。かつてはお金にならないといわれた携帯のコンテンツがいまや3000億円の市場になり、インターネットでは1兆円市場といわれる。使う側のニーズ次第で、“インターネット vs. TV”ではなく、一緒になってしまうという方向感を持っている。うち(インターネット総合研究所)は今のところコンテンツを持っていないが、放送事業者や通信事業者と相談しながら、最終的にユーザーへ届けるコンテンツを考え始めている」と述べた。


会場にはプレス関係者のほか慶應義塾大学の学生も招かれた。その学生から、「インターネットの登場で何が変わったと思うか?」と問われると、村井氏は「インターネットというインフラの上には、まだたくさんの課題があるが、課題を解くのは次の世代が行なえばいいこと。その課題に気付くために土台(インターネット、インフラ)を作ってきた。今ベンチャー企業が増えているのは、自分でチャレンジしてすぐに成果を確認でき、説得力を持った仕掛けが出せるかどうかという“チャレンジのハードル”が低くなったからだと思う。(質問をくれたのが)学生だからということで、授業のように答えてしまったが、(学生が)社会にチャレンジできる土台を用意できたことが一番大きい」と熱弁を振るった。

藤原氏も同様に、「私は産業界の人間なのでそっちから思うのだが、インターネットの登場で産業が根本から変わってきた。インターネット以前は、資本家/労働者/労働組合がそれぞれ対等に存在してバランスのとれた会社が“いい会社”と言われてきた。しかし、インターネットの登場後は“消費者と提供者”という関係になった。消費者にいい製品を提供するのが“いい会社”になった。今はアメリカよりもいい会社が日本にも出始めている。そこがインターネットのプラスの効果だと思う。日本の社会を変えている」と丁寧に回答した。

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