MFPがアプリケーション連携し、オフィスに欠かせない機器となる元年に!
大塚商会とリコー、ERPシステム“SMILEα”とオフィス向け複合機“imagio Neo”の連携ソリューションを開発
2005年01月31日 19時36分更新
記者会見に出席した大塚商会の専務取締役の長島義昭氏(右)、リコーの常務取締役の我妻一紀氏(中央)、OSKの専務取締役の田中 努氏 |
(株)大塚商会と(株)リコーは31日、東京・飯田橋の大塚商会本社会議室にプレス関係者を集め、大塚商会が販売しているERP(基幹業務)システム“SMILEαAD(スマイルアルファーエーディー)シリーズ”の入力端末として、リコーのオフィス向け複合機“imagio Neo(イマジオネオ)シリーズ”を利用する連携ソリューション“DB-DocLink”を両社協業で開発したと発表した。3月22日より、大塚商会、リコー、大塚商会の100%子会社でシステム販売を行なう(株)OSKが共同で販売を開始する。価格は標準構成で308万5000円から。内訳は以下のとおり。
- “SMILEαAD顧客管理”
- 顧客管理向けERPシステム
- 65万円~
- “αドキュメントダイレクト”
- SMILEαADから複合機にXML形式でデータ送出ならびに受信を行なうミドルウェア
- 10万円
- imagio Neo C455
- フルカラーコピー/プリンター/スキャナー/ファクス対応のデジタル複合機(ADF(自動原稿給紙装置)&3段給紙モデル)
- 224万円~
- エージェントスキャン
- imagio NeoからSMILEαADにXML形式でデータ送受信を行なう機能拡張ソフト
- 9万5000円
大塚商会とリコーが共同開発した、MFPとERPの連携ソリューションシステム“DB-DocLink” |
対応する複合機は、『imagio Neo C455』(今月12日発表)以降のリコーが今後発売する“imagio Neo”(全機種)で、それ以前の機種では利用できない。また、対応分野は発売当初、以下の6業務に限定されるが、今後両社の連携を強化し、対応業務・業態を増強していくほか、4月に施行される“e-文書法”“個人情報保護法”にも順次対応する予定だという。
- 会員管理
- 保守管理
- 工務店管理
- 不動産管理
- 人事管理
- 人材派遣管理
発表会には大塚商会の専務取締役の長島義昭氏、リコーの常務取締役の我妻一紀(あづまかずのり)氏、OSKの専務取締役の田中 努(たなかつとむ)氏らが出席し、両社協業の背景やソリューションの概要などを、デモンストレーションを交えて説明した。
最初に挨拶した長島氏は、「リコーとは30年来、さまざまな業態で連携を図ってきた。デジタル複合機の台頭により、協業分野も多岐に渡っているが、最近は顧客の利便性を図る狙いでの協業が増えている。2001年に両社のジョイントプロジェクト“OR分科会”を発足して、複合機ソリューションの検討を続け、ようやく“業界初”と言える連携を果たすアーキテクチャー“DB-DocLink”を開発・発表できた」と述べ、今日の発表会を迎えた喜びを素直に表現した。
リコーの最新MFP『imagio Neo C455』に搭載したは組み込みソフト対応アーキテクチャー“Embedded Software Architecture” | Embedded Software Architectureの概要 |
リコーの我妻氏もこれを受けて、「MFP(多機能型プリンター)がドキュメントシステムと連携する話は以前からあったが、それがついに結実した。オフィスにおけるMFPの役割が大きく変わることになるだろう。複合機は組み込みソフト対応アーキテクチャー“Embedded Software Architecture”を採用する『imagio Neo C455』で、これはJ2ME(Java 2 Platform Micro Edition)準拠のアプリケーション・プラットフォームを搭載する。今後、リコーが発表する複合機はすべて、さらにレーザープリンターの一部にもこのアーキテクチャーを採用し、顧客のニーズに合わせて機能の付加や強化を実現していく。将来的には、機器認証/個人認証/時刻認証の機能を持たせて、例えば領収書をMFPに載せてATM(現金自動預け払い機)のような感覚でパネルから入力すると、領収書の精算に必要な認証付きPDFファイルが自動生成されて、経理のデータベースに入力されるような仕組みを実現したい」と、展望を語った。
Embedded Software Architectureのメリット | オフィス向けコピー機の進化の系譜 |
最後に田中氏は販売現場から見た顧客ニーズの変化を、
- 第1世代=電子ファイルシステム
- 第2世代=ドキュメントファイルシステム
- 第3世代=ERP連携ドキュメントシステム
と示し、これらの世代が進んだことで検索性は向上したが登録作業の面倒は相変わらず存在する。解決策としては、ATM感覚で操作でき、ITリテラシー不要なインターフェースが必要として、“複合機の進化”と“ERP/ドキュメントシステムの開発実績”“サポートノウハウ”をあわせた第4世代製品(本製品)が求められていることをアピールした。
OSKの田中氏が示した、顧客ニーズの変化とそれに対する対応(回答) | 今回のシステムで実現した連携ソリューションの概要 | |
メンテナンス業務での利用事例 | 今後の業種・業務展開の目標 |
連携ソリューションの仕組みを示した図 |
具体的な製品の仕組みは、最初にimagio Neo(MFP)の操作パネルから入力する文書の種別を選択すると、SMILEαAD(ERP)から入力インターフェースのレイアウト情報と、入力すべきデータベースへのリンクをXMLファイルで転送される。MFP側ではJ2ME環境で実行される組み込みアプリケーションが起動して受信したXMLを解釈し、操作パネルを変更。そこで入力/選択された情報と、スキャンした文書の画像情報をXMLファイルにまとめて、ERPのデータベースに送信、登録するというもの。これらはビジネス特許を出願中としている。操作パネルのインターフェースは、例えば50音順で入力候補(例えば顧客の名称や支店名など)が表示される簡易なもの。会場では、工作機械の保守・点検整備を行なった場合を想定したデモが行なわれた。
会場にimagio NeoとERPのデモ機が設置され、実際に操作している様子が映し出された | 複合機の操作パネルから選択した内容がERPのデータベースシステムに反映されたところ | スキャンした文書も合わせて管理される | ||
デモンストレーションの様子 |
3社では、2005年度中に1000システム/30億円の売上を見込んでおり、主な販売先としては複写機/複合機のユーザー、SMILEαADの基幹業務導入先、並びに今後拡大が期待される新規顧客などにも積極的にアピールしていくという。また、会見後の記者からの質問で、「双方にとって他社との同様の協業はありうるのか?」と聞かれると、「リコーとしては、顧客に役立つ機能をオープンにしていきたい気持ちはある。ただ、開発の経緯を考えると当面は大塚商会との協力関係をメインに進めていき、時期が来れば他者との協業もありうるだろう」「大塚商会としても同様の回答になる。ほかの複写機メーカーから話が持ちかけられたとしても、リコーとの関係を踏まえ、協議の上で検討したい」と答えた。