ヤフー(株)は14日、東京・六本木の同社オフィス内会議室で記者説明会を開催し、ポータルサイト“Yahoo! Japan(ヤフージャパン)”で提供しているメールサービス“Yahoo!メール”について、メールボックスの容量増加と添付ファイルの容量/数量の拡大を本日から11月上旬にかけて段階的に実施すると発表した。併せて同サービスの今後の展開についても説明があった。
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記者説明会に出席した、Y!BB事業部取締役事業部長の喜多埜裕明氏(右)と企画室プロデューサーの佐藤正憲氏 |
記者説明会にはY!BB事業部取締役事業部長の喜多埜裕明(きたのひろあき)氏、Y!BB事業部企画室プロデューサーの佐藤正憲(さとうまさのり)氏らが出席し、Yahoo!メールサービスの位置づけやビジネス性、これまでの状況と今後の展開、特に迷惑メール対策についての詳細を明らかにした。
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各社が提供するウェブメールサービスの利用者の変化。(財)インターネット協会による“インターネット白書”、および(株)ビデオリサーチインタラクティブ調べの数値を集計したもの |
最初に喜多埜氏がYahoo!メールサービスの位置づけや状況について、「メールサービスは日本だけでなく海外でも重要なサービスと認識しており、海外(米ヤフー(Yahoo!)社)とも会議を重ねて共同で新企画などを開発している。ウェブメールというサービスは多くの企業から提供されているが、Yahoo!ではほかのサービスへのポータル(入り口)と位置づけており、“Yahoo! ID”(Yahoo! Japanの各種サービスを利用するための一元化されたID)を取得するきっかけにもなっている。そのために携帯電話向けメールクライアント(iアプリ)などの機能強化も行なった。本日発表する容量増加はユーザーからの声に応えるもの。今後も機能強化を図って利便性を上げながら、最終的にプレミアム会員(有料サービスのユーザー)や、オークションなどほかのサービスの会員になってもらうことで収入につながる」と述べ、メールサービスのビジネス性が将来にもつながることを説明した。
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Yahoo!メールの利用者数の推移。画面にはないが、同社が直近で調べた数字では、月に1回以上アクセスされるアカウント数は890万件に上るという |
今回発表されたYahoo!メールの機能強化は、
- メールボックスの容量増加
- 一般利用者(無料):25MB⇒100MB
- Yahoo!プレミアム会員(有料会員):50MB⇒500MB
- Yahoo!BB会員(ISP契約者):100MB⇒2GB
- Yahoo!BB会員のオプションメールアカウント:25MB⇒100MB
- 添付ファイルの制限緩和
- 添付ファイルの個数:最大3つ⇒最大5つ
- 添付ファイルの合計容量(1通あたり):2.2MB⇒10MB
の2つ。また、バックアップの二重化やサーバー負荷増大への対応、携帯電話向けサービスの拡充(他キャリアーへの対応)、ユーザーインターフェースの改良など、システム面でも機能強化を図る計画があることを説明した。機能強化は、ユーザーをいくつかのグループに分けて段階的に実施し、本日時点でおよそ1/100のユーザーに新しいレギュレーションが適用されているという。
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Yahoo!メールで提供している迷惑メール対策 |
続いて佐藤氏が、Yahoo!メールにおける迷惑メール対策の現状と今後の予定について説明した。現在同社では、迷惑メール対策として
Yahoo! Japan側からの制御
- 悪質な送信元IPの管理
- 不正なあて先への送信チェック
- 存在しないアドレスに大量のメールが送り付けられた場合、その送信元からの受信を中断する
- SpamGuardによるフィルターリング
- 疑いのあるメールを迷惑メールボックスに自動振り分けする機能の提供
対策ツールの提供
- 迷惑メール報告機能
- アドレス変更サービス
- Yahoo!IDを変えずにメールアドレスだけを変えることで、ほかのサービスを継続して利用可能にする
- 受信拒否機能
- フィルター機能
- 迷惑メール対策ページ
- 迷惑メールに対する予備知識を掲載
Yahoo!メールが送信者にならない工夫
- アカウント作成時の画像認証
- 機械的なアカウント自動生成を阻止
- 送信者IPの監視
- ブラックリストとの照合
- 大量送信の監視
- 単位時間での送信数の制限
などを提供している。同社では、これらの機能の強化や改善を図るとともに、米国で米ヤフーが提唱しているメール送信者をドメイン単位で認証する技術“DomainKey(ドメインキー)”の導入についても検討を始めたことを明らかにした。
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米ヤフーが提唱している“DomainKeys”の詳細とメリット |
DomainKeyは、メールアドレスの管理者/管理会社から電子署名による認証をつけて配信し、受信側は電子署名の有無や信頼できる配信元であるかどうかを確認して、セキュリティーポリシーの運用に利用できるというもの。例えば、良い評価のドメインの情報(ホワイトリスト)をまとめることでSPAM対策ツールの精度向上が期待できるほか、悪い評価のドメインについてはブラックリストとして管理することでSPAM対策の強化が図れる。これにより、なりすまし(スピーフィング)や、有名サイトからのID/パスワードの確認・再入力を求める“フィッシング詐欺”行為を防げるという。
現在は技術面の検証中で、テストなども行なわれていないが、米ヤフーと協力して実装を進めたいと話した。
