日本ヒューレット・パッカード(株)(以下日本HP)は5日、“インテル エクステンデッド・メモリ64テクノロジ”(EM64T)採用Xeonを搭載したサーバー“HP ProLiant(プロライアント)”の計5シリーズ14モデルと、従来製品のOpteron搭載のブレードサーバー『HP ProLiant DL145 』の追加モデル2製品を発表した。出荷開始はいずれも8月下旬。また同日にはこれらの製品の記者発表会が開催され、64bit x86系CPUおよびItaniumファミリーを搭載するサーバー製品の今後の展開や戦略についての解説が行なわれた。
『HP ProLiant ML350 Generation 4』 | 『HP ProLiant ML370 Generation 4』 | 『HP ProLiant DL360 Generation 4』 | ||
今回発表された“HP ProLiant”シリーズのラインナップは以下のとおり。
- 『HP ProLiant ML350 Generation 4』(5モデル)
- 小~中規模ネットワーク向けの2Wayタワー型サーバー。EM64T採用Xeon-3.0/3.20GHzを搭載。価格は21万円から
- 『HP ProLiant ML370 Generation 4』(2モデル)
- 企業のワークグループからミッションクリティカルなリモートサイトまでの幅広い環境に対応する拡張性、信頼性を持った2Wayタワー型サーバー。EM64T採用Xeon-3.40GHzを搭載。37万8000円から
- 『HP ProLiant DL360 Generation 4』(4モデル)
- データセンターなどへの設置に適したEM64T採用Xeon-3.0/3.40GHzを最大2基搭載可能な1Uラックマウント型サーバー。28万3500円から
- 『HP ProLiant DL380 Generation 4』(2モデル)
- サービスプロバイダー、企業のデータセンターなどに向けた保守性、信頼性の高さを持つ、EM64T採用Xeon-3.40/3.60GHzを最大2基搭載可能な2Uラックマウント型サーバー。44万1000円から
- 『HP ProLiant DL145』(2モデル、従来モデルとあわせ合計4モデル)
- Opteron 250/248を最大2基搭載可能なラックマウント型サーバー。新たにSCSIをサポート。新モデルの価格は31万5000円から
EM64T採用Xeon搭載“HP ProLiant”シリーズの特徴 | 『HP ProLiant DL145』新規追加モデルの特徴 |
日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部統括本部長、松本芳武氏 | 日本HPのサーバー製品戦略の基本 |
国内サーバー市場における採用CPUアーキテクチャーのシェア変遷および予測 |
日本HPのサーバービジネスの推移 |
- 最高の製品ポートフォリオの提供
- 1Way~128Wayシステム、スケールアウトおよびスケールアップ、マルチOS(UNIX/Windows/Linux/NonStop Kernel)のすべてに対応できる製品ポートフォリオを提供。限定的な製品ポートフォリオしか持たないサーバーメーカーに対する競合優位を確保
- 充実したエコシステム
- 業界標準技術の採用によるパートナーシップの推進などにより、エコシステムの充実を図る。プロプライエタリー・システムをビジネスの中心とするサーバーメーカーに対する競合優位を確保
といった展開を進めていくとしている。これらの取り組みにより同社は、製品提供/導入/構成変更などへの迅速な対応性の強化、購入/運用/管理コストの低下や継続的な価格性能比の向上といったコストの削減、品質の向上、顧客の投資リスクの低減を果たしていくという。
日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部インダストリースタンダードサーバ製品本部本部長、上原宏氏 | 今回発表された製品の価格帯をまとめた表。同社では6ヵ月の間にx86系64bitCPU搭載モデルの比率を90%まで高めるという |
この日発表された製品などの説明を行なった日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部インダストリースタンダードサーバ製品本部本部長の上原宏氏は、業界標準テクノロジーを製品に取り込んでいくことで顧客が得る恩恵について、
- 投資の保護(システム更新時に過去の投資が無駄にならない)
- 豊富な選択肢(柔軟なニーズに対応するソリューションが選択できる)
- 適正な投資(市場競争の原理とスケールメリットにより適正な価格での導入が可能)
の3点を挙げた。これらの実現に向け、今回発表したフロントエンド~ミッドティア向けの“HP ProLiant”シリーズのラインナップを強化、ミッドティア以上向けの“HP Integrity”(Itanium 2搭載)と合わせ、「業界最強の64bit製品ポートフォリオが完成」したと述べた。
日本HPとマイクロソフトが提供する共同プログラム“FLP:64bit Windows ISVパートナプログラム”の概要 | 日本HPとマイクロソフトの戦略提携による施策の主な内容 |
また同社はサーバー製品群の発表と併せ、2003年8月に締結したマイクロソフト(株)との日本市場における戦略提携“Microsoft/HP Frontline Partnership”に基づく施策として、64bit版Windows対応アプリケーションの開発支援プログラム“FLP:64bit Windows ISVパートナプログラム”を発表し、EM64T採用Xeon搭載の“HP ProLiant”シリーズと、2005年リリース予定のWindows Server 2003 for 64-bit Extended Systemsによる64bitシステムへの移行を促進していくとした。このプログラムでは、
- 対応窓口の一本化
- 日本HPおよびマイクロソフトが持つパートナー支援窓口を一本化、専門チームが64-bit Windows Serverへの対応を計画しているISVの対応にあたる
- 開発プラットフォームの提供
- 参加ISV各社に対し、EM64T採用Xeon搭載の『HP ProLiant ML350』1台とWindows Server 2003 for 64-bit Extended Systemsベータ版、Microsoft SQL Server 2005ベータ版、Microsoft Visual Studio 2005ベータ版を提供する
- 製品/ソリューションの技術/動作検証
- 日本HPとマイクロソフト両社の専門技術者が、各ISVによるアプリケーションのポーティングや動作検証の支援を行なう
- 販売・マーケティング活動の支援
- 引き合い創出の共同企画や、販路拡大、販売促進のための各種支援策を展開する
といった施策を実施していくとしており、現時点で18社のソフトウェアベンダーがプログラムへの参加を表明しているという。
マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部Windows Server製品部部長、高沢冬樹氏 | Windows Server 2003 for 64-bit Extended Systemsの概要 | Windows Server 2003 Service Pack 1の概要 |
この日の発表会には、マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部Windows Server製品部部長の高沢冬樹氏が出席、同社の64bit環境に関する取り組みを解説した。この中で同氏は、日本HPなどメーカーのx86系CPU搭載64bitサーバーへの移行に向けた動きを踏まえ、「32bitから64bitへの移行を大きなビジネスチャンスと捉える」とし、Windows Server 2003の大規模アップデートとなるWindows Server 2003 Service Pack 1と同時期にWindows Server 2003 for 64-bit Extended Systemsを投入するとしたほか、HPC分野へのWindowsプラットフォームの普及に向けて、Windows Server 2003 HPC Editionをリリースすると述べた。なお、これらの製品のリリース時期はいずれも2005年を予定しているという。