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日本HP、ILMに最適化したアーキテクチャー“HP StrageWorks Grid”を採用したメール用オールインワンソリューション“HP StrageWorks Reference Information Storage System”を発表

2004年10月08日 20時46分更新

文● 編集部 美和正臣

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日本ヒューレット・パッカード(株)(以下日本HP)は7日、ILM(Information Lifecycle Management)環境に適した新たなストレージアーキテクチャーである“HP StorageWorks Grid”(以下、StorageWorks Grid)を発表した。また同時に、StorageWorks Gridに対応した初の製品として、ハードとソフトを統合したバックアップ(管理)ソリューション“HP StorageWorks Reference Information Storage System”(以下、RISS)を発表した。受注開始は7日からで、製品出荷予定は11月上旬。同日には製品の記者発表会が開催され、ストレージサーバー製品の今後の展開やStorageWorks Gridの戦略についての解説が行なわれた。

StorageWorks Gridは、ソフトウェアと同社の“ProLiant(プロライアント)”サーバーをまとめて“スマートセル”と呼ばれるモジュールを構成し、属性を付け、ポリシーに合わせて管理するアーキテクチャー。同社の既存のストレージシステムも統合が可能で、異機種での接続にも対応する。StorageWorks Gridが1つのシステムのように動作するため、管理がしやすくなるという特徴がある。

日本HPのエンタープライズストレージサーバ統括本部ネットワークストレージ製品本部本部長である渡辺浩二氏は、同社が考える理想のストレージサーバーとして、オープンな技術を使用しており、操作が簡単で、複数のストレージを1つのシステムとして仮想化可能なものを目指していると説明。小さな“セル”で必要な機能を積み上げ、リニアなスケーラビリティーを持たせるStorageWorks Gridという概念は、急激に容量が増大し、市場の変化が激しいストレージ市場にマッチするものだと語った。

日本ヒューレット・パッカードのエンタープライズストレージサーバ統括本部ネットワークストレージ製品本部本部長である渡辺浩二氏

米ヒューレット・パッカード社のネットワークストレージソリューションズ上級副社長兼ゼネラル・マネージャーであるボブ・シュルツ(Bob Schulz)氏は、現在のストレージサーバー市場の問題点について語った。氏によれば、ストレージサーバーは記憶装置とコンピューターを結ぶ高速なネットワーク“SAN(Storage Area Network)”や、ネットワークに直接接続して使用するファイルサーバー“NAS(Network Attached Storage)”などによって充実してきているが、市場は情報がどこにあるかではなく、どうやって活用するのかというニーズにシフトしたと説明。拡張性や適応性が重要になってきていると語り、それを解決するのがStorageWorks Gridというアーキテクチャーであると力説した。

米ヒューレット・パッカード社のネットワークストレージソリューションズ上級副社長兼ゼネラル・マネージャーであるボブ・シュルツ(Bob Schulz)氏
“HP StrageWorks”はストレージサーバーの概念を大きく変えると説明する“HP StrageWorks”では既存のストレージサーバーも1つのシステムとして扱うことができる

RISSは、StorageWorks Gridに対応した初めての製品で、メールサーバーから送受信されるメールのデータをRISS経由で送受信されるようにし、RISS内のストレージに全メールを保存する機能を搭載するシステム。2005年4月から施行される“個人情報の保護に関する法律”で定められた改ざん防止のための配信時間のデジタル署名機能や、一定期間の電子メールをアーカイブとして保存するILMに対応した機能を装備するのが特徴。部署単位など、規制対象を指定可能で、規制対象のユーザーにメールが配信されるとRISSがメールボックスからメールを受信し、RISS側でメールを管理。規制対象のユーザーはRISSにアクセスしてメールを受信する。サーバー管理者用のインターフェースも用意されており、メールをRISS内に取り込む際にメールのインデックスを作成するため、メールの件数に関わらず平均3秒での検索が可能という。検索機能はメールクライアントからも利用可能となっている。

今回発表されたRISSは、メールに対応した『HP StorageWorks RISS 1TBベースシステム』と『HP StorageWorks RISS 4TBベースシステム』の2製品。主な仕様と価格は以下のとおり。

『HP StorageWorks RISS 1TBベースシステム』
『HP ProLiant DL360 Generation 4』、『HP ProLiant DL380 Generation 3』、『HP ProLiant BL10e Generation 2』の3台で構成。1TB HDD搭載。1アクセス管理/セキュリティー/ロードバランス機能、インフラストラクチャー(ストレージ、サーバー、スイッチ、ソフトウェア)搭載。19インチラック組み込み済み。価格は2310万円。
『HP StorageWorks RISS 4TBベースシステム』
『HP ProLiant DL360 Generation 4』、『HP ProLiant DL380 Generation 3』、『HP ProLiant BL10e Generation 2』の3台で構成。4TB HDD搭載。1アクセス管理/セキュリティー/ロードバランス機能、インフラストラクチャー(ストレージ、サーバー、スイッチ、ソフトウェア)搭載。19インチラック組み込み済み。価格は6195万円。
『HP ProLiant DL360 Generation 4』
『HP ProLiant DL380 Generation 3』
『HP ProLiant BL10e Generation 2』

また、RISSのサポート環境は以下の通り。

対応電子メールサーバー
Microsoft Exchange 5.5/2000/2003、Lotus Domino V5/V6、Sendmail
対応電子メールクライアント
Outlook 2000/2002/2003
対応対応ドキュメント
Micorosoft Word(.doc)/PowerPoint(.ppt)/Excel(.xls)/Access(すべての拡張子)/Outlook personal folder(.pst)/Adobe Portable Document Format(.pdf)/リッチテキスト形式(.rtf)/Outlook Encapsulated.rtf(TNEF)/ハイパーテキストマークアップ言語(.html)/ テキストファイル(.txt)/ASCIIファイル(.asc)

シュルツ氏によれば、今回発表したRISSは“NASDAQ(ナスダック、米国店頭市場)”にすでに導入されており、2回目の導入効果調査で30万ドル(約3300万円)相当のコスト削減がされたとして、高い評価を受けていると事例を紹介した。また、米国内では“SEC(米証券取引委員会)”による電子メール保管を義務付ける法律のため、RISSのような製品は非常に重要なものになってきたと語り、米国内で展開する日本企業においてもRISS導入にはメリットがあると話す。

“NASDAQ(ナスダック、米国店頭市場)”ではRISSはすでに導入されている

米HPのネットワークストレージソリューションズILMテクニカルディレクターであるジョン・ルーク・シャテレイン(John Luke Chatelaine)氏は、RISSが登場した背景を語った。まず、メールやオフィス文書など、企業が保存しなければならないデータが増加してきており、ILMベースでの管理が必要とされてきていると説明。しかし、従来型の管理システムでは、複雑で、費用が高いという問題点があったと語る。とくにメールの管理では、米国内でも管理者が手動でバックアップを行なっているところも多く、自動化処理は必須になってきていると説明。RISSはメールだけではなく、画像/動画/文書ファイルをコンテンツベースでインデクシング可能なため、非常に便利だと語った。

米ヒューレット・パッカードのネットワークストレージソリューションズILMテクニカルディレクターであるジョン・ルーク・シャテレイン(John Luke Chatelaine)氏RISSはバックアップのほかに、コンテンツベースの索引付けが可能なため、検索性にも優れるRISSはメールの改変の禁止と一定期間の保管などが可能

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