アドビシステムズ(株)は18日、電子政府実現のための行政業務の電子化における『Adobe Acrobat』の戦略について、報道関係者向けに説明を行なった。
説明を行なう同社代表取締役副社長の石井幹氏 |
Adobe Acrobatは、電子文書フォーマット“Adobe PDF”ドキュメントを作成するためのツール。同社は、電子政府の実現に関し、各省庁内のドキュメントの電子化、省庁間で利用するドキュメントの電子化、情報公開、電子申請においてAdobe PDFおよびAdobe Acrobatを利用できるとし、各省庁などに働きかけを行なっているという。
具体的には、庁内で利用するドキュメントの電子化、ウェブ上での行政情報の公開、オンライン申請サービスなどがAdobe PDFにより容易に実現できるとしている。現在、中央府省および全47都道府県の地方自治体が、情報の開示用フォーマットとしてAdobe PDFを利用しているほか、多くの地方自治体で各種申請書をPDF形式でダウンロードできるサービスを展開しているという。
同社は、今後、行政/民間ともAdobe PDFの利用が伸びることを予測し、これまでグラフィックス製品ビジネス中心だった営業体制を変更、営業全体の6割をAdobe Acrobat関連ビジネスに当てるとしている。
また、文書作成ツールやグループウェアなどさまざまなツールでPDFを利用できるようパートナーシップを強化するとともに、各種用途に合わせた細かなラインナップを用意するという。さらに、XMLベースの汎用電子申請システムを支援するため、Adobe AcrobatとXMLの親和性をさらに高めるとしている。
また、電子申請における課題として、現在無償提供されているAdobe PDF文書閲覧ツール『Adobe Acrobat Reader』では、PDF文書への入力そのものはできるが、入力後のデータを保存できないことをあげ、解決策として、自治体が提供するデータのみ保存可能になるようAcrobat Readerに機能変更を加える、あるいは行政サービスとして自治体側が料金を負担する形でAdobe Acrobatを一般市民に提供する、といったことを検討しているという。