先日、「Civilization: Call to Power II」を個人輸入したついでに買った、スウェーデンのメーカー、Paradox Entertainmentの「EUROPA UNIVERSALIS」。これが予想以上に面白い。結局、Call to Power IIは放り出したまま、ずっとプレイを続けている。一見地味なテーマと内容のこのゲーム、このまま日本で日の目を見ないままなのはとっても惜しいので、今回は、敢えてこの英語版ゲームを紹介したい。
「EUROPA UNIVERSALIS」(以下EU)は、1492年から1792年までの300年間の世界史を再現したリアルタイムシミュレーションゲームだ。――と書くと「Age of Empires(AoE)シリーズみたいなもの?」と聞き返されそうだが、イメージはだいぶ違う。
新旧両世界を現実時間感覚で行き来できる
メインマップ。左側に都市マップや各種情報が表示される。マップの倍率は4段階で拡大/縮小が可能だ(左が最大、右が最小倍率)。 |
「リスク」という名作ゲーム(もともとボードゲームで、PC用SLGとしてはHasbro Interactive, Inc.が製作し、メディアクエストが「リスク2完全日本語版」として発売している)があるが、あのゲームのエリアをもっと細かく分割した世界地図上を、陸軍(歩兵/騎兵/砲兵)と海軍(戦闘艦/ガレー船/輸送艦)が往来し、戦う。各エリア内には都市が1つずつ存在するのはSpectrum HoloByteの名作ゲーム「Civilization」(Civ)の都市内マップのような感覚で、陸海軍ユニットの作成、城壁や徴税施設などの建設といった行動ができる。陸海軍の1ユニットは、プレイヤーが任意にまとめた戦力(陸軍は兵士数/砲数、海軍は隻数)を単位に編成され、戦力の統合や分割は自由だ。各ユニットは、実名/ランダム名のリーダーが指揮をとる。
グランドキャンペーンの設定。ほかにも、30年戦争、北方戦争、スペイン継承戦争、アメリカ独立戦争シナリオなどが用意されているが、設定データのほとんどがテキストファイルなので、Webサイトなどを参考にすれば自作シナリオも柔軟に作成できる。 |
プレイヤーは、おもにヨーロッパの1国を受け持ち(シナリオによってプレイ可能な国は変わる)、シナリオごとに設定された勝利条件の達成を目指して、軍事、内政、外交、経済、さらにこの時代ならではのアジア、アフリカ、新世界の探検と入植の指揮をとる。グランドキャンペーンの期間は300年もあるので、各国とも国王、元首は次々と代替わりしていく。特定の王や元首の立場というより、スペインやフランス、イングランド(イギリス)などの「国家」の立場でプレイするというほうが近い(AoE的ではなくCiv的)。
また、「リアルタイム」の最小単位は、実に「1日」。ゲーム上での300年×365日=約11万日がズンズンと進行するのだ。スピードは、実時間の5分で1カ月~1分で2年の間で段階的に調整できる(一時停止もかけられる)。一見した限りでは、エリア式マップだからターン制のほうが簡潔になっていいのでは、と思ったのだが、イングランドからアフリカ周りでインドへ行くのに「8ターン」ではなく「3月6日から11月20日まで」かかるという、この妙に新鮮な感覚は(現実世界では当然のことなのに)、実際にプレイしてみて初めてわかる。