このページの本文へ

サイバーソース、Eコマースサイト向け複合ASPサービスを開始

2000年11月07日 22時22分更新

文● 編集部 佐々木千之

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

サイバーソース(株)は7日、事業説明会を開催し、Eコマースサイトにおける、クレジットカード決済やカードの不正取引チェックといったバックオフィス業務を請け負うASPサービスを開始したと発表した。

サイバーソース株式会社は、米国で同様のEコマース向けASPサービスを展開する米サイバーソース社と、丸紅(株)、トランス・コスモス(株)が共同で3月に設立した。所在地は東京都千代田区で資本金は3億2000万円(2001年に増資予定)。出資比率は米サイバーソース51.7パーセント、丸紅とトランス・コスモスが各24.15パーセントとなっている。現在の社員は11人。代表取締役社長の鍋島正篤氏は丸紅出身で、丸紅ではソフトウェア事業を手がけていたとしている。

サイバーソース代表取締役社長の鍋島正篤氏サイバーソース代表取締役社長の鍋島正篤氏

今回提供が開始されたサービスは、“クレジットカード決済代行”、“クレジットカード不正取引チェック”、“デジタルデリバリサービス”(※1)の3つがある。さらに今後“電子商品券サービス”(※2)、“フルフィルメントサービス”(※3)も予定している。基本となるサービスはクレジットカード決済代行サービスだが、ほかのサービスを追加する場合でも、Eコマースサイト側のインターフェース(API)は共通化されているため、サイト側の負担が少なくて済むことが特徴としている。

※1 MP3ファイルやパソコンのソフトウェアなど、デジタルコンテンツのオンライン販売のためのサービス。

※2 電子的な商品券やクーポン券を発行・管理するサービス。

※3 配送業者への発送指示をしたり、配送状態を管理するサービス。

このうち、クレジットカード不正取引チェックというのは、クレジットカード会社でなく、サイバーソースが独自に行なう不正取引チェックシステム。ある顧客が商品を購入しようとした場合、購入のために必要な情報はいったんサイバーソースのASPサービスセンターに送られるわけだが、ここで顧客の名前、住所、メールアドレスをはじめとした情報をデータベースに取り込み、不正取引の可能性を0~99の点数に換算してEコマースサイトに通知する。Eコマースサイトでは、その値とあらかじめ決められた基準値とを比較して、カード決済の可不可を判断するというもの。データから点数化するにあたっては、米サイバーソースが米ビザ・インターナショナル社(VISA)の協力を得て開発した人工知能システムを利用し、過去の犯罪者の購買行動パターンなどから判定するという。

サイバーソースの鍋島社長は、同社のバックオフィスサービスを利用することで「Eコマースサイトを運営する企業は、本来注力すべき、マーケティング、マーチャンダイジング、顧客へのサポートなどの業務に人や時間を集中することができる。日本はクレジットカード決済ひとつをとっても、30社にも及ぶクレジットカードがあり、自社で構築するには多大なコストと技術が必要。サイバーソースのサービスは単品のサービスを自由に組み合わせて利用でき、サービスの拡張も容易に行なえる」として、アウトソーシングのメリットを強調した。

サービス料金については、システムの利用にあたって最初に10万円、その後は毎月2万円プラス、1つの決済処理(カード決済サービスの場合)あたり60円となっており、Eコマースサイトの規模や、購入する商品の価格には関係しない。それ以外のサービスについては個別に料金が定められており、不正取引チェックサービスでは1回につき30円などとなっている。米国ではクレジットカード決済を利用するEコマースサイトのうち、3割程度が不正取引チェックサービスも利用しているという。

米サイバーソース会長兼CEOのマッキャーナン氏米サイバーソース会長兼CEOのビル・マッキャーナン(Bill McKiernan)氏

米サイバーソースは「“Amazon.com”や“buy.com”といった、大手Eコマースサイトにサービスを提供しており、1日40万~90万トランザクションを処理している」(米サイバーソースのビル・マッキャーナン(Bill McKiernan)会長兼CEO)といい、日本でも中・大規模のEコマースサイトに対してマーケティング活動を行なうという。すでに商談はいくつか進んでいるというが、現段階では企業・サービス名は明かされなかった。

Eコマースサイト向けのクレジットカード決済代行サービスにおいては、米サイバーキャッシュ社がソフトバンク(株)と合弁でサイバーキャッシュ(株)を'97年に設立し、クレジットカード決済代行と物流サービス事業を行なっている。これに対しサイバーソースは、カード不正取引チェック、デジタルデリバリーサービス、電子商品券サービスといった、きめの細かいサービスを「柔軟かつ統合的に提供できる」(鍋島社長)ことで、対抗していくという。米国では、サイバーキャッシュが約2万5000サイトにサービスを提供しているのに対し、サイバーソースは約3000サイトだが「サイバーソースは大手の採用が多く、トータルトランザクション数で比較するとサイバーソースの方が多い」(鍋島社長)としており、こうした実績を背景として、積極的に営業を行なうという。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン