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インテル、“Coppermine”発表。しかしi820は発表されず──Pentium III発表会レポート

1999年10月27日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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インテル(株)は26日、新Pentium IIIの記者発表会を開催、サーバー/ワークステーション、デスクトップ、ノートの3つのプラットフォーム向けの15製品を発表した。サーバー/ワークステーション向けに、RDRAMをサポートした『Intel 840』チップセットも発表されたが、『Intel 820』チップセットについては先送りとなった。

『インテルPentium IIIプロセッサ』の価格については、すでに速報でお知らせしているが、製品の内容についてもう少し詳しく説明する。

まず、今回発表されたPentium IIIファミリーはすべて、0.18μmプロセスで製造されており、プロセッサーコアと同じダイ上に256kBの2次キャッシュメモリーを搭載していることがあげられる。従来の“Katmai”では、2次キャッシュメモリーへ64bitバス経由でアクセスしていたが、今回の製品では256bitと4倍のバス幅になり、大幅にアクセススピードが向上した。結果として、従来のPentium IIIプロセッサーに比べ、同クロックで最大25パーセント性能が向上したとしている。


デスクトップ用Pentium III

デスクトップ用に発表されたPentium IIIは、“Coppermine”というコードネームで呼ばれていたもので、FSB(Front Side Bus)が133MHzの製品(733/667/*600EB/533EBMHz)と100MHzの製品(700/650/600E/550E/500EMHz)がある。また、パッケージについては従来のSlot1用のSECC2(Single Edge Contact Cartridge 2)パッケージだけでなく、Socket370用のFCPGA(Flip Chip Pin Grid Array)パッケージも用意される。

これは初のSocket370用Pentium IIIということになるが、550E/500EMHzという比較的低いクロックからの投入となった。このパッケージについては、日本のメーカーからの「もっと小型のフォームファクターに対応したプロセッサーを」という要望に応えたものという。

*600EB/533EBMHz:9月28日に発表された、KatmaiコアのPentium III-600B/533BMHzと区別するため、“EB”が付け加えられている。600E/550E/500Eについても同様に“E”がつけられている。


サーバー/ワークステーション用Pentium III

サーバー/ワークステーション用のPentium IIIは、“Cascades”というコードネームで呼ばれていたもの。FSBは133MHzのみで、同時に発表されたIntel 840チップセットと組み合わせて、2-Way(プロセッサー)までのサーバー/ワークステーションを想定している。なお、今後登場すると見られる、4-Way以上に対応するCascadesでは、FSBは100MHzとなりより多くの2次キャッシュメモリーを搭載するといわれる。


ノート用Pentium III

これも“Coppermine”と呼ばれていたもの。インテルのノート用プロセッサーとしては初めて、FSBが100MHzとなった。FSBの高速化で、現行の『モバイルPentium IIプロセッサ』よりもバス速度が50パーセント向上し、256kBの2次キャッシュメモリーとの組み合わせによって、現在の最高性能のノート用プロセッサーと比較して、最大で2倍の性能になるとしている。モバイルPentium II-400MHzとモバイルPentium III-400MHzとの比較では、消費電力が32パーセント低いにもかかわらず、浮動小数点演算では89パーセントも性能が向上している。

パワーマネージメント機能として、低消費電力でアイドリングしながら、瞬時に通常動作モードに移行できる“Quick Start”技術を搭載した。モバイルPentium IIIは、従来と同様のBGA(Ball Grid Array)パッケージでは、19パーセント小型になっているほか、新たにマイクロPGA(Pin Grid Array)パッケージでも用意される。このマイクロPGAパッケージでは、BGAパッケージと異なり、基盤に直接ハンダ付けせずに、ソケットを介して装着することができる。これにより、多くの仕様に対応が可能になるという。

発表会では、Pentium III-733MHzとCeleron-500MHzをそれぞれ搭載したパソコンを使い、暗号化されたビデオ画像を復号しながら表示しつつ、表計算のグラフィック表示を行なう、というデモンストレーションが行なわれた。これは、近い将来、企業内で流れるデータは暗号化されることを想定してのもの。「そんなに高速なプロセッサーがなぜ必要か」という問いに対する、インテルの1つの回答となった。

また、Pentium IIIのPSN(Processor Serial Number)を使ったアプリケーションの例も紹介された。これは、(株)ガルフネットコミュニケーションの『GroupCast 2.5』という、インターネット経由でマルチメディアコンテンツの配信を行なうソフト。企業内の端末への配信の際に、端末を特定するためにPSNを利用している。“白木屋”などの飲食チェーン店を展開する(株)モンテローザ、DPEチェーンの(株)プラザクリエイトへの納入実績があるという。

インテルの代表取締役社長傳田信行氏
インテルの代表取締役社長傳田信行氏



インテル取締役副社長のジョン・アントン(John Anton)氏。手に持っているのはFCPGA版Pentium III
インテル取締役副社長のジョン・アントン(John Anton)氏。手に持っているのはFCPGA版Pentium III



今回発表されたPentium IIIダイのアップ。左側の黄色の短冊状の部分が2次キャッシュメモリー
今回発表されたPentium IIIダイのアップ。左側の黄色の短冊状の部分が2次キャッシュメモリー


FCPGA版Pentium III
FCPGA版Pentium III



モバイルPentium IIIの2つのパッケージ。左はマイクロPGAパッケージ、右がBGAパッケージ
モバイルPentium IIIの2つのパッケージ。左はマイクロPGAパッケージ、右がBGAパッケージ


今回の発表で記者に配られたモバイルPentium IIIのサンプルセット。インテルがこうしたサンプルを発表会で配るのは珍しい
今回の発表で記者に配られたモバイルPentium IIIのサンプルセット。インテルがこうしたサンプルを発表会で配るのは珍しい

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