データセンターという言葉には、何となく重た~い雰囲気が付きまとうものである。ラックに高そうなサーバがぎっしりと積まれ、「ぐぉぉお……」とファンが地響きにも付かない大音響を立てて駆動している。そんなイメージを持っていたのだが、実際のところはどうなのだろうか? 今回は、充実した内容をリーズナブルな価格で提供することで有名なさくらインターネットを取材。玄人好みのサービスがどのように運営されているかを聞いた。
今回紹介されたサーバたち。限られたスペースをいかに効率的に使うかという試行錯誤が、サーバ開発の歴史だ |
数々のWebサービスを支えるさくらインターネットのサービス
昨今の多種多様なWebサービスを支えるホスティングサービス事業者の代表として、1996年からレンタルサーバ事業を営む「さくらインターネット」が挙げられるだろう。
同社のサービスは、もともと創業者が高専内で運用していたサーバを学内に貸し出し、それをヒントに起業したことが始まりだという。1996年に当時はまだ珍しかった共用レンタルサーバサービスを開始。1999年には自社でデータセンターを開設し、共用・専用レンタルサーバのほかハウジングサービスを開始する。ハウジングとは、データセンター内のラックスペースやネットワーク、電源設備など、サーバの運用環境を貸し出すサービスだ。
SOHOからエンタープライズまでを支える、さくらインターネットの幅広いサービス |
そして、現在では自社運用のデータセンターが全国6箇所に設置されており、大容量のギガビットネットワークで相互接続されている。こうしたさくらインターネットのサービスは、「所有から利用へ」というアウトソーシングの波に乗ってユーザーを拡大し続け、現在では多くのWebサービス事業者の支持を得ているわけだ。
高い信頼性とセキュリティを誇るさくらインターネットのデータセンター |
リーズナブルなサービスを支える自社開発のサーバ
さて、さくらインターネットのサービスでもっとも特徴的なのは、「リーズナブルな価格」であろう。さくらインターネットが多くのユーザーに支持されている理由の1つも、この価格であろう。
多くのWebサービスの場合、サービス開始当初はなかなか収益につながらず、トラフィックやユーザーの予想もしにくい。そのため、サーバなどのインフラにかかるコストはとにかくお安く抑え、サービスの運用を進める必要がある。その点、さくらインターネットのレンタルサーバの場合、コスト面での敷居が低く、容量500MBのプランはなんと年額1500円という価格から利用できる。月々、缶コーヒーくらいの値段を支払えば、Webサイトが持てるのである。一方、専用サーバに関しても「サーバを1台まるごと利用できる専用サーバも、以前だったら共用サーバと同じような月額7800円という価格から提供しています」(さくらインターネット株式会社 山下淳治氏)とのこと。これであれば、当初は小さく、ユーザーが増えたら大きくというスモールスタートが可能であろう。
さくらインターネット株式会社 企画部 広報宣伝チーム 統括マネージャー 山下淳治氏 |
サーバを設置するデータセンターや回線に関しては、コストがそのまま品質につながる可能性があるため、ただ安いだけのものは使えない。これに対して、さくらインターネットがリーズナブルな価格を実現できた秘訣は、自社開発のサーバにある。
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