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動画SNSに活路を求めるPowerDVD8

2008年04月24日 22時16分更新

文● 小西利明/トレンド編集部

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 サイバーリンク(株)は24日、BD再生にも対応したDVD再生ソフト「PowerDVD」シリーズの最新版「PowerDVD8」のリテールパッケージ版を発表した。パッケージ版の発売は6月下旬。ダウンロード版はすでに発売中である。

 同日開催された記者説明会では、単なるBD/DVD再生ソフトという枠から脱皮して、動画SNS的機能を取り込む方向への進化が示された。PowerDVDが目指す動画SNSとは、いったいどのようなものだろうか?

PowerDVD8

PowerDVD8(画像は英語版のものです)

 PowerDVD8シリーズは、BD-VideoやBD-J(BDソフト上でのJava実行環境)の再生に対応。NVIDIA GeForceシリーズやATI Radeon HDシリーズが備えるHDビデオ再生支援機能にも対応する。

 これらの機能は再生ソフトとして重要ではあるものの、例えばBDドライブ搭載パソコンや単体のBDドライブ製品に付属するBD/DVD再生ソフトにも(ある程度)備わっている機能である。こうした基本部分の強化には限界があり、そこを強化していくだけでは、「新たにBD/DVD再生ソフトを購入したい」という消費者を増やすことはできない。

 そこでサイバーリンクが着目したのが、動画SNSとの連携という新しい要素だ。

MoovieLive.com

PowerDVDユーザー向け動画SNS「MoovieLive.com」

 サイバーリンクはPowerDVD8の発売に合わせて、動画SNSサイト「MoovieLive.com」を開設した。PowerDVD8のユーザーはMoovieLiveで、PowerDVD8で見たDVDの情報に評価を付けて投稿する「Movie Collection」や、DVDの映像を自分なりにリミックスした「Movie Remix」といった機能を利用できる。

 MoovieLiveのトップページからは、多くのユーザーがコレクションしているDVDタイトルが列挙されるほか、他のユーザーが作ったMovie Remixの参照もできる。投稿はPowerDVD8上から簡単に行なえる。動画SNSとBD/DVD再生ソフトが密接に連携しているわけだ。

DVDビデオに関する評価やレビューを投稿できる

MoovieLiveでは、PowerDVDで視聴したDVDビデオに関する評価やレビューを投稿できる。DVDビデオのタイトルごとに投稿を表示してみると、ユーザーのさまざまな評価が見られる

 Movie Remixというのは、市販のDVDビデオソフトを素材に、独自のリミックス映像を作り、MoovieLive上で共有する面白い機能だ。独自のプレイリストを作って、DVDビデオの中から見たいシーンだけを抽出したり、映像の上に字幕や画像を加えたり、さらには独自の音声/映像を付けることも可能という。

「Movie Remix」の作成イメージ

「Movie Remix」の作成イメージ。DVD再生ソフトから、市販DVDでオリジナルのリミックスを作れてしまうというのは今までにない発想だ

 簡単に言えば、市販のDVDビデオを使ってオリジナルビデオクリップを作り、それを他のユーザーにSNSを通じて配信できる、というのがMovie Remixなのだ。

 Movie Remixのポイントは、配信するのはあくまでリミックス用データだけという点にある。DVDビデオから映像をリッピングして、リミックスデータを合成して新しいビデオファイルを作り出すわけではない。故に、公開されたリミックス映像を見たければ、見る側のユーザーも同じDVDビデオを用意しておく必要がある。

MoovieLive上に投稿されたMovie Remix

MoovieLive上に投稿されたMovie Remix。公開できるのはリミックス用データのみで、「DVDビデオ自体は自分で用意しろ」というのはうまい方法だ

 この方法によって、DVDビデオソフトの著作権を侵害せずにすむ。技術的には、リッピングしてリミックス映像を作ることも可能だろうが、他者の権利を侵害せずに動画で遊ぶ楽しみを提供するというMovie Remixのコンセプトからすれば、妥当な落としどころと言えるだろう。

 MoovieLiveに投稿された情報は、今のところ海外で販売されているDVDビデオの情報ばかりであるが、日本で販売されているDVDビデオの情報も扱えるように、サイバーリンクは外部のデータベースと提携しているという。PowerDVDを使って視聴された映画の一覧なども参照できて、なかなか面白いSNSとなっている。

 BD/DVD再生ソフトと動画SNSの連携という手法が、消費者にどう評価されるかは未知数だ。しかし、機能や性能面での強化が難しいBD/DVD再生ソフトが見つけた新しい方向性としては、動画SNSとの連携というのは興味深い試みと言える。難しいとは思うが、ニコニコ動画などとの連携が実現できれば、日本でも多くの消費者に受け入れられるのではないだろうか。

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