コンパクトデジカメの新たなスタンダード機
実際に利用してみると、平面のみで構成されたボディーは単にスリムなだけではなくポケットなどへの納まりもよく、余分な凹凸を廃しているため引っかかることなくポーチなどから取り出せる。さすがに前面の指掛かりがCANONのロゴのみなので、撮影時のホールド性そのものはあまりよくないが、背面では撮影/再生の切り替えスイッチのレバー部がわずかながら親指のすべり止めになるなど、細かい工夫が効いている。改良された液晶コーティングもあって液晶ディスプレーの視認性は非常によく、邪魔にならない程度にシャッター速度などが表示されるのも手ぶれ限界の目安になって使いやすい。
画質に関してもコンパクト機としてはかなり良好で、周辺部のゆがみや描写力の低下はほとんど気にならない。コントラストの強い部分でエッジの着色が若干見られるものの、小サイズの撮像素子を用いるコンパクト機としてノイズをよく抑えているのはさすがだ。
シンプルなフォルムと高品位の質感、機能を必要以上に盛り込まない使いやすい操作性など、IXY DIGITALシリーズはコンパクトデジタルカメラの定番ではあったものの、光学式手ぶれ補正搭載の『IXY DIGITAL 900 IS』や、よりコンパクトな“IXY DIGITAL L”シリーズなど、このところはさまざまな模索も行なわれ、豊富なバリエーションがラインナップされている。また、最近のモデルでは曲線・曲面を多用することで女性にも親しみやすいデザインを取り入れるといったさまざまな工夫がなされてきた。そんな中で本機は、IXY DIGITALシリーズ本来の直方体ボディーに最新機能と使いやすさを盛り込み、原点に立ち戻りつつ他社のスタイリッシュ・コンパクトデジタルカメラとは一線を画す高い完成度に仕上げている。コンパクトデジタルカメラ市場も屈曲光学系による高倍率ズームや光学手ぶれ補正の搭載など、購入時の選択基準になるものが増えてきたが、まずはIXY DIGITAL 10を店頭などで触ってみて、これを基準に選んでみるのもいい手だろう。
IXY DIGITAL 10の主なスペック | |
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製品名 | IXY DIGITAL 10 |
撮像素子 | 1/2.5インチ有効710万(総740万)画素CCD |
レンズ | 光学3倍ズーム、f=5.8~17.4mm(35mmフィルムカメラ換算時:35~105mm)、F2.8~4.9 |
静止画撮影 | 最大3072×2304ドット |
ISO感度 | オート、高感度オート、ISO 80/100/200/400/800/1600相当、ISOブースト |
動画撮影 | 640×480ドット、15/30fps、MotionJPEG圧縮AVI形式 |
液晶ディスプレー | 2.5インチ低温ポリシリコンTFT、約23万画素 |
記録メディア | SDカード/MMCカード(32MB付属) |
インターフェース | USB、AV出力 |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(NB-4L) |
撮影可能枚数 | 約210枚(液晶ディスプレー使用時)/約600枚(不使用時) |
本体サイズ | 85.9(W)×19.4(D)×53.5(H)mm |
重さ | 約125g(本体のみ) |