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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第12回

ダム欲が止まらない!──圧倒的な非日常感に魅了された「ダムサイト」管理人

2007年11月26日 18時00分更新

文● 古田雄介

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台風上陸でダムマニアが祭り状態に

 

── ダムサイトのアクセス数を教えてください。

萩原 何も更新しない日は、1日200、300ですね。ただ、季節や天候に左右されます。ニュースでダムが露出するためだと思いますが、夏は多くて冬は少ない。雨が降ってもアクセス数が増えますね。台風が来たときは本当にガーンと上がります。

 

── 9月に台風9号が関東地方を襲ったときは、多摩川上流にある小河内ダムが脚光を浴びましたね。

萩原 あのときはアクセス数が増えましたが、それより僕らダムマニアが大変でした。今は、ダムの放流状況や川の水位はだいたいネットで分かるので、台風が上陸すると、ダムマニアは徹夜でその状況をチェックするんです。

 台風9号のときは関東一円の全部のダムが洪水対策をしていたのが分かりました。僕やほかのダムマニアは、台風の間中、不謹慎で申し訳ないですけど、いわゆる祭り状態になっていましたね。「今△△川がヤバイよ」というメールが飛び交って、「○○ダムがすごく頑張っている。ということは●●さんが寝ずに操作しているんだ!」とか。

 

── 僕も家が多摩川下流なんですが、あのときは流量が異常でしたね。あとから小河内ダムが貯水池の水を放流したんだと知りました。

萩原 小河内ダムはもともと洪水を防ぐ用途はないので、例外的な措置だったと思います。台風が来る前から放流して、貯水池の水位を下げるという対処もしていたので、それを知って「小河内ダムが予定外の活躍で頑張っている!」と興奮していました。

 

── 膨大な知識があってこその興奮ですね(笑)。来年には貯水量が日本最大の徳山ダムが完成しますが、やはり注目されていますか?

萩原 僕まだ徳山ダムに行っていないので、必ず訪問したいですね。でも、行くなら稼働する直前です。

 ダムは完成直後に一度貯水池を満水にして、ダム本体の安定性や設備の動作をチェックします。だから、徳山ダムも満水まで溜まったあとに、本体の一番上にある水門を開けて放流するはずなんです。それを絶対見たい。一番上にある水門は、どのダムでも100年や200年の洪水に備えた最終手段なんですよ。試験後はほとんど開くことがないので、そのシーンは必ず見に行きたいですよね。

 

── 最後に。最近は世界的にダムの建設が減っていますが、ダム愛好家として、この状況はどう感じますか?

萩原 必要な条件がそろったときに作るべきというのは分かっているので、減っていくのは仕方ないと思います。ただ、あちこちにダムが作られた昭和30、40年代に生まれたかったという思いはあります。現在、そのころにできたダムが見られるというのも幸せですけどね。

多摩川の堰が気になる

取材中、多摩川の堰(せき)が気になって見に行く萩原氏。「ダムも含めて、水をためたり分けたりするような設備は全般的に好きですね」とのこと

 
古田さん

筆者紹介──古田雄介

 

建設現場と葬儀業を経てデジタル&サブカルライターに転身。デジタルと言いつつ、“古田雄介の週末アキバPick UP!”(ITmedia)など、足で稼ぐ記事が多い。当連載では、大好きなサイトの管理人さんに直接会える喜びを堪能しています。自ブログは“古田雄介のブログ”。

 

*次回は11月26日掲載予定

 

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