このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 次へ

古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第10回

99%がウソ記事!?──「虚構新聞社」の社主が語る、ノンフィクションな本音

2007年10月29日 19時00分更新

文● 古田雄介

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
イメージ

 この連載の第8回でも述べたとおり、ネットの世界で真実の情報を見つけ出すには、「事象を逐一分析する目」が必要だ。逆に言えば、その目があればウソの情報を楽しむ余裕も生まれてくる。ネットロア(ネットで受け継がれるウワサ)や都市伝説も、本気で信じる人だけでなく、巧妙なウソを楽しむ人間が参加することで、加速度的に知名度を上げていく。

 今回インタビューした「虚構新聞社」の社主(管理人)・UK氏も、ウソを楽しむ精神の持ち主だ。「PSPのパチもんを買ってきた父親を息子が殴る」「『萌え』の起源は枕草子」など、本当にありそうな(?)ウソの記事を発信し続けており、一部でカルト的な人気を博している。

 偽りの情報を混ぜた記事は、一歩間違えるとクレームの嵐となり、自身が大やけどを負う禁断の果実。それでも、UK氏は「おちょくれそうなら、右も左も関係なくおちょくります」と気楽に構えており、事実、クレームの類はあまり受けていないという。

 顔の見えるインターネット第10回は、プロフィールさえ虚構で埋めつくされた謎だらけのサイトの真実と、UK氏のハイレベルな虚構創造力の実態に迫る!

Kyoko Shimbun News(虚構新聞社)


 時事ネタなどを風刺したジョークニュースだけを発信するサイト。見出しや記事には「これは嘘ニュースです」という隠し文字を入れているが、リアリティのある記事に騙される人は今でも後を絶たないという。UK氏の気の向くまま不定期更新を続けているが、トップページだけで1日平均7000ページビューを継続している。



初出時、「ちなみに、サイトのアイコンも『au one』という虚構のロゴだ。」という記述がありましたが、このアイコンは無料フォントサイトから取得した正規のアイコンでした。訂正してお詫び申し上げます(2007年11月6日)



「あー、ウソです。」


 まず、虚構新聞の公式プロフィールをみてもらいたい(ソースはニュース特集「虚構新聞の歴史をたどる」と「データで見る虚構新聞」)。

資本金 −8700万円
発行所 滋賀、東京、ニューヨーク、ロンドン
保有航空機 エアフォース・ワン1機
社員数 1名
沿革 1880年4月1日 虚構新聞創刊
1945年8月16日 虚構新聞復刊も、まもなくGHQ指令により発禁処分になる
2004年8月22日 虚構新聞廃刊
2004年8月29日 虚構新聞復刊。社主が日本ひよこ党関東支部長・鏡子氏(24)に代わる
2004年10月13日 UK氏が社主に復任

── 虚構新聞創刊から、まもなく130年ですね。

UK あー、ウソです。実際のスタートは2004年3月からですね。

 もともと「楠木坂コーヒーハウス」というサイトを運営しているのですが、そこでエイプリルフール用にウソニュースを流そうと思い、色々書いていたんです。1記事だけのつもりだったんですが、ヒートアップしてしまって3、4記事作りまして。

 結構ウケが良かったので、それからは月1、2本のペースで書いていました。20本ほどたまったところで、独立したサイトを作ろうと思い立ち、虚構新聞社が誕生したわけです。

楠木坂コーヒーハウス

虚構新聞社の親サイトともいえる「楠木坂コーヒーハウス」。ドラクエII〜IVを勇者一人でクリアしたサイトとして有名だ


(次ページに続く)

前へ 1 2 3 4 5 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン