南シナ海周辺で、中国軍のドローンの活動が活発になっている。しかも、英国やベラルーシなど別の国の航空機になりすましているという。
2026年2月26日付のロイターによれば、2025年8月以降、Flightradar24というサイトで、中国軍の大型無人機の飛行が23回記録されていたが、別の国の航空機の登録番号を発信していたという。この記事は、中国軍が台湾侵攻を想定し、他国の民間機になりすましたドローンを飛ばし、おとりとして使うことを実験している可能性があると指摘している。
この大型無人機は、偽装された航空機の識別コードを使っていたが、ベラルーシの貨物機、英国空軍のタイフーン戦闘機、北朝鮮の旅客機、米国製のビジネスジェット機などの信号を発信していたという。今回の中国軍の訓練のニュースは、中国と台湾の緊張関係だけにはとどまるものではない。大型無人機の航跡は、沖縄の米国や日本の軍事拠点にも接近していたことが確認できるという。
大型ドローン翼竜2とは
中国による訓練の一端が明らかになった大型無人機は、「翼竜2」(Wing Loong-2)と呼ばれる機体だ。香港の英字紙South China Morning Postが2025年8月25日に翼竜2の仕様や用途に関する詳しい記事を公開している。
翼竜2は機体の長さが11m、翼の幅が約20.5mの大型ドローンだ。標準的な装備を搭載している場合は20時間ほど、搭載量を減らした場合は32時間ほど飛行が可能とされている。長時間の飛行が可能であるため、偵察や監視などの任務に使われることが多い。山岳地帯での災害救助などでも使用されている。
米軍が東シナ海の情報収集、警戒監視、偵察に使用しているドローン「MQ-9 Reaper(リーパー)」と比較されることが多い。外観が似ているため、「中国版リーパー」とも呼ばれている。翼竜2は、MQ-9と比較するとさまざまな性能で及ばない点があるが、コストパフォーマンスに優れている。中国製の大型ドローンでは世界的な「ベストセラー」とされ、中東やアフリカ、アジア諸国に輸出されているという。
敵国の撹乱を演習?
長時間の偵察に向いているとされる翼竜2は、他国の航空機になりすまし、どのような活動をしていたのだろうか。
ロイターによれば、翼竜2は、中国の南端の海南島の国際空港から離陸し、「星型」や「砂時計型」の経路を描いて飛行していたという。米国などの軍事や外交を専門とする複数のメディアやシンクタンクが、ロイターの記事からさらに深堀りを試みる記事を公開しているが、整理すると、中国が意図しているのはおおまかに次のような作戦のようだ。
現実的な有事を想定した場合、中国軍はたとえば海南島や周辺の基地などからドローンを100機飛ばす。このドローンは、他国の民間機などを偽装しているため、対応する台湾や米国側は混乱に陥る。さらに、南シナ海は多くの航空機が行き交う地域であるだけに、どれが中国軍機で、どれが民間機なのか識別するのも難しいだろう。23回の飛行が確認された翼竜2の動きは、識別コードを偽装することで、敵国を撹乱する作戦の演習をしていたと分析されている。
航空機のルールを逆手に取る

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