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ASCII Power Review 第305回

ライカのレンズ一体型カメラのモノクロ専用機が発売されたので撮り歩いてみました

白黒写真しか撮れないコンデジ「ライカQ3モノクローム」実写レビュー=写真の本質を体感できるカメラだっ!!

2026年01月13日 00時01分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 ライカが発売した「ライカQ3モノクローム」は、その名の通り白黒写真=モノクロ撮影専用という超個性派のコンパクトカメラだ。

 ライカからは2012年の初代「Mモノクローム」以降、定期的にモノク専用機が登場し、ファンからはいずれも根強く支持されている。モノクロ写真しか撮れないカメラに、なぜこれほど魅かれるのか、ライカから試用機を借りたので、その理由を探っていこう。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

オンラインストアでの価格は119万9000円。通常の「Q3」(1月20日の価格改定で113万3000円に)より少しお高い。

写真は白黒表現が基本というポリシー
フルサイズのモノクロ専用センサーを搭載
 

 ベースになったカメラは2023年に発売されたフルサイズの6030万画素撮像素子に「ライカ ズミルックスF1.7/28mm ASPH」を搭載したレンズ一体型のコンパクトカメラ「ライカQ3」になる。

 ボディーは共通だが、前面ライカロゴの赤バッチが省かれ、印字の一部がグレーになるなど、全体的にモノトーンを意識したデザインになっている。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

ボディーサイズは130×80.3×92.6mmで重量はバッテリー込み743gで、ノーマルの「ライカQ3」とまったく同じ。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

シャッタースピードダイヤルの「A」ポジションや、レンズ焦点距離とフィート表示の印字がグレーになり、シックな印象になった。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

ホットシュー横の製品ロゴは黒塗りになり、「MONOCHROME」の刻印もたまらなくカッコイイ!  

 おさらいがてらボディー周りを見てみると、フルサイズセンサー搭載ながら、サイズはM型ライカよりもコンパクトに感じられる。グリップレスのフラットボディーだが背面に指掛かりの窪みがあり、この形状が絶妙でホールド感は良好だ。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

親指がすっぽりと収まる窪みは、ホールド感にくわえデザイン的にも美しい。

 アナログ感のあるシンプルな操作系もライカらしい。ただM型ライカでは1/2EV刻みだったシャッタースピードダイヤルは1EV刻みに。シャッターボタンのレリーズ穴もレリーズボタンを装着できるだけで、昔ながらのレリーズケーブルは使えない。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

上面の操作系。右肩のコマンドダイヤルの中央は「Fn」ボタンになっている。

 レンズは焦点距離28mm絞り開放F1.7。最短撮影距離は通常時で30cm、マクロモードでは開放F2.8になるが17cmまで近寄れる。ピントリングには「指あて」を備え、距離目盛と被写界深度の表示もあり、まるでM型レンズのようなデザインだ。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

ピントリングの「指あて」はAFとMFを切り換える際にロック機能を兼ねている。

 マクロモードはレンズ根元のリングで切り替えるが、その際に距離表示も変わるギミックが面白い。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

リングを回転させてマクロ位置に切り替えると、合わせて距離表示も変わる。

 背面も上部シャッターダイヤル下に「Fn」ボタンが2つ、右側に再生ボタンに十字キー(中央は「Fnボタン」)と「MENU」ボタンとシンプルだ。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

背面の見た目は「Q3」と区別が付かない。どうせなら背面の印字も黒塗したほうがカッコよかったのに。

 ただ十字キーは小さめで、特にEVFを覗きながら測距点を移動させたいときは窮屈に感じる。またEVF使用時でも背面液晶をタッチして測距点を変更することはできるが、液晶をなぞって移動させるパット式ではないので、画面左側に移動させたいときなどはこれまた窮屈。この辺りは少し慣れが必要だ。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

測距点のサイズ変更するときは画面長押し、中心部にリセットするとき画面ダブルタップと、タッチ操作できるので、「EVF使用時でタッチAF」はオンにしておくのがオススメ。

 EVFは576万ドット倍率0.79倍と高精細。ただモノクロ画像が表示されるということもあり、明暗部の階調再現がもう少し欲しいと感じた。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

EVFのスペックは先日発売された「M EV1」と同じ。右横のダイヤルは視度補正。

 背面液晶は184万3200ドットで上下に可動するチルト式を採用。また先日公開された「ライカQ3」シリーズの最新ファームウェア4.0ではメニュー画面のすべてでタッチ操作が可能になり、おかげで断然使いやすくなっている。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

従来では非対応だった階層の深いメニュー画面もタッチ操作が可能に。

 側面の端子もHDMI(TypeD)とUSB Type--Cの2つだけでメディアスロットは底面に備えられている。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

側面の端子類。USB Type-CはGen2でPDの充給電に対応。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

底面のメディアスロット。SDはUHS-Ⅱ対応している。

 バッテリーも共通で公称撮影可能枚数は通常の「ライカQ3」の約350枚から約302枚と減っているが、実際の撮影ではRAW+JPEGで379カット758枚を撮影するとこができた。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

何度触っても心地よいレバー&プッシュ式のバッテリー着脱方法。

モノクロ専用撮像素子を搭載
精細感と階調表現が高い
 

 次に画質だがモノクロ専用の撮像素子は通常の撮像素子のように色情報を得るためにカラーフィルターがないので、そのぶん解像力に優れると言われている。

 実際に撮影した写真を見ても輪郭の描写はキレを感じるシャープさで、通常のカラー写真よりも精細に感じられる。明暗差の再現も滑らかで、白と黒の階調だけで表現するモノクロ写真の味わいを引き立ててくれる。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

鉄橋や建物の輪郭がシャープに写っている。絞りF5.6・シャッタースピード1/800秒・ISO200。
(以下実写はクリックすると実物大表示になります)

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

半逆光のシーンだが明暗差の階調は豊富。絞りF8・シャッタースピード1/100秒・ISO200。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

拡大してみると、遠景の街並みの精細さに驚く。絞りF5.6・シャッタースピード1/320秒・ISO200。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

光が作る陰影もモノクロだとより印象的に感じる。絞りF4・シャッタースピード1/320秒・ISO200。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

シャープな描写のおかげでピント部が引き立って見える。絞りF2・シャッタースピード1/640秒・ISO200。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

焦点距離28mmと広角だが開放はF1.7と明るいのでボケも楽しめる。絞りF1.7・シャッタースピード1/2000秒・ISO200。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

絞り開放のスナップを何枚か。絞りF1.7・シャッタースピード1/5000秒・ISO200。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

絞りF1.7・シャッタースピード1/4000秒・ISO200。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

絞りF1.7・シャッタースピード1/200秒・ISO200。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

絞りF1.7・シャッタースピード1/8000秒・ISO200。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

マクロモードで撮影した写真。最短17cmは思ったより近寄れる。絞りF2.8・シャッタースピード1/125秒・ISO200。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

逆光では割りと豪快にゴーストが発生するが、モノクロのせいかあまり気にならない。絞りF16・シャッタースピード1/50秒・ISO640。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

ハレーションを起こしているが、それが却って効果的に。絞りF1.7・シャッタースピード1/3200秒・ISO200。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

モノクロで撮る夜のスナップも楽しい。絞りF1.7・シャッタースピード1/50秒・ISO320。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

木扉の質感が精細なのはモノクロだからだろうか。絞りF5.6・シャッタースピード1/400秒・ISO200。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

これもかなり明暗差は激しいが、やはり階調再現の幅は広く感じる。絞りF2.8・シャッタースピード1/50秒・ISO500。

 なおJPEGではiDR(インテリジェント・ダイナミック・レンジ)という暗部を自動補正する機能があり、今回の作例はすべてオートで撮影している。補正がかからないRAWとの違いを比べてみるとJPEGのほうはコントラストが抑えめで、そのぶん階調の幅は広い。

 また拡大して細部をみると、シャープネスが強めでクッキリとしていた。もちろんRAWも現像時に調整することで、思い通りの階調やシャープ感にすることはできるので、好みによって使い分けるといだろう。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

JPEG撮って出しにRAWからAdoboCameraRawでストレート現像と階調とシャープを調整した写真の比較。これはJPEG。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

RAWからストレート現像

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

RAWで補正し現像

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

上記の写真の一部を拡大して比較。左からJPEG撮って出し、ストレート現像、調整して現像。

 ISO感度は通常の「ライカQ3」がISO50~10万なのに対し、「ライカQ3モノクローム」では100~20万と1EV高くなっている。これもカラーフィルターが無いぶん効率的に受光できるからだろう。画質的には2万5000までは安心して常用ができ、5万からノイズ処理の影響が見え始める。

 ただRAWからノイズ処理無しで現像してみると、粒のそろったノイズなので銀塩フィルムの粒状感のような効果を楽しむのも面白そうだ。

 なお最低感度のISO100ではややコントラストが高くなり、高感度側は10万を超えるとノイズ増加が目立つことから、常用感度は200~5万で、その範囲外は拡張感度と思われる。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

感度別に撮影した写真の一部を拡大して比較。左上からISO6400・12500・25000・50000・100000・200000。JPEGでノイズ処理は低(初期設定)。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

参考までにRAWからノイズ処理無で現像した画像。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

高感度で撮影した作例をいくつか。ISO25000で撮影。絞りF11・シャッタースピード1/30秒。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

ISO50000で撮影。絞りF2.8・シャッタースピード1/160秒。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

ISO100000で撮影。絞りF16・シャッタースピード1/60秒。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

ISO200000で撮影。絞りF5.6・シャッタースピード1/160秒。

手ブレ補正の効果は控えめ
AFはQ3と違いコントラストAFのみ
 

 ボディー内手ブレ補正も搭載されているが効果は控えめで、遠景でも1/4秒程度までが安全圏。とはいえ手ブレ補正非搭載のM型と比べればありがたい。

「ライカQ3モノクローム」実写レビュー

シャッタースピード1/2秒で奇跡的にブレが目立たなかった一枚。なにか得した気分になった。絞りF6.3・シャッタースピード1/2秒・ISO200。

 撮っていて少しAFがのんびりだったり暗所で迷うことがあるなと思っていたが、実は通常の「ライカQ3」は像面位相差AFなのに対し、「ライカQ3モノクローム」はコントラストAFのみだったことが判明。ただ動体撮影をするわけでなければ気にするほどではない。

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