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ASCII Power Review 第267回

24万円から買えるのはうれしいですね

18インチになる世界初の2階建て2画面ノートPC「GPD DUO」実機レビュー

2024年11月08日 09時00分更新

文● 写真 ジャイアン鈴木 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 今、モバイル用途でもマルチディスプレーのニーズが高まっている。2つ折りのタブレットPCが発売され、モバイルディスプレーについても大手通販サイトで数多くのデュアルディスプレータイプが販売されている。

 自宅でマルチディスプレーを構築しているユーザーが、外出先でも同様の環境を欲しているということだろう。今回レビューする「GPD DUO」は、まさにそのニーズに応えたノートPCだ。

 2画面ノートPC自体はすでに別メーカーからもリリースされているが、本製品は折りたたんだディスプレーを縦方向に展開する。キーボードをはずしたり、スタンドを立てるような手間いらずで、素早くデュアルディスプレー環境で作業できるのだ。

 今回、天空から日本向けの試用機を借りたので、気になる使い勝手にスポットを当ててレビューしていこう。

“「GPD

天空「GPD DUO」24万6700円~32万1000円

HDMI入力端子で
外部ディスプレーとしても利用可能
 

 「GPD DUO」はOSに「Windows 11 Home 64ビット」、プロセッサーに「AMD Ryzen 7 8840U」/「AMD Ryzen AI 9 HX 370」を採用。メモリーは32GB/64GB(LPDDR5 6400/7500MT/s)、ストレージは1TB/2TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載している。CPUのスペックは以下の通りだ。

「AMD Ryzen 7 8840U」
8コア、16スレッド、最大5.1GHz、28W、
GPU:AMD Radeon 780M(12コア、2700MHz)、
NPU:AMD Ryzen AI(最大16TOPS)

「AMD Ryzen AI 9 HX 370」
12コア、24スレッド、最大5.1GHz、28W、
GPU:AMD Radeon 890M(16コア、2900MHz)、
NPU:AMD Ryzen AI(最大50TOPS)

 ディスプレーはメイン(下)、セカンド(上)ともに、13.3型2.8K有機ELで2880×1800ドット、255ppi、16:10、最大輝度500ニト、DCI-P3 100%、コントラスト比100万対1、リフレッシュレート60Hz、応答速度1ms、タッチ対応、ペン対応を搭載。ウェブカメラはメインディスプレー上部に内蔵されている。

 インターフェースはUSB 4(40Gbps)、USB Type-C(10Gbps)、USB Type-C入力(DisplayPort Alternate Mode)、USB 3.2 Type-A(5Gbps)×2、OCuLink(PCIe 4.0 x4、63Gbps)、HDMI 2.1、SDメモリーカードスロット(UHS-II)、オーディオコンボジャック、有線LAN(2.5GbE)を装備。ワイヤレス通信はWi-Fi6EとBluetooth5.3をサポートしている。

 ボディーはアルミニウム合金製。本体サイズは297×209.65×23.8mm、重量は2200g。バッテリーは80Whを内蔵しており、バッテリー駆動時間はローカルビデオ再生で約14時間。また100WのPD充電により、充電時間は30分で50%と謳われている。

 本製品でユニークな装備が、セカンドディスプレーの左側面に配置されているUSB Type-C入力端子と輝度調整ボタンだ。スマホなどの対応機器をUSB Type-C入力に接続すれば、別端末の外部ディスプレーとして利用できる。

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DisplayPort Alternate Mode対応機器をUSB Type-C入力端子に接続すると、自動的に画面が切り替わる

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本体サイズは297×209.65×23.8mm

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底面はフラット。冷却ファンはふたつ搭載されている

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下がメイン、上がセカンドディスプレー。間には360度回転可能なヒンジ機構が設けられている

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キーボードは英語配列。Copilotキーは搭載されていない

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背面には有線LAN、OCuLink、HDMI 2.1を用意。OCuLinkには別売のGPUボックスを接続できる

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右側面にはUSB3.2 Type-A×2、電源ボタン、左側面にはコンボジャック、SDメモリーカード、USB4、USB Type-C、リセットスイッチ、左側面ディスプレー側にはUSB Type-C入力、セカンドディスプレー輝度調整ボタンを配置

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USB Type-Cケーブルは実測150cmと長め

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ACアダプターの型番は「A879-200500C-US1」。仕様は入力100-240V~2.5A、出力5V 3A、9V 3A、12V 3A、15V 3A、20V 5A、3.3-21V 5A、容量100W

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本体の重量は実測2278g

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ACアダプターとUSB Type-Cケーブルの長さは実測259.3g

下から「めくっていく」操作で
3つのスタイルに素早く変形できる
 

 本製品最大の売りはデュアルディスプレーとキーボードが一体化していること。写真を見ていただければわかるとおり、本体とふたつのディスプレーが収納状態では3つ折りになっており、下からめくっていくような操作で、縦置きのデュアルディスプレー環境を構築できる。2枚目の写真ぐらいの角度であれば、スタンドを立てる必要はない。

 セカンドディスプレーをメインディスプレーの背面に回せば一般的なノートPCのスタイルとなるが、この際にも画面表示は「PC画面のみ(メインディスプレーのみ)」、「複製」、「拡張」、「セカンドスクリーンのみ(セカンドディスプレー)」から選択可能。さらにセカンドディスプレーを外側にして折りたためば、タブレット端末として利用可能だ。

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下からめくっていくような操作で3つのスタイルに変形できる

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メインディスプレー背面にはスタンドが付いているので、必要に応じて転倒を防止できる

 GPD DUOは基本的に2ウインドー以上で利用する2画面ノートPCだ。ASUSの2画面ノートPC「Zenbook DUO」にはひとつのウインドーをふたつの画面全体に表示したり、ウインドーを自由な位置に素早く配置するためのユーティリティーが組み込まれているが、GPD DUOには残念ながら存在しない。そのため全画面表示を含むウインドー操作はすべて手動で行なう必要がある。

 とは言え2画面ノートPCは、基本的に2つ以上のウインドーを表示して、片方の情報を参照しつつドキュメントを作成したり、アプリ間でデータをやり取りするといった使い方がメインとなる。この点は大きなデメリットとはならないだろう。

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ふたつのウインドーにひとつのウインドーを大きく表示したいときは、手動でふたつのカドを動かして配置しなければならない

 GPD DUOのディスプレーはどちらもタッチ操作と、Microsoft Pen Protocol規格のスタイラスペンに対応。直感的なズームやスワイプなどのジェスチャー操作や、4096段階の手書き入力を利用可能だ。このあたりの使い勝手はWindows 11搭載タブレットPCと同等である。

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どちらの画面でも直感的なタッチ操作が可能。ただし上の画面を触るときには、背面のスタンドを立てないと、かなり揺れる

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今回は導電性のタッチペンを使ったが、プラス3600円でスタイラスペンを購入可能だ

 ちょっと不便に感じたのが輝度調整だ。Windows 11の輝度調整機能ではメインディスプレーしか明るさを変更できない。セカンドディスプレーは側面の輝度調整ボタンを利用する必要があるのだ。また同じ「パーセンテージ」に設定しても、両者の明るさは異なってしまう。どちらも最大輝度で利用するのであれば問題ないが、こまめに明るさを調整したいのであれば面倒だ。アプリで同じ輝度にできるようにしていただけるとありがたい。

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ディスプレーの明るさや発色は同じ。鮮やかに画像、映像を表示できる。Windows 11の輝度調整、側面の輝度調整ボタンで個別に明るさを調整しなければならない

 キーボードは英語配列で、キーピッチは実測19.2mm前後、キーストロークは実測1.5~1.6mm前後。キーボードバックライトは明るさを2段階調整可能で、タッチパッドは実測97×58mmが確保されている。

 キーもタッチパッドもしっかりとしたクリック感が備わっており、操作性は良好だ。英語配列さえ気にならなければ、使いやすい入力デバイスだ。

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キーピッチは実測19.2mm

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キーストロークは実測1.5~1.6mm前後

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タッチパッドは実測97×58mm

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キーボードバックライトは明るさを2段階で調整できる

 メインディスプレー上部には2.5Kウェブカメラ(2560×1440ドット)を内蔵。これがなかなか画質はよく、室内灯下でも明るく、自然な発色で撮影できる。一般的な用途であれば外付けウェブカメラは不要と言えるほどのクオリティーだ。

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ウェブカメラはメインディスプレー上部に内蔵。デュアルマイクは本体側に装備されている

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Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)

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Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDR proオフ)

AMDのAI CPUを搭載
R23のマルチコア性能は21802ptsを記録
 

 GPD DUOはプロセッサーに「AMD Ryzen 7 8840U」または「AMD Ryzen AI 9 HX 370」を採用している。今回試用したのは、Ryzen AI 9 HX 370/メモリー64GB/ストレージ1TBという構成の上位モデルだ。本製品がどのぐらいのパフォーマンスを備えているのかベンチマークを実施した。

 同じく「Ryzen AI 9 HX 370」を搭載する「ASUS Zenbook S16」、「Core Ultra 7 258V」を搭載する「OmniBook Ultra Flip14」、「Snapdragon X Elite X1E-78-100」を搭載する「ASUS Vivobook S15」と比較してみよう。

 まずCPU性能だが、「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は1079pts、「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は21802ptsとなった。同じプロセッサーを採用しているZenbookと比較すると、マルチコア性能はCINEBENCH 2024で109%相当、CINEBENCH R23で126%相当だ。Ryzen AI 9 HX 370の性能を最大限まで引き出している。

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「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は1079pts、CPU(Single Core)は115pts、「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は21802pts、CPU(Single Core)は2012pts

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