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ASCII Power Review 第221回

手ブレ補正が強化され高速連写も可能

1億画素の最先端カメラ「GFX100Ⅱ」実機レビュー

2023年09月29日 10時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 富士フイルムから中判デジカメ「GFX」シリーズの最上位モデル「GFX100Ⅱ」が発売された。

 撮像素子は35ミリフルサイズ(36×24mm)より一回り大きい44×33mmで画素数は1億200万画素、そして価格はなんと127万0500円という超ハイエンドカメラだ。

 ほとんどのカメラマニア(プロカメラマンも含め)にとっては高嶺の花だろう。それでもこうして試用する機会に恵まれるのは役得である。いったいどんな撮り心地なのか試していこう。

GFX100Ⅱ実機レビュー

量販店価格はボディーのみで127万0500円。9月28日に発売されたが、予約多数で現在は供給不足だ。(写真で装着しているレンズは「GF32-64mmF4R」で量販店価格は27万7430円)

1億画素カメラの最新モデル
EVFは944万ドット倍率1倍に

 ボディーはバッテリーグリップ一体型だった前モデル「GFX100」から大幅に小型化され、2021年に発売された弟分の「GFX100S」に近いサイズだ。

 ボディーだけを手にすると重めのフルサイズ機といった感じ。グリップも深さがあり手に馴染む形状で、背面のサムレストと合わせホールド感は良い。とはいえレンズ(なにせデカいのが多い)を装着するとかなりの重量になり、首からぶら下げて長時間撮り歩いているとジワジワと辛くなってくる。ストラップは太目のものにしたほうが楽だ。

GFX100Ⅱ実機レビュー

ボディーサイズはEVF込みで152.4×117.4×98.6mm、重量はメディア・バッテリー込みで1030g。「GFX100」の156.2×163.6×102.9mm、1400gよりは格段に小さく、「GFX100S」の150×104.2×87.2mm、900gよりは少しだけ大きい。

 操作系も「GFX100S」に近く、背面のボタン配置は同じだが、上面はやや傾斜が付いた形状になり、サブ液晶は1.8型から2.09型と大型化され見やすくなった。バックパネルの点灯やダイヤル風表示への切換などは従来機と同様だ。

GFX100Ⅱ実機レビュー

背面から見ると上面が少し傾斜になっているのがわかる。ボタン配置は従来機から大きな変化はない。

GFX100Ⅱ実機レビュー

サブ液晶の表示レイアウトは改良され、以前より整然とした配列で撮影情報を確認しやすい。ストラップ取付は三角環から本体一体に変更された。

GFX100Ⅱ実機レビュー

サブ液晶の表示は情報一覧とダイヤル風、ヒストグラムに切り替えられる。

 シャッターボタンの後ろには3つの「Fnボタン」を新たに装備し、割り当てた機能は液晶パネルに表示される。

 3つのボタンはストロークの深さが異なり、指先の感覚でわかるようになっているが、欲を言えば真ん中だけ突起を付けるなど形状にも違いがあるとよかった。

GFX100Ⅱ実機レビュー

新設された3つの「Fnボタン」。正面から見るとストロークが異なることがわかる。割り当てた機能がサブ液晶に表示されるのは気が利いている。

 EVFは944万ドットで倍率1倍(35mm換算)とハイスペック。覗いてみる自分の視力が悪いせいもあるが、肉眼より遥かに精細に見える。現時点では最高峰の視認性といるだろう。

 また着脱も可能で別売のチルトアダプター「EVF-TL1」(量販店価格7万0950円)を使用すれば横位置で上方90度、縦位置では上下に45度稼働させることができる。

GFX100Ⅱ実機レビュー

現行製品では最高スペックのEVF。着脱できるギミックもガジェット好きにはたまらない。

 背面液晶も従来通り3軸チルト式を採用。縦位置では片方向にしか可動できないことを考えると、でそろそろバリアングルとのハイブリッドにしてほしかったところ、メニュー画面でのタッチ操作も変わらず非対応なのも残念。

GFX100Ⅱ実機レビュー

背面液晶は変わらず3軸シフト式。このクラスのカメラなら、そろそろアップデートを望みたい。

 デュアルスロットのメディアは片側が「CFexpress」に変更(もう一方はUHS-Ⅱ対応のSD)された。1億200万画素ともなれは1枚あたりJPEG最高画質では50MB前後、16BitのRAWだとロスレス圧縮でも120MB前後と巨大なサイズになるので、高速かつ大容量のメディアに対応するのは自然な流れだ。

GFX100Ⅱ実機レビュー

富士フイルムでは「XH-2」シリーズに続き「CFexpress」に対応。これほどの高画素機だと高速のメディアが使えるのはありがたい

 バッテリーは「GFX100S」やAPS-Cの「XH-2」シリーズなどと同じ「NP-W235」で、公称撮影可能枚数は約540枚。バッテリーを2個装着できた「GFX100」の800枚よりは減ったが十分なスタミナだ。

 ただ「被写体検出AF」でトラッキング撮影をしていると、少しバッテリー消費が速いようにも感じた。大容量のスタミナを求める人のために、「NP-W235」を2個装着できる別売の縦位置バッテリーグリップ「VG-GFX100II」(量販店価格7万9200円)も用意されている。

GFX100Ⅱ実機レビュー

最近の富士フイルムのミラーレス機は、共通して「NP-W235」を採用。メーカー内でバッテリーを統一してくれるのは効率的だ。

 側面端子にはネットワーク上のPCでデザー撮影やファイル転送をおこなえる有線LANを搭載。またHDMIがフルサイズになったのは動画ユーザーにはうれしいポイントだろう。

GFX100Ⅱ実機レビュー

側面の端子類。上段に有線LAN、下段にマイク(ケーブルレリーズと兼用)とHDMI、USB-Cが並ぶ。ヘットフォン端子は右側面に、ストロボのシンクロ接点は前面左下に配置。

1億画素写真の恐るべき解像感
新たに被写体検出AFを搭載

 実際に撮ってみた写真を見ると相も変わらぬ解像感で、特に拡大して見た時の細部の精細さに驚かされる。この高画質は撮像素子にくわえレンズが優秀なことも要因だろう。

 特に同時に発売された「GF55mm F1.7R」(量販店価格36万1900円)は大口径単焦点だけあって絞り開放だと大きなボケがシャープなピント部を引き立て、ある程度絞ると画面全域でキレのある解像力が得られる。

 デカくて重い(そしてお高い)けれども、それに見合った描写なので欲しくなる。ただいずれのレンズもピントの合う範囲は狭くブレにもシビアだ。高画質を引き出すには慎重な撮影を心掛けよう。

GFX100Ⅱ実機レビュー

新発売の大口径単焦点レンズ「GF55mmF1.7R」。35ミリ換算44mm相当で、同等スペックのフルサイズ用レンズよりデカい。

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「GF55mmF1.7R」で撮影。中判サイズの撮像素子と大口径レンズのボケは、写真に奥行を与えてくれる。絞りF1.7・シャッタースピード1/150秒・ISO250・ホワイトバランスオート。(以下記載ない限りGF55mmF1.7Rで撮影)

GFX100Ⅱ実機レビュー

絞りF1.7・シャッタースピード1/2200秒・ISO80・ホワイトバランスオート。

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F8まで絞って撮影。画面全域で凄まじい解像感!ぜひ拡大して細部の精細さを見てほしい。絞りF8・シャッタースピード1/140秒・ISO80・ホワイトバランスオート。

GFX100Ⅱ実機レビュー

絞りF1.7・シャッタースピード1/105秒・ISO80・ホワイトバランスオート。

GFX100Ⅱ実機レビュー

こちらはGFXシリーズ初期からランナップされている「GF32-64mmF4R」で撮影。広角側はある程度絞ると画面全体が整い、単焦点レンズに匹敵する描写だ。絞りF11・シャッタースピード1/90秒・ISO80・ホワイトバランスオート。

GFX100Ⅱ実機レビュー

「GF32-64mmF4R」の望遠側は少し周辺描写の乱れもあるが、中心部は絞り開放からシャープで、背景が抜けるような構図なら気にならない。絞りF4・シャッタースピード1/340秒・ISO80・ホワイトバランスオート。

 高感度は常用最高でISO12800と控えめで、拡張感度ではISO102400まで設定ができる。ノイズ処理をしていないRAWで見てみると確かにISO12800を超えるとノイズは増加するが、JPEGでは上手に処理されているので、個人的にはISO25600でも常用範囲。拡大しなければISO51200でも許容はできそうだ。

GFX100Ⅱ実機レビュー

感度別に撮影した写真の一部を拡大して比較。左上からISO3200・ISO6400・ISO12800、ここまで常用感度で、以下は拡張感度のISO25600・ISO51200・ISO102400。ノイズ処理は標準。

GFX100Ⅱ実機レビュー

「GF32-64mmF4R」・絞りF5.6・シャッタースピード1/25秒・ISO12800・ホワイトバランスオート・ノイズ処理標準。

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「GF32-64mmF4R」・絞りF1.7・シャッタースピード1/75秒・ISO25600・ホワイトバランスオート・ノイズ処理標準。

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「GF32-64mmF4R」・絞りF5.6・シャッタースピード1/13秒・ISO51200・ホワイトバランスオート・ノイズ処理標準。

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「GF32-64mmF4R」・絞りF5.6・シャッタースピード1/320秒・ISO102400・ホワイトバランスオート・ノイズ処理標準。

 従来の「顔/瞳検出AF」にくわえ、新たに「被写体検出AF」も搭載された。逆光や手前に障害物があるときは検出できない場合もあったが、被写体が明確に見えればかなり遠くても素早く検出してくれた。

 AFエリアが「シングルポイント」で測距点から少し離れていても検出してくれる。さらにAF-Cなら一度検出さえすればフレームを移動させても画面全域でトラッキングしてくれる。

 ただAFエリアを「ワイド/トラッキング」にすると、AF-Sなら画面全域で検出してくれるが、AF-Cにするとトラッキングの測距点が表示され、その測距点でないと検出できなくなった。

 「被写体検出AF」の操作感はメーカーごとにクセがあるので、いろいろと試してみる必要はありそうだ。

GFX100Ⅱ実機レビュー

「顔/瞳検出AF」と「被写体検出AF」は排他的で、初期設定では上面の「Fn」ボタンにそれぞれOn/OFFの設定が割り当てられている。

GFX100Ⅱ実機レビュー

検出対象は動物/鳥/クルマ/バイク&自動車/飛行機/電車に分別され、被写体問わず認識するオートのような設定はない。

GFX100Ⅱ実機レビュー

いつもの飛行機件検出スポット。この時は高度が高く被写体は小さめだが難なく検出した。「GF100-200mmF5.6R」・絞りF5.6・シャッタースピード1/1100秒・ISO400・ホワイトバランスオート。

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