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ASCII Power Review 第152回

CPUはM1 Max、GPUはRTX3080が有利な予想ですが結果は!?

「16インチ MacBook Pro」実機レビュー = Core i9 + RTX3080 のゲーミングPCと対決させた

2021年11月09日 10時00分更新

文● 写真 ジャイアン鈴木 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 アップルは中身もボディーもフルモデルチェンジを施した新型14インチ、16インチMacBook Proを10月26日に発売した。両モデルともに新たなプロ向けプロセッサーとして自社開発した「M1 Pro」「M1 Max」を採用。先行リリースされた「M1」搭載Macより大幅にパフォーマンスアップを実現したと謳われている。

 両モデルはディスプレーとボディーサイズは異なるが、最上位構成でプロセッサーと、メモリー容量、ストレージ容量は同じパーツを選択できる。しかし、M1 Maxを搭載した16インチMacBook Proのみ、動作モードとして「ハイパワーモード」が用意されていると話題になっている。

 今回、ストレージ容量以外は最上位構成の16インチMacBook Proを入手したので、ハイパワーモードでどのぐらいパフォーマンスが変わるのかもチェック。

 そして、Windowsマシンの代表として、スリム・ゲーミングノートの元祖であるRazer Blade 15のアドバンストモデル最上位機種とも、速度を比較してみた。サイズと重量、価格もほぼ同じMacとWindowsの対決である。

「16インチMacBook Pro」29万9800円~。今回入手した16インチMacBook Proの構成は、M1 Max(10コアCPU、32コアGPU)/RAM64GB/SSD2TB

従来のプロ向けMacBook Proに立ち返り、
インターフェースが大・復・活

 16インチMacBook Proは標準構成として下記の3モデルが用意されている。

・M1 Pro(10コアCPU、16コアGPU)
RAM16GB/SSD512GB 29万9800円

・M1 Pro(10コアCPU、16コアGPU)
RAM16GB/SSD1TB 32万1800円

・M1 Max(10コアCPU、32コアGPU)
RAM32GB/SSD1TB 41万9800円
 

 16インチMacBook Proは、プロセッサー、メモリー、ストレージは下記のパーツを選択可能。一方、14インチMacBook Proは8コアCPU/14コアGPU、10コアCPU/14コアGPUのM1 Proを選択できるが、16インチ版は10コアCPU/16コアGPUのM1 Proしか用意されていない。なお、Neural Engineはすべてのプロセッサーに16コアが搭載されている。

・プロセッサー
M1 Pro(10コアCPU、16コアGPU)
M1 Max(10コアCPU、24コアGPU)
M1 Max(10コアCPU、32コアGPU)

・メモリー 16GB/32GB/64GB

・ストレージ 512GB/1TB/2TB/4TB/8TB

 M1 Max(10コアCPU、32コアGPU)、RAM64GB、SSD8TBという構成を選ぶと70万5800円という、思わず手が震えてくるような価格となる。キーボードは日本語(JIS)、英語(US)、英語(UK)、中国語(拼音)、中国語(注音)、韓国語、スペイン語から選べるが、価格は変わらない。

 これ以外のスペックはすべて共通だ。ディスプレーは「Liquid Retina XDRディスプレイ」と名付けられた、ミニLEDをバックライトに採用した16.2型液晶パネル(3456×2234ドット、254ppi、フルスクリーンの持続輝度:最大1000cd/m²、ピーク輝度:最大1600cd/m²、コントラスト比:1,000,000:1、色域:P3、True Toneテクノロジー、最大120HzのProMotionテクノロジー)を採用。ディスプレー上部にはウェブカメラ「1080p FaceTimeHDカメラ」(F2.0)を搭載するため、ノッチ(切り欠き)が設けられている。

 インターフェースは、いにしえのプロ向けMacBook Proに立ち返り、Thunderbolt 4(充電、DisplayPort、Thunderbolt 4:最大40Gb/s、USB4:最大40Gb/s)×3、HDMI×1、SDXCカードスロット×1、3.5mmヘッドフォンジャック(ハイインピーダンスヘッドフォン対応)×1、MagSafe 3ポート×1を搭載。M1 Pro搭載機では最大2台、M1 Max搭載機では最大3台の外部ディスプレーを接続できる。ワイヤレス通信機能はWi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.0をサポートする。

 もうひとつ歴史が巻き戻されたのがキーボード。指紋認証センサー一体型電源ボタンTouch IDは引き続き搭載されるものの、タッチパネル付きディスプレー「Touch Bar」を廃止し、12個の物理ファンクションキーを備えたJIS配列準拠キーボードが採用されている。個人的には、Touch Barを気に入って使っていたので、このまま廃止されるのがちょっと残念ではある。

 ボディーは100%再生アルミニウムが使用されており、サイズは355.7×248.1×16.8mm、重量はM1 Pro搭載機が2.1kg、M1 Max搭載機が2.2kg。100Wh(実際のワット時定格量は99.6Wh)のバッテリーを内蔵しており、Apple TVアプリのムービー再生は最大21時間、ワイヤレスインターネットは最大14時間と謳われている(ディスプレーの明るさは50%)。

 前モデルの「16インチMacBook Pro(16-inch,2019)」のサイズは357.9×245.9×16.2mm、重量は2.0kgであった。つまりM1 Max搭載機は重量が0.2kg増えていることになる。今回の16インチMacBook Proが「モバイル」できるかどうかは、体力と覚悟次第だが、最終的に「モバイル」するかどうかはパフォーマンスを見てから判断してほしい。

本体天面。リンゴマークは鏡面仕上げ。旧MacBookのように光ることはない

本体底面。中央の「MacBook Pro」のロゴは彫り込まれている。ゴム足も球面形状から平面形状に変更された

ディスプレー面。ディスプレー上部にはウェブカメラを避けるためノッチ(切り欠き)が設けられている

キーボードからTouch Barが廃止された。筆者は本当にTouch Barが好きだったので、なくなったのが非常に残念だ

本体前面と本体背面。前面にはディスプレーを開けるための凹みが設けられているが、雑に指をかけるとノッチ周囲を手脂で汚してしまう

右側面にはSDXCカードスロット×1、Thunderbolt 4(充電、DisplayPort、Thunderbolt 4:最大40Gb/s、USB4:最大40Gb/s)×1、HDMI×1、左側面にはMagSafe 3ポート×1、Thunderbolt 4×2、3.5mmヘッドフォンジャック(ハイインピーダンスヘッドフォン対応)×1を用意。Thunderbolt 4が左右に配置されているので、どちらからでも充電可能だ

パッケージには本体、「140W USB-C電源アダプタ」、「USB-C - MagSafe 3ケーブル(2 m)」、説明書類、ロゴシールが同梱

USB-C - MagSafe 3ケーブル(2 m)のかわりに、市販のUSB-Cケーブルも使用可能

140W USB-C電源アダプタの仕様は、入力100-240V~2.0A、出力28V 5A、20.5V 5A、15V 5A、9V 3A、5.2V 3A

本体の実測重量は2152g

140W USB-C電源アダプタとUSB-C - MagSafe 3ケーブル(2 m)の合計重量は338g

USB Type-A非搭載は残念 AV品質はノートPCトップクラス

 使い勝手における新型14インチ、16インチMacBook Pro最大の進化点は、なんといっても各種インターフェースの復活。特にSDXCカードスロットが搭載されたことは、プロフェッショナル、アマチュア写真家にとって、この一点だけで買い換えに値する変更点だ。

 個人的に残念なのはUSB Type-A端子が搭載されなかったこと。まだUSBメモリーでデータをやり取りする機会はあるし、Bluetoothが不安定な環境でマウスのドングルを挿したくなることはある。いまだ購入可能な光学ドライブ「Apple USB SuperDrive」だって端子はUSB Type-Aだ。せめてひとつだけでもUSB Type-A端子を搭載してほしかった。

 キーボードはTouch Barが廃止され、ファンクションキーが復活したことが最大のトピック。筆者自身は物理的なファンクションキーをMacでは使わないので、Touch Barをそのまま搭載してほしかったが、アプリなどでファンクションキーを常用している方には恩恵は大きい。

 ディスプレーに1万216個のミニLEDがバックライトとして内蔵された「Liquid Retina XDRディスプレイ」が採用されているだけに、YouTubeなどでHDRコンテンツを再生すると圧倒されるほどの映像美を堪能できる。6スピーカーサウンドシステムによる音も、ノートPCとして最高クラスであることは間違いない。筆者は機材の都合で試せなかったが、ハイインピーダンスヘッドフォン対応の3.5mmヘッドフォンジャックもオーディオ面の大きな進化点だ。

 「1080p FaceTimeHDカメラ」(F2.0)の画質自体は良好だが、カメラが自動でパンを調整する「センターフレーム」機能が搭載されなかった点は残念。iPad Pro、iPad、iPad miniと対応製品が増えているので、ぜひMacBook Proにも搭載してほしかったところだ。

SDXCカードスロット、HDMIの復活は大歓迎。もうUSBハブは不要だ

ただし、どうせならひとつぐらいUSB Type-A端子を搭載してほしかった。アダプターはスマートではない

MagSafe 3ポートに、USB-C - MagSafe 3ケーブル(2 m)を近づけると自然に吸着する。はずすときは横に引っ張るのではなく、上にケーブルを傾けると力はいらない

キーピッチは実測19mm前後

キーストロークは実測1.3mm前後

キーボードバックライトは環境光によって輝度が調整される

タッチパッドの面積は実測160×100mm

ディスプレーは「Liquid Retina XDRディスプレイ」と名付けられた、ミニLEDをバックライトに採用した16.2型液晶パネル(3456×2234ドット、254ppi、フルスクリーンの持続輝度:最大1000cd/m²、ピーク輝度:最大1600cd/m²、コントラスト比:1,000,000:1、色域:P3、True Toneテクノロジー、最大120HzのProMotionテクノロジー)。HDRコンテンツを非常に鮮やかに表示できる。描画も実にヌルヌルだ

「ProMotion」を有効にすると、利用状況やアプリに応じてリフレッシュレートが最大120Hzまでの間で可変する

ノッチにはウェブカメラ「1080p FaceTimeHDカメラ」(F2.0)とカメラインジケーターのほかに、環境光センサーが内蔵されている

「Photo Booth」で撮影してみた。解像度は2706×1804ドット。室内灯下でも明るく、健康的な色味で撮影できる。なお解像度は高いが、カメラが自動でパンを調整する「センターフレーム」機能は搭載されていない

Core i9-11900H+GeForce RTX 3080のマシンと速度比較
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