死んだ後の恥処理は生きている間に安らぎを得るため
この連載ではデジタルで残っている恥ずかしいファイルや履歴を墓場まで持ち込むことに心血を注いでいるわけですが、よくいただく感想として「死後のことなんてわからないんだし、生きている間になにをしたってしょうがないじゃん」というものがあります。
ある意味、そのとおりだと思います。自分が死んだあとのことなんて関与しようがないですもんね。もしかしたら死後の世界的ななにかがあって魂などで知覚できるのかもしれませんが、裏付けがとれない前提で準備を勧めるのは無責任に思いますし、私自身その手の可能性にあんまり興味がありません。まぁ、オバケになってデータの行く末を見守るなんてことは想定して書いてもいません。
ではなんのために心血を注いでいるかというと、生きている間の安らぎを得るためだと思っています。すべては「自分がどうすることもできない事態に陥ったとき、恥ずかしいデータはどうなってしまうのか」という不安を解消するための作業という感じです。
家族と仲良くしているとき、ふと「あーいまは自分のこと好きでいてくれているけれど、僕が死んだあとにアレとかアレとかが見つかっちゃったら見る目が変わってしまうんだろうなー」という思いがよぎるのは嫌じゃないですか。
完璧とはいわないまでも、とりあえずは死後も想定して手を打っておけば、恥ずかしいデータという不安の種を抱えていても「たぶん大丈夫だろう」となる。そう思える根拠を自分のなかに作れるという視点で書いています。
一方で、当たり前の話ではありますが、人は自分よりも先に亡くなった方の遺品の行く末については知ることができます。先人がどんなふうにデジタル遺品を遺していって、そのデジタル遺品がどんな扱いを受けたのか。その実態から学べることは多いでしょう。
ということで、遺品整理業界で長く活躍している専門家のお話を聞いてみたいと思います。
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