シャオミらしいEV工場「スーパーファクトリー」
EVの工場は「自動車スーパーファクトリー」と案内された。工場は高度に自動化されており、多数のロボットが整然と並びEVの生産をしている。工場内は電動カートで移動しながら視察するほど広大だ。ダイカスト、プレス、ボディー、塗装、バッテリー、最終組み立てという6つの工程に分かれている。
なお、工場内の撮影は不可のため、本記事では当日のスタッフによる説明と、シャオミの公式情報などから工場の概況を紹介する(写真も公式から)。
最初に案内されたのはダイカスト(高圧鋳造)設備だ。大型のダイカストマシンには型締力を示す「9100」の数字が書かれている。溶かしたXiaomi Titan Alloyを流し込む際、2つの金型をこの9100トンの力で閉じ合わせ、金属が飛び散るのを防ぐ。合金は約25秒で固まり、ロボットが取り出して冷却工程へ運ぶ。
従来は72個の部品を溶接して作っていた車体後部の床部分(リアフロア)を、一度に成形できるのだ。これにより、工数の削減、コストダウン、生産効率の向上、部品の強度アップと、いくつものメリットが同時に得られる。短期間で次々と新車を送り出すシャオミの車づくりを支える、中核の技術である。
プレス工場では、ボンネットやフェンダー、サイドパネル、ドアといった外装の主要パネルを4秒に1~2枚のペースで成形している。ライン脇には、SU7やYU7、SU7 Ultra、SkyNomadの車種ごとに色分けされた金型が並び、生産する車に合わせて交換する。プレスラインは5工程で構成され、総加圧力は6900トン。成形したパネルは作業員が外観を確かめ、さらにブルーライト方式の3Dスキャナーで寸法を検査する。
ボディー工場の自動化率は91%に達し、照明を落としても稼働できる「ダークファクトリー」に近い。数百台のロボットが並び、プレス部品をつなぎ合わせて車体を組み上げていく。ロボットはカメラで部品を撮影して位置を確かめながら作業し、組み付けたあとにも再び撮影して精度を確認する。外装パネルを車体に取り付けるシステムも自社で開発しており、取り付け精度はプラスマイナス0.5mm。人の手に頼らず、安定した品質を保てるようにしている。
塗装工場は、環境への配慮から内部が公開されていない。担当者は、何層にも重ねる塗装工程を「下地やコンシーラーを重ねていくメイク」のようなものだとたとえて説明してくれた。塗装を終えた車体は最終組み立て工場へ送られる。ここでボディーとシャシーを結合し、内装や部品を組み付けて完成となるわけだ。
完成した車はエンジニアが最終検査をしたうえで出荷センターへ運ばれる。出荷センターには約2700台分の駐車スペースがあるという。
スポーツカー「SU7 Ultra」の加速を体験
今回はシャオミのEVの乗車体験として、SU7 Ultraの加速性能の高さをショールーム隣の試運転コースで試した。運転はスタッフが行ない、筆者は後部座席に乗り込んだ。試運転コースは高速性能を試す設計になっておらず、最高速度は90km/hまで。停止状態から90km/hまではわずか2秒足らずで、強烈なGと、内臓が後ろに引っ張られるような圧倒的な加速を味わった。
なお、試乗の様子は筆者のYouTubeチャンネルに動画を上げているので、興味のある方はご覧いただきたい。
「Human x Car x Home」エコシステムを体感
今回の訪問では、EVの開発から製造、そして実車の体験まで、シャオミの車づくりに対する情熱と妥協のない姿勢を肌で感じることができた。中国以外で販売されているのはスマートフォンとスマートデバイスのみで、それでもスマートライフを提供するシャオミのラインナップは体感できる。しかしEV工場に来ると、そこに車が加わることで、「あらゆる時間をスマートに過ごす」というビジョンがいかに壮大であるかを強く実感させられる。
シャオミが掲げる「Human x Car x Home」エコシステムは、EVがあってこそ完成するものだとも感じられた。2027年にはヨーロッパでのEV展開が始まる予定だ。いつの日か、日本でもその体験をしたいものだ。
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