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業務を変えるkintoneユーザー事例 第336回

煩わしい入力作業を「業務を楽にする先行投資」に転換し、外勤時間10%増を実現

kintoneで変わったのは業務ではなく「当たり前」―― 超保守的な営業部隊がDX先進組織になるまで

2026年10月14日 14時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp 写真提供● サイボウズ

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四国電力 法人営業部 チーフアシスタントマネージャー 岡添圭哉さん

 「kintoneで変わったのは業務ではなく“当たり前”」 ―― そう語ったのは、四国電力 法人営業部の岡添圭哉さんだ。現場視点でのAI活用や定着策によって、使われていなかったkintoneが一転。事業部の根深い課題を解決する基盤へと変貌した。その成功の鍵となったのは、現場社員の「腹落ち」を重視したことだった。

 サイボウズは、kintoneユーザーの事例イベントである「kintone hive 2026 matsuyama」を開催。ラストバッターとして登壇した四国電力の岡添圭哉さん、藤原海杜さんが披露したのは、保守的な法人営業部をDX先進組織へと引き上げた変革ストーリーだ。

営業活動の基盤になるはずだった「4つのkintoneアプリ」

 四国電力は、香川県高松市に本社を置き、四国4県を中心に電気の安定供給を行うインフラ企業だ。

 冒頭、岡添さんが明かした同社の組織文化は「超安定思考」。変化が苦手だが、前例踏襲は得意。そして、強い縦割り文化が根付いていたという。

超安定思考が根深かった四国電力

 そんな四国電力に中途入社した岡添さんは、ITスキルゼロかつ現場経験もない中で、法人営業部のDX推進を任される。同社の法人営業部は、企画・立案を担う「本社部門」と実働部隊である「現場部門」の間に壁が存在し、社内でも特にDXが遅れている部署だった。それでも岡添さんは、本社部門の立場から、現場も巻き込んだ変革を推し進める必要に迫られた。

 まず岡添さんが着手したのは、ファイルが分散する「情報の散在」と、経験・ノウハウが個人に閉じる「属人化」の解消だ。そのためのツールとして選んだのがkintoneである。データを集約して利活用につなげられ、現場社員でも扱いやすい点が選定の決め手となった。

 そこから苦労の末、営業活動の土台となる「企業情報管理」「契約情報管理」「案件管理」「活動履歴管理」という4つのkintoneアプリを作成。自信満々で現場に展開したものの、これらのアプリはまったく使われなかった。

営業活動の土台になるはずだった4つのkintoneアプリ

 「こんなに良いアプリがなぜ使われないのだろうと疑問に思いつつ、完全な失敗だったと受け入れざるを得ませんでした。一方で、こうも痛感したのです。自分が知らない現場の知識を持ち、何より『現状を変えたい』という想いを持ったメンバーが他にもいたら、結果は違っていたかもしれない、と」(岡添さん)

煩わしい入力作業が「業務を楽にする先行投資」に

 DX推進が頓挫する中で岡添さんが出会ったのが、香川西営業所から異動してきた藤原海杜さんだ。ITスキルこそなかったものの、入社以来ずっと法人営業の現場一筋で歩んできた“現場のプロ”だった。岡添さんは「救世主が現れた」と直感し、さっそく現場のリアルな課題についてヒアリングした。

四国電力 法人営業部 アシスタントマネージャー 藤原海杜さん

 藤原さんの明かしたのは「山のような内勤業務」だった。現場はもっと顧客のもとへ足を運びたいのに、転記・検索・報告書作成といった定例業務に追われていたのだ。岡添さんがショックを受けたのは、kintoneも内勤業務を増やす「入力作業のひとつ」だと思われていたこと。「kintoneのせいで現場の負担は増えていますよ」 ―― そんな厳しい現実を突きつけられた。

 これをきっかけに、岡添さんのミッションは「現場の負担を解消する」へとシフト。狙いを定めたのは、内勤業務で最も負担が大きかった「稟議書の作成」の効率化と、最新のAI活用だ。こうして、kintone内の営業データとAIを掛け合わせる「営業効率化プロジェクト」がスタートする。

内勤業務の一番のネックだった「稟議書作成」業務に目をつける

 このAI活用で真価を発揮するのが、営業データを集約する4つのkintoneアプリだ。藤原さんはそこで、「単なる入力作業が、実は現場を楽にするものだった」と気づく。一方の岡添さんも、「仕組みを作ること」に意識が向き過ぎて、「現場に腹落ちしてもらう」ことが足りなかったと気づく。「双方の気づきによって、kintoneは入力するツールから活用するツールに変わったのです」(岡添さん)

 ただ、2人の気づきを法人営業部全体に広げるには、別の根深い問題があった。冒頭で触れた縦割り文化だ。現場部門には「本社部門から与えられた仕事をこなすだけで、改善要望を出しても自分の負担が増えるだけ」という諦めの考えが染みついていたのだ。ここから藤原さんらが向き合ったのは、業務ではなく組織・風土そのものだった。

 まず取り組んだのは管理者への訴求だ。「営業管理がkintoneにログインするだけで終わる」といった、管理者目線のメリットを説いて回った。一方の利用者には、「営業に必要なグラフやレポートをAIが自動生成してくれる」といった、「データ入力の先」を訴求。やがて、藤原さん以外の現場も「入力作業が業務を楽にするための先行投資」だと捉えるようになった。

kintoneに蓄積された営業データをAIが分析する様子

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