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業務を変えるkintoneユーザー事例 第336回

煩わしい入力作業を「業務を楽にする先行投資」に転換し、外勤時間10%増を実現

kintoneで変わったのは業務ではなく「当たり前」―― 超保守的な営業部隊がDX先進組織になるまで

2026年10月14日 14時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp 写真提供● サイボウズ

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ベテラン社員も内製アプリ「人は任されると変わる」

 もうひとつ重要だったのが、「現場一人ひとりの声が業務を変えられる」と実感してもらうことだ。そのために3つの施策を展開。1つ目は、kintoneをはじめとするデジタル活用を学ぶDX研修だ。単なるスキル習得にとどまらず、業務にどう落とし込むかまでを徹底的に身に付ける「自分ごと化」の場であり、DX推進のキーパーソンを掘り起こす場としても働いた。

 2つ目は、各支店・営業所への直接訪問だ。現場のホンネを引き出し、対話をしながら共に改善につなげる泥臭い取り組みであり、これが風土変革で最も効果を発揮したという。最後は「小さく任せる」仕組みの構築だ。kintoneによる改善を現場に委ねることで、「このアプリの項目いらないのでは」「支店内ではこう説明したほうが伝わる」と、自ら考える担当者が増えていった。

 「こうした活動で変わったのは、若手やITが得意な社員だけではないです。現場のベテラン社員も、アプリを自作して業務課題を解決しています。人は任されると変わるのです」(岡添さん)

 他にも、ある社員の「名刺や企業情報、対応履歴をひとくくりで把握したい」という声で企業情報管理アプリが生まれ変わり、「Excelで管理しているこのデータも分析したい」という声で眠っていたヒアリングデータもkintoneに集約されるようになった。こうして、kintoneを起点に組織・風土が変わり始めたのだ。

現場が生んだ新しい企業情報管理アプリ

営業構造そのものが変わり、4つの病は「4つの当たり前」に

 こうした変化は数字にも表れた。かつて「最も遅れている」と言われていた法人営業部は、変革をリードする組織に。ITスキル取得率は1.3%から82.6%に急増し、DX推進のための業務時間もゼロから月30時間にまで膨れ上がった。kintoneの利用者数も初期の30名から250名と8倍以上となり、アプリ作成人材も13名まで増えた。まさに、「使うだけ」から「自分たちで改善する」組織へと進化を遂げた。

kintoneによって「使うだけ」から「自分たちで改善する」組織に

 あれだけ入力されなかった営業データも、案件数は4000件以上、活動履歴は1万4000件以上蓄積され、営業ノウハウが全社財産へと変わりつつある。これらのデータを基にしたAI活用などで、検索や社内資料の作成、引き継ぎに必要な業務時間は半分にまで削減された。

 こうして生まれた時間で、本来注力したかった「顧客と向き合う時間」が増えたのが、最大の成果だという。実際に内勤業務が減ったことで、外勤業務は10%増加。これは250人規模の営業組織で、営業担当を25人採用するのと同等の結果だ。「組織・風土が変わった結果、営業構造そのものが変わったのです」(岡添さん)

 最後に岡添さんは、「情報の散在・属人化・内勤業務の山・保守的な風土という法人営業部の4つの病は、営業データが集まり、ノウハウが共有され、お客様と向き合い、自身らで変革できるという『4つの当たり前』に変わりました。一人ではなく、現場と同じ目線で共に考え、行動し続けることで、当たり前は変えられるのです」と締めくくった。

 セッション終了後には、サイボウズ松山オフィスの村上優さんとのアフタートークが繰り広げられた。

村上さん:最初は少人数からkintoneの利用が始まったかと思います。

岡添さん:私一人で法人営業部のDXをスタートして、エンジニアがいるわけでもないので、サイボウズさんの研修などで一からkintoneを学びました。

アフタートークの様子

村上さん:そこから救世主である藤原さんとどう出会ったのですか?

岡添さん:香川支社の営業部長さんに「丸々頼れる現場の人間は藤原しかいない」と紹介されたのがきっかけです。

村上さん:今後、kintoneで挑戦していきたいことはありますか?

岡添さん:kintoneは非エンジニアでも自分たちの想いを形にできるツール。だからこそ、同じように悩んでいる人の後押しになる発信をしていきたいです。

中国・四国地区の代表者は……!

 そして、kintone hive matsuyamaのラストには、参加者・審査員の投票により、中国・四国地区の代表が選出された。6組の登壇者の中で最も支持を集めたのは……五星の小野奈緒美さんだ(参考記事:「ツールは入れて終わりじゃない」 香川の建設コンサルが利用率1割だったkintoneを全社基盤に育てるまで)。

 小野さんは、2026年11月に幕張メッセで開催される「Cybozu Days Japan 2026」のkintone AWARDに出場する。

五星 IT推進室 室長 小野奈緒美さん

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