いよいよ明日、10月1日からビール類の酒税が一本化されます。それにあわせて、あの金麦も、ついにビールになります。
サントリーは10月6日、「金麦」と「金麦〈糖質75%オフ〉」をビールとして発売。さらに10月13日には、新たに「金麦〈豊潤〉」も登場します。
金麦は2007年に登場し、今年で発売20年目。「第3のビール」とも呼ばれた新ジャンルの商品として、長く親しまれてきました。それが10月の酒税改正を機に、麦芽の使用比率を高め、ビールへと生まれ変わります。
9月にサントリーの武蔵野工場で開かれた「『金麦は、ビールへ。』おいしさ体感ツアー メディア向け取材会」にて、新しい金麦をひと足早く飲んできました。
あの「金麦」がビールへ
“お手軽なビール”を目指す
実は金麦は、サントリーのビール類販売数量の約半分を占める主力ブランド。「ザ・プレミアム・モルツ」や「サントリー生ビール」をも上回る、同社最大のビール類ブランドなのです。それほど多くの人に飲まれている金麦が、新ジャンルからビールへ鞍替え。昨年秋にビール化の方針が発表されたときは、天がひっくり返るようなニュースに、私もかなり驚きました。
そもそもなぜビール化? 新ジャンルが手頃だった背景には、ビールとの酒税の差があります。かつては350mlあたり49円もの差がありましたが、段階的に縮小。明日10月1日からは、ビールも新ジャンル(現在の酒税上は「発泡酒②」)も54.25円に一本化されます。
つまり、「新ジャンルだからビールより安い」という、これまでの強みが薄れてしまう。そんな中、サントリーは金麦をビールにする道を選びました。今回の酒税改正に合わせて、キリン「本麒麟」など、他社の新ジャンルブランドもいくつかビールへ転身します。
「ビールになるというと、お高くなるんじゃないの?」と勘ぐってしまいますが、サントリーは酒税の増税分のみを出荷価格に反映し、従来の新ジャンルの価格帯を維持する方針です。
同社が示した想定価格でも、金麦は一般的なビールより手頃な位置づけ。サントリーのマーケティング本部 ビール・RTD部 課長の斎藤圭世氏は、「最もお手軽なビールである金麦」を、少しでも多くのお客さんに伝えていきたいと話していました。
ビールになったから急に高くなる、というわけではありません。さすが、金麦!
麦芽比率をアップ! だけど「金麦」感はそのまま
ビールになると、金麦は何が変わるのでしょうか。今回は従来よりも麦芽の比率を高め、ビール製法へと変更します。とはいえ、長く親しまれてきた金麦の味まで別物になっては、従来のファンは戸惑うはず。
実は私、「新ジャンルからビールになる=おいしくなる」と単純に捉えていたところがありました。ところが、金麦らしい味を保ちながらビールにするのは、なかなか難しいことだったそうです。
サントリーのビール開発生産本部 ビール商品開発研究部 開発主幹、水口伊玖磨氏によると、麦芽の比率を高めれば、麦のうまみや飲みごたえは増します。一方で、甘みや雑味が後味に残りすぎると、金麦らしいすっきり感が失われてしまう。この両立に苦労したといいます。
そこで原料の配合を0.1%単位で調整し、仕込みの条件も見直しました。麦芽を煮出してうまみとコクを引き出す「デコクション製法」や、3段階の温度帯で麦のうまみを抽出する「うまみ三段製法」などを採用。麦のうまみを引き出しながら、後味に影響する成分の抽出や分解を細かく調整し、金麦らしい澄んだ後味との両立を図ったそうです。
水口氏は、こうした味わいを実現できた背景に、サントリーが長年培ってきた醸造技術があると話します。
新しい金麦3種類、飲んでみた
気になるのはその味。さっそく飲んでみました。
まずは、通常の「金麦」から。飲んでみると、想像していた以上に「金麦」です。私が金麦らしいと感じていた、花を思わせるような、ほのかにフルーティーな香りが残っています。飲み口は軽やかで、後味はすっと切れる。ビールになったことで、後味の切れがよくなったようにも感じました。
続いて「金麦〈糖質75%オフ〉」。糖質オフだけあって、通常の金麦よりさらに軽めです。グラスに注いだ時の、金麦らしい香りのよさは健在。
海外の軽いラガービールのような、さらっとした飲み口です。ここまで飲んできて気づいたのですが、以前の金麦は、香りがよくても、飲んだ後に少し雑味が気になることがありました。ところが今回は、その引っかかりがない。軽いけれど味がぼやけず、凛と澄んでいる。これ、けっこう好きです。
そして「金麦〈豊潤〉」は、ダイヤモンド麦芽を一部使用。ダブルデコクション製法や銅炊き仕込など、原料にも製法にもこだわった1本です。
グビッと飲むと、どっしりした飲みごたえがあります。麦のコクが前に出ていて、通常の金麦とは明らかに違う方向。それでも、金麦らしい香りのよさもあります。
どれも金麦らしい。なのに、ちゃんとビールとしてうまい。ほうほう、なるほど。
ビール群雄割拠の時代
“今日のつまみ”で銘柄を選ぶのも
ちなみにサントリーには、先にも書いたように「ザ・プレミアム・モルツ」や「サントリー生ビール」などのブランドもあります。そこに金麦が加わり、サントリーのビールも群雄割拠の時代に。
取材会では、金麦がビールになることで既存の商品と食い合わないのか、という質問も出ました。担当者は、今後は同じビールの中から、お客さんが好みの味わいと価格のバランスで選ぶ時代になるとみています。
なるほどと思ったのは、ビールごとにおすすめの食べ物も違うこと。サントリーでは食事との相性を研究していて、「ザ・プレミアム・モルツ」には牛肉、「ザ・プレミアム・モルツ〈香るエール〉」にはアップルパイが合うといいます。
そして通常の金麦には、枝豆や中華サラダをおすすめしていました。今日の献立に合わせて飲むビールを選ぶ、なんていうのも楽しそうです。
ちょっと気になったのは、開発担当者が「金麦〈豊潤〉」に合う食事として挙げたカレー。味の濃いカレーにビールを合わせると、ビールの味が隠れてしまいがちです。豊潤なら、カレーのうまみを受け止めつつ、麦の味わいも感じられるといいます。これは試してみたい!
なお、発売後は従来の金麦とビールになった金麦が、店頭に一時的に並ぶ可能性もあるそう。両方見つけたら、新旧で飲み比べるチャンスですね。
10月は工場で新しい金麦を体験
10月には、サントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野で「金麦は、ビールへ。」おいしさ体感ツアーも開催されます。製造工程の見学や醸造家の解説に加え、今回紹介した3種類を試飲できるそうです。10月の土日祝日限定で、所要時間は90分、参加費は1000円。気になる人はチェックしてみてください。
ビールになっても「かなり金麦」だった
「ビールになったら、あの金麦の味が変わってしまうのでは」と心配していた人もいるかもしれません。実際に飲んでみると、かなり金麦でした。もちろん、味がまったく同じというわけではありません。それでも「この味は金麦だよね」と、取材会では周りの記者とうなずき合ったほど。
私は特に「金麦〈糖質75%オフ〉」が気に入りました。軽いのに、ビールとしてきれいな味わい。糖質75%オフというのもうれしいです。発売されたら、まとめ買いしておきたいかも。
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ナベコ

アスキーグルメの酒好きご飯好きの記者・編集者。人生酸いも甘いも。七味唐辛子は薬研堀を愛用。
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