セキュリティとプライバシー最重視!pCloudのCEO来日インタビュー
約3000人のハッカーが侵入できなかったpCloud すべてはユーザー自身のデータを守るため
スイス生まれの買い切り型クラウドとして知られる「pCloud」の開発元であるpCloudのCEO トニオ・ザファー(Tunio Zafer)氏が来日した。「ユーザーのデータはユーザーのみが所有権を持つ」というpCloudのコアコンセプトが生まれた背景や、セキュリティやプライバシーを守る仕組み、日本市場での展開について話を聞いた。(インタビュアー:ASCII編集部 大谷イビサ、以下、敬称略)
大手企業はユーザーデータをAIに学習させ、マーケティングに活用している
ASCII編集部 大谷イビサ(以下、大谷):ユーザーのデータの所有権を重視するpCloudが登場した背景について教えてください。
pCloud CEO トニオ・ザファー氏(以下、ザファー):クラウドストレージを提供する大手企業は、ユーザーのデータをAIモデルのトレーニングにも利用し、マーケティング分析を行なっています。言い換えれば、ユーザーデータの一部は、すでにユーザーの所有物ではありません。
pCloudのコンセプトは、これら既存のサービスとまったく逆です。私たちが当初から考えていたのは、ユーザーのみが唯一のデータの所有権を持つことができるサービスを提供することでした。ユーザーのみがデータにアクセスでき、共有したいユーザーに対してのみ共有できるサービス。これがpCloudになります。
大谷:GDPRをはじめ、セキュリティやプライバシーに厳格なヨーロッパで生まれたサービスという点が大きいのでしょうか?
ザファー:pCloudの運用をスイスの管轄下で行なっているのも、セキュリティとプライバシーが背景にあります。なぜなら、スイスの法律はセキュリティと消費者の権利に関して非常に厳格だからです。情報セキュリティに関する規定も、ユーザーと私たちのビジネスにとって有利な環境でした。
その上で、pCloudのデータセンターは米国のみならず、ヨーロッパにも立ち上げ、どちらかを選択できるようにしています。ユーザーは保管場所を選択でき、スイスのセキュリティとユーザー権利に関する法令を参照します。これにより、ユーザーはデータのセキュリティについて、かなり安心していただくことができます。
われわれはすべてのファイルを安全かつ信頼できる方法で保管している
大谷:ユーザーデータへのアクセスはどれくらい厳しいのですか?
ザファー:私たちはセキュリティとプライバシーを前提にサービスを設計しています。たとえば、有料オプションのpCloud Encryptionでは、サービスプロバイダー側の私たちも、いかなる方法でもユーザーのデータにアクセスすることができません。いわゆる「ゼロナレッジセキュリティ」が実現されています。
大谷:データアクセスのための情報は、本当にユーザーしか持っていないということですね。
ザファー:はい。そのため、ユーザーがパスワードを忘れると、アカウントは復元できなくなります。データに関しても、暗号化された状態で保存されており、サービスプロバイダーであるわれわれも復号化するための情報を持っていません。
もちろん、ユーザーがパスワードを忘れた際に、リセットするための記号を複数用意しています。ただ、それを利用しても、私たちはユーザーのアカウントにアクセスできません。
大谷:非常に高いセキュリティですね。
ザファー:このサービスが実際どれくらい安全か、例を示しましょう。数年前、pCloud Encryptionのハッキングコンテストをやりました。参加したのはMITやバークレー大学、ボストン大学など主要大学を含む約3000人のハッカーたちです。半年間に渡ってアカウントの解読を試みてもらいましたが、システムへの侵入はゼロでした。
なぜこんなことをやったのか? 私たち自身が「自らのサービスは安全です」と言うのは簡単だからです。でも、これでは安全かを信じてもらえない。そのため、世界のハッカーたちにpCloud Encryptionを破ってもらうことにしました。しかし、半年間かけたその試みは失敗に終わり、初めて私たちのサービスが最高レベルのセキュリティを持っていることが明確な証拠として示せたのです。
大谷:買い切りで生涯(99年間または契約者の生涯、いずれか短い方)使える「生涯プラン」もとてもユニークです。
ザファー:買い切りで永久に利用できる生涯プランに関しては、ビジネスモデルの調査と製品分析を行ないました。これはファイルを保存するためにハードディスクを購入するのに等しい課金モデルです。しかし、ハードディスクはいつ壊れるのかわかりません。紛失したり、燃える可能性もあります。
その点、われわれはすべてのファイルを安全かつ信頼できる方法で保管しています。ですから、ユーザーはハードディスクの故障におびえる必要はありません。1回お支払いいただければ、永久にクラウドのストレージを安全に利用できます。
「どうやったら、日本のユーザーに喜んでもらえるか」をいつも話している
大谷:日本での認証はどのような状況でしょうか?
ザファー:日本では、pCloudの販売代理店であるノイテックスが一般社団法人日本クラウド産業協会(ASPIC)による安全・信頼性情報開示認定を取得しています。そのため、日本のユーザーにも安心してご利用いただけます。
大谷:日本市場での展開について教えてください。
ザファー:日本市場は独特ですが、市場をよく理解しているノイテックスという信頼できるパートナーのおかげで、成功を収めています。日本のユーザーにはpCloudを受け入れてもらって大変感謝しています。
大谷:ノイテックスの林さんも日本市場の開拓について一言いただけますか?
ノイテックス代表取締役兼CEO 林鉄平氏:2020年に初めてpCloudと出会い、とにかく大ファンになってしまいました。ファンの立場で日本で事業を立ち上げたいとチュニオに訴え、そこから二人三脚で市場を開拓していきました。「どうやったら、日本のユーザーに喜んでもらえるか」をいつも二人で話してきたんです。
買い切りモデルも、最初は信頼してもらうのに苦労しました。とにかく地道な説明、ASPICの取り組み、メディア施策などいろいろ積み重ねてきた結果、最近では個人ユーザーはもちろん、大学でのpCloud導入も進んできました。
大谷:最後に日本のユーザーに向けたメッセージをお願いします。
ザファー:日本市場のポテンシャルは非常に高いのですが、私たちはまだ初期の段階にいます。今後ももっと速く、もっと簡単に使えるように機能強化に努めます。成長の余地も大きいので、引き続きこの市場にコミットし、努力を続けていきたいと考えています。
大谷:ありがとうございました。
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