エスプール、Renxa、横浜DeNAベイスターズが業界をまたぎ登壇、「Zoom CX Summit Tokyo 2026」レポート

CX変革は“AIと人間の共創”へ Zoomが描く2026年からのコンタクトセンター像

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

エスプール:持続可能な自治体実現のため「住民CX」と「職員CX」向上を

 Zoom CX Summit Tokyo 2026のキーノートにゲスト登壇した、エスプール 代表取締役社長の白川儀一氏は、「AI活用による自治体CXの向上」と「持続可能な地域社会の実現」というビジョンを語った。同社グループのエスプールグローカルでは、地域課題の解決にフォーカスしたビジネスを展開しており、これまでに全国400以上の自治体との取り組み実績を持つ。

 現在、全国の多くの自治体が抱える悩みが「限られた人員で質の高い行政サービスを持続的に提供すること」だという。居住人口が減少している多くの中小自治体では、同時に職員数も減少しており、「行政サービスをどう持続可能なものにしていくのか」という難しい課題に直面している。

 ここで同社が注目するのが、役所の電話や窓口といった「住民接点」だ。白川氏は「住民接点こそが、住民サービスの最前線であると同時に、地域課題の影響が最も集約する場所」だと説明する。

 「住民接点には、たとえば『制度や手続きが分かりにくい』『今すぐ誰かに相談したい』といった、不安や不便に関する声が日々集まってくる。その1つ1つは問い合わせであると同時に、行政サービスを改善し、地域課題を把握するための貴重なデータでもある」(白川氏)

 しかし、問い合わせや相談の内容は多岐にわたるため、その応対は難しく、住民にとっては「待たされる」「たらい回しにされる」体験に、職員にとっては「応対に時間をとられ、コア業務の妨げとなる」体験につながってしまう。白川氏は、住民接点のあり方を変えることで、こうした「住民CX」と「職員CX」の両方を向上させていく必要があると訴える。

 ここで鍵を握るのが「AIの活用」と「住民とのコミュニケーションで生まれる膨大なナレッジの蓄積/活用」だ。特に後者は重要で、住民とのやり取りを記録/分類し、AIが活用できるナレッジとして再構成することで、属人化の壁を超えて誰もが使えるものにする必要がある。

 白川氏は、住民接点の改善を実現している具体例として、同社が運営を支援する奈良市の事例を紹介した。奈良市では、コミュニケーション基盤としてZoom Phone、Zoom Contact Centerを採用し、さらにZoom Virtual Agentも導入して、音声AIによる電話応対の自動化を実現している。将来的には「AIによる24時間自動応答」も目指す。

■関連記事:
 奈良市事例:「職員が4分の1」に減っても成り立つ“デジタル市役所”を目指す

 エスプールグローカルには、400以上の自治体で、数百万件の住民対応を通じて蓄積してきたデータとノウハウがあるという。白川氏は、自治体には組織や業務の共通性という特徴があること、中小自治体において「情報システム/データ/ナレッジの共同運営」という考え方が浸透しつつあることなどを指摘したうえで、同社が蓄積したナレッジを広く展開し、自治体を支援していく方針を示した。

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります