“導入後の知見を語る”ヌーラボ新コミュニティ「Nuwave」第1回イベントレポート
「20年塩漬け」の内製ツールをBacklogに “困ってない古参”を和らげた2段階トライアル
DXにおいてツールの導入はあくまで“スタート”であり、取り組みの“本番”はその後の活用や定着にある。ヌーラボは、こうした導入後の知見共有にフォーカスしたコミュニティ「Nuwave」を立ち上げた。
Nuwaveは、プロジェクト・タスク管理ツール「Backlog」を始めとするヌーラボサービスの導入推進者を対象としており、第1回のイベントは2026年5月に開催されている。
同イベントに登壇したアイティメディアのめんふく氏が語ったのが、“20年使い続けたツール”のリプレース事例だ。計画的なトライアルで現場の摩擦を抑え、仕組み化で行動変容を促したアプローチを共有している。
塩づけツールに戸惑う新メンバーと、困ってない古参メンバー
インターネット専業のメディア企業であるアイティメディアの中で、メディア運営をサポートする部署に所属するめんふく氏。同部署には、20年もの間“だましだまし使い続けてきた”という、あるツールが存在していた。それは、メディア運用を担う「事業部」と「管理本部」をつなぐ、「依頼の窓口」となる内製のタスク管理ツールである。
「導入当初は便利でしたが、20年も経てば課題が積み重なります。私も含む新しいメンバーは“なぜ使い続けているのか戸惑い”、一方で、古参メンバーは“慣れているから困っていない”という、そんな温度差も生じていました」(めんふく氏)
このままでは限界を迎えるとの危機感から、広く普及するBacklogで課題の解決を図ることを決定。その取りまとめ役には、Backlogの利用経験があるめんふく氏が選ばれた。
しかし、移行するにも20年の歴史はあまりにも重い。だからこそめんふく氏は、現状の把握から始めた。具体的には、ログ分析でリアルな利用状況を可視化。パレートの法則を応用して、利用頻度の高い上位2割のメンバーにアンケートも取った。
その結果、2つの面で課題が明らかになった。まず機能面では、古いUIによる操作性の低さに加え、通知がメールのみであることから見逃しが発生しやすかった。運用面では、窓口やルールが未だ整理されておらず、自由記述のインターフェイスが依頼の粒度のバラツキと属人化を生んでいた。
ただ、アンケートでめんふく氏を安心させたのが、Backlogを利用したことがあるメンバーが約8割にも上ったことだ。「覚える手間」という最大の摩擦が小さかったことは、その後の推進の後押しになったという。
“現状維持バイアス”への処方箋に2段階の助走期間
とはいえ、Backlogを導入後、すぐに全面移行したわけではない。分析した課題の解決も含めて、急に変化を起こすのではなく、まずは半年間のトライアル期間を設けた。
「誰もが『現状を維持したい』バイアスを持っていて、変化への抵抗は必ずあります。それは悪いことではなく、人として自然な反応。だからこそ、助走期間を設けて、現場の警戒心を和らげました」(めんふく氏)
同時に、トライアル期間を“フィードバックを集める期間”としても位置付けた。Backlogの運用ツールやテンプレートを使いながら育てて、ツールの「完成度」を高めていく狙いもあったという。
さらに、トライアル期間を前後半、2つのステップに分割した。前半では、繰り返し発生する「定型依頼」のみをBacklogで運用し、“使い方を揃える”ことに集中。よくある依頼をテンプレート化して利用のハードルを下げつつ、見つかった課題を踏まえてマニュアルやFAQを整備していった。
続く後半では、複数部署を巻き込むような複雑な「非定型依頼」にも活用範囲を広げた。ここからは“使いこなす”フェーズであり、例外的な課題も洗い出してルールに追加していく。並行して、依頼者と対応者で内容を変えた説明会も開催。オンライン開催のメリットを活かし、未参加のメンバーには録画でフォローした。
細かな工夫としては、Backlog上の「お知らせ用アカウント」のアイコンに「走るフクロウのヒナ」を採用したことが挙げられた。2025年の流行語大賞にノミネートされた「エッホエッホ」の動画をモチーフにした、かわいらしく、穏やかな気持ちにさせる絵柄である。狙いは“威圧感を与えないこと”で、「強制ではなく、自然と動いてもらう。運用ルールに基づいた使い方へ誘導するための仕掛け」だという。
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