直販営業とエンジニアを3年間で倍増へ、統合OS基盤とAIセキュリティの訴求も
FortiGateの圧倒的シェアをサプライチェーン防御に生かす フォーティネット 2026年度事業戦略
企業のネットワーク・セキュリティを取り巻く環境は、複雑化の一途をたどっている。ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃の深刻化、働き方の多様化によるネットワーク環境の変化、AI活用の急拡大など、企業が講じるべき対策は多岐にわたる。
フォーティネットは、2026年5月28日、2026年度の事業戦略説明会を開催。同社の社長執行役員である与沢和紀氏が登壇し、重点領域である「サプライチェーン」「統合セキュリティ基盤」「AIセキュリティ」について説明した。
サプライチェーン:SMBの圧倒的シェアを活かし、全体防御の底上げを
与沢氏が重点領域として最初に挙げたのが、昨今、ランサムウェア攻撃などにより甚大な被害が相次ぐ「サプライチェーン」のセキュリティ強化戦略だ。上流から下流までを網羅したサプライチェーン防御体制の構築を支援すべく、「全体への提供力」と「ダイレクト対応力」を強化していく。
もともとフォーティネットでは、大企業から中堅・中小企業(SMB)まで、ネットワークに接続されたあらゆる攻撃対象領域を保護するソリューション群を展開してきた。特に、中堅企業では、UTM・次世代ファイアウォールの約半数を同社の「FortiGate」が占めるなど、SMB市場のシェアに圧倒的な強みを持つ。
このSMB市場における高いシェアを、サプライチェーン展開における「構造的優位」として活用していく。具体的には、上位の大企業側からの働きかけを契機に、既に普及が進む同社ソリューションをベースにして、短期間でサプライチェーン全体のセキュリティの底上げを図る。
「大企業では概ねサイバーセキュリティ対策が講じられているため、今重要なのは、中堅・中小企業。我々の同市場での高いシェアを活かせば、企業グループのサプライヤー全体を包含する、一気通貫のセキュリティを展開できる」(与沢氏)
加えて、主要な大企業へのアプローチ強化に向け、直販体制の拡充とパートナー対応力の底上げを同時に進める。ダイレクト営業とエンジニアの人員を今後3年間で倍増させる一方、パートナーの専門性を高めるプログラムも展開予定だ。
また、注力するソリューションとしては、攻撃対象領域を最小化するZTNAや、そのZTNAを内包するSASE、AI活用した防御機能の強化が挙げられた。業種においては、OTセキュリティを軸に、製造、卸・小売、サービス業へのアプローチを強化していく。
統合セキュリティ基盤:最新OSの訴求とサポート体制の充実
2つ目の注力領域は、フォーティネットが元来持つ強みである「統合セキュリティ基盤」だ。
同社はこれまで、大型買収に頼ることなく、エンドポイントから次世代ファイアウォール、VPN装置、SASE、AIを活用したオペレーションの自動化に至るまで、基本的にはすべて自社開発で設計してきた。これらはすべて、単一のOS(FortiOS)を基盤に統合・連携しており、「複数の製品を買収し、管理や監視のコンソールだけを統合している競合他社とは一線を画す」と与沢氏は強調する。
また、SASEにおいても、拠点側のオンプレミス機器(FortiGate)とクラウド側のSASE(FortiSASE)が同一のOSだからこそ、ハイブリッド型のSASEでリソースが分散する現代のネットワーク環境に対応しているのも特徴だ。
この統合基盤「FortiOS」は、2026年4月に、新版である「FortiOS 8.0」をリリースしたばかりだ。新版では、後述するAIセキュリティやSASE、SD-WANを強化しており、2026年度は同OSの導入を訴求していくという。
また、こうした統合セキュリティを支えるサポート体制も充実させている。設計から導入、運用、最適化、高度化といった一連のライフサイクルをカバーする、公式の保守・サポートサービス「FortiCare」を展開している。
アカウントベースでは、専任エンジニアによる技術支援を行う「プロフェッショナルサービス」と、継続的な問題解決をサポートする「アドバンストサポート」の2種類をグレードごとに用意。ハードウェアの故障時には、4時間以内でのハードウェア交換やオンサイトでの設置などにも対応する「RMA」サービスも提供する。
OTセキュリティにおいても、OT資産を可視化・制御する「FortiNAC」や、偽(おとり)のOT資産に誘導して攻撃を観測する「FortiDeceptor」といったソリューションに加えて、トレーニングや無償のWeb診断、各種診断サービスなど、多様なアセスメントサービスを展開する。
ミッションクリティカルな領域においては、同領域で豊富な実績を有するアラクサラネットワークスを2026年1月に完全統合。与沢氏は、「同社のマインドセットをそのまま取り込み、ミッションクリティカルな領域における研究開発からサポートまで国内展開していく」と言及。なお、海外におけるアラクサラネットワークス製品の販売は継続していくという。
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