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30周年の「次」を見据え、時代に合わせた安心感もアップデート

次のヤマハネットワーク製品はどうなる? 企画・マーケメンバー3人と作戦会議をしてみた

文●大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

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顧客課題の解決を、現実的なコストと使いやすさで実現する

 「顧客課題の解決を、現実的なコストと使いやすさで実現する」。この実例として挙げられたのが、ヤマハの無線LAN機器がこだわるアクセスポイント間のローミング機能だ。「この数年、病院や介護事業者のネットワークで、端末を移動しながら使うという利用がすごく増えています。まさにお客さまの使い方が変わってきた」と志村氏は語る。これに対して、ヤマハはファームウェアのアップデートで迅速なローミングを可能にしてきた。

 セッション数の拡大も1つの課題だ。「今まではVPN対地数がルーター製品の選定指標だったのですが、1台の端末のクラウドへのセッション数が猛烈に増えてきたこと受けて、セッション数が選定指標として利用されるようになってきました。弊社もセッション数を明示し、お客さまの利用形態をカバーできる製品作りを手がけてきました」と新井田氏は語る。

 複数の無線LANアクセスポイントを効率的に管理する機能も自動化した。「導入担当者と運用担当者が違うことを前提に、拡張したときでもアクセスポイントを容易に追加できるようにしています。GUIが使いやすいのは当然として、無線LANの場合、ある程度は『よしなにやってくれる』ところまで踏み込まないと、ビジネスとしてうまくいかないと思って、そういう設計を入れ込んでいます」と秦氏は語る。

ユーザーの前に立ちはだかるセキュリティの壁 可視化と管理機能で解決したい

 そして、現在の大きな課題はもちろんセキュリティだ。ヤマハはネットワーク機器として長らくセキュリティにも取り組んできたが、決してセキュリティ商材を作ってきたわけではない。新井田氏は、「迷いながら、走ってきたというのが正直なところです。とはいえ、われわれが専用のセキュリティ機器を提供するのは、ちょっと違うのではないかと考えています」と振り返る。

 とはいえ、ヤマハネットワークをこれまで利用してきた中小企業は、脅威にさらされつつも、十分な対策が取れていないことの方が多い。「コストやカバー範囲、スキルなどさまざまな課題があるとは思うのですが、使いやすいし、最低限これはやっておこうというセキュリティ対策はわれわれが提供できると思うんです」と新井田氏は語る。

 新井田氏と秦氏が考えるユーザーのセキュリティ課題は、スキルの壁だ。「トラフィックの中身を見て、これは守るべき、これは守らなくてもよいといった判断は、業務でのSaaS利用が増えたり、適切なアクセス権限の付与が厳密化されていくとともに、今後どんどん難しくなっていく。ヤマハは(拠点やトラフィックを)どこまで守るべきかをお客さんに提案する立場だと思っています」(秦氏)。

 志村氏は、情シスが抱えるカバー範囲の広さに課題を感じるという。「たとえば、昨今被害が拡大しているランサムウェアに関しても、SSL-VPN装置の脆弱性や認証情報の悪用、RDP(リモートデスクトップ)経由の不正アクセスを起点とした侵入が多数発生しています。また、保守用ネットワークや複合機、業者の持ち込み端末など、意図せず外部に露出した接続点では、保守ベンダー側の管理と認識されながらも契約外となり、管理範囲が曖昧になっているケースも少なくありません」と指摘する。

 その上で、大事なのはICTシステム全体の可視化だという。「こうした問題の背景には、自社のICTシステムにどのような接続点や資産があり、誰がどこまで責任を持つのかが十分に把握されていないという課題があります。だからこそ、単にセキュリティ商材を導入するだけでなく、ICTシステム全体を継続的に可視化・管理する仕組みが重要です」(志村氏)。

 この課題に対しては、ヤマハネットワーク製品が現在提供している機能で、カバーできる範囲もある。「たとえば、LANマップはネットワーク機器のみならず、接続されている端末まで見られるので、見える化だけでなく、資産管理の観点で利用できます。スナップショットもとれるので、持ち込みデバイスも検知できます」と志村氏は語る。今後はユーザーのPCやスマホだけではなく、IoT機器やカメラなどもつながってくるので、LANマップはより利用価値も上がっていくはずだ。

ヤマハがやるからには、「誰でも使いこなせるAI」に

 現在のトピックは、多くのベンダーが実装を進めているAIだ。「お客さまも日常的にAIを利用する環境になっているという前提で、われわれもネットワークの運用や管理を考えなければならない」(秦氏)という。技術が進化したからではなく、ユーザーがAIを使うようになってきたからこそ、AIを利活用したネットワーク設計やトラブルシューティングが必要になってくるわけだ。

 新井田氏は、「今までネットワークが「なんか調子悪い」という場合、手作業で原因を探って、検証して、わからなければヤマハに聞くというサイクルが多かったと思います。でも、今はSyslogを読み解くところにはAIが利用できる」と語る。ネットワーク設計に関しても、遠からずコンフィグまで生成できるはずだ。

 ただ、ヤマハネットワークとして実装するのであれば、データやファクトに基づいた答えや提案を引き出すAIであるべきだという。「やっぱり安心感や納得感といったお客さまの心情まで寄り添った解決方法を出せるAIが大事だと思っています」と秦氏は語る。「サポートにはいつも相当数のお問い合わせが来ます。やっぱり聞きたいことをしっかりと確認して、不安を解消できる電話サポートが必要なんです。ヤマハがやるからには、そんなお客さまでも、きちんと使いこなせる、説明に納得できるAIをお届けしないといけない」と志村氏は語る。

 AI含めた最新技術は「ヤマハ製品の中に取り込んでいく」というアプローチのみならず、「他のサービスと連携する」というやり方もある。志村氏は、「全部中に取り込むのは、やはり製品のパフォーマンスにも影響が出るので、連携しやすいインターフェイスやデータ構造を持っておくことがネットワーク機器として求められてくるはず」と指摘する。

安心感とは別の軸で海外製品と比べて圧倒的に優れた製品を

 次のヤマハネットワーク製品はどんな方向性で進化していくのか? 1つの試金石になりそうなのが、2026年夏に投入予定のWi-Fi 7対応の無線LANアクセスポイント。これまでのヤマハネットワーク製品のイメージを裏切るブラックスケルトンモデル(仮)だ。

 開発を担当した秦氏は、「僕は天井を見るのが趣味なんですが(笑)、『オフィスはおしゃれなのに、このアクセスポイント、アンマッチだけどいいのかな』と思うことが多々あったんです。だから、もともとデザインにこだわっているのですが、ヤマハとして新しい価値にチャレンジしていきたいなと思い、スケルトン筐体を企画しました」と語る。

開発中のWi-Fi 7対応無線LANアクセスポイント「ブラックスケルトン(仮)」モデル

 安心感を前面に手堅いイメージのあるヤマハネットワーク製品だが、以前の記事でも触れたが、過去には数々のチャレンジを重ねてきた歴史を持っている。「ISPやVNEが担っている役割の一部をルーターにオフロードするような製品を作ってみたい」(志村氏)、「オフピークで電力利用をタイムシフトできる製品ができたら面白いかも」(新井田氏)など、アイデアはいろいろ出てくる。とにかく「面白いことをしたい」は3人とも共通だ。

 最後、今後のヤマハネットワーク製品について、3人には簡潔に答えていただいた。

「安心感とは別の軸で、海外製品と比べても圧倒的に優れた製品を出していきたい」(志村氏)

「他社サービスとヤマハネットワークを組み合わせて新しい価値を提供したい」(新井田氏)

「日本以外でも戦える、海外製品と渡り合える製品を作りたい」(秦氏)

 今後のヤマハネットワーク製品にぜひ期待したい。

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