エミライは、イギリスiFi audioの新製品発表イベントを本社で開催した。同イベントではフラッグシップモデル「iDSD Phantom」が公開され、その開発背景やiFi audioの設計思想などが語られた。
圧倒的な性能を誇る新製品「iDSD Phantom」と最新ラインナップ
イベントの目玉となるiDSD Phantomは、iFi audioが満を持して投入するフラッグシップD/Aコンバーターだ。名称はロールス・ロイスの「Phantom」をオマージュしたもので、ヘッドホンアンプに加え、ネットワークプレーヤー(Qobuz、TIDAL、Spotify、Roon、AirPlay 2などに対応)としての機能も統合した弩級のマスターピースという位置づけだ。
特徴のひとつは、JVCケンウッドとの長年にわたる協力関係によって実現した「K2テクノロジー」の採用がある。デジタル音源をスタジオクオリティの品質に復元することを目標として開発された技術だが、JVCケンウッド以外で自社製品に搭載を許されているのは現状ではiFi audioのみである。また、世界初をうたうDSD 2048へのリマスタリング機能を備えている。
内部回路は真空管(NOS GE5670)とソリッドステート(半導体)をリアルタイムで切り替えられるハイブリッド設計を採用。単に経路を切り替えるのではなく、それぞれに独立した回路を構成した本格的なものだ。Solid-State、Tube、Tube+の3種類のモードが利用できる。
DACはバーブラウンのDSD1793を4基使用。フィリップスのTDA1541Aに着想を得た設計だという。深い低域を再現するためのXBass Proや空間補正技術のXSpace Proといった独自機能も備えているほか、5種類の追加デジタルフィルターで音の質感を微調整できる。
ヘッドホンアンプは純A級アンプによって最大7747mWの高出力を持つため、市場に存在するほぼすべてのヘッドホンを余裕を持って鳴らせる。AES3 XLR、M12産業用コネクタ、Optical SC、BNC Sync In/Out端子なども備えている。国内の発売日・価格などは未定。海外では4499ドル(税抜)となっている。
会場では次世代を担う「NEO iDSD 3」や「NEO iDSD Stream 3」などの新製品も披露された。これらはデスクトップ環境での使用を想定したコンパクトな筐体でありながら、上位機種ゆずりのK2HDテクノロジーなどを搭載。現代のライフスタイルに寄り添うコンセプトの製品となっている。
NEO iDSD 3はバーブラウン製のカスタムチップを備え、PCM768kHz、DSD 512に対応したヘッドホンアンプ付きのD/Aコンバーター。最大5551mWのヘッドホン出力を装備。aptX Lossless対応のBluetooth接続も可能だ。NEO iDSD 2からはコンデンサー、UIを改良したほか、ライン入力が3.5mm端子からRCA端子に代わり、K2HD対応となった。カラーリングも変更となっている。海外価格は999ドル(税抜)。
NEO Stream 3はPCM768kHz、DSD 512に対応したストリーマーで、ネットワーク経由で受け取った音楽データをオーディオ機器に受け渡す役割を持つ。こちらもK2HDに対応し、Qobuz、TIDAL、Spotify、Roon、AirPlay 2などの再生が可能。
ネットワーク接続には、一般的なLAN端子(RJ45)のほかに、M12-Xや光LAN接続も使用でき、高音質化アクセサリーのSilentPowerで培ったANCIIやiPurification、光ガルバニック絶縁といったノイズアイソレーション技術を備える。
NEO Stream 2からの進化ポイントとしては、OSがVolumio 2からVolumio 3となり、Nexisアプリと連携が可能になった。NEO iDSD 3同様、カラーリングも変更となっている。海外価格は999ドル(税抜)。
音楽の感情を呼び覚ますiFi audioの設計思想と歩み
iFi audioは、2012年にイギリスのサウスポートで誕生したブランドだ。母体は2006年に設立されたハイエンドオーディオブランドの「AMR(Abbingdon Music Research)」。数百万円もする価格帯の製品で培われた高度な技術をより多くのユーザーに届けることをミッションにしている。モノづくりにおいて特筆すべきは、単なるスペックの追求ではなく、人間の感性に訴えかける「音楽体験」を最優先している点だ。
音楽を聴くことで脳内に分泌されるDOSE(ドーパミンやセロトニン)といった化学物質の影響までを考慮し、聴き手が深い没入感を得られる音作りにこだわっている。デバイスの表面的なスペックに頼るのではなく、電源、信号処理、アナログ回路の細部に至るまで、まさに「石を裏返してまで徹底的に調べる(Leave no stone unturned)」という精神で追い込むのが彼らの流儀である。
こうした徹底したこだわりは、日本市場への深い敬意とも結びついている。来日した共同創設者のヴィンセント・ルーク(Vincent Luk)氏は、日本のプロフェッショナルな文化や細部への執着を自社の戦略に取り入れている点を強調。JVCケンウッドとの提携や同席した在日英国商工会議所(BCCJ)への加盟も、その信頼の証であると印象付けた。英国のイノベーションと日本の緻密な感性が融合することで、iFi audioは世界中の音楽愛好家を魅了し続けている。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります






















