デマント・ジャパンのオーティコン補聴器は3月24日、新しいスタイルカテゴリー「NXT(ネクスト)」の耳あな型プレミアム補聴器「Oticon Zeal(オーティコン ジール)」を発売した。最大の特徴は、耳あな型でありながら販売店での調整後にその日のうちに持ち帰れる点だ。従来の耳あな型補聴器は耳型を採取して個別に製造する必要があり、受け取りまでに1週間ほどかかるのが一般的だった。ジールはイヤピースにドームを使用する場合、この待ち時間がゼロになる。全国の補聴器専門店、眼鏡店、百貨店で購入でき、価格はオープン。海外では2025年末に先行発売され、すでに世界で2万9000人以上がフィッティングを受けたという。
3月24日に開催された記者発表会ではデマント・ジャパン 代表取締役社長 齋藤 徹氏とデマント(デンマーク本社)のコマーシャルデイレクター リッケ・ニールセン氏によるトークセッションが実施され、開発背景やジールの海外での評価などが披露された
「買ったその日から使える」耳あな型、カプセル化技術で実現
即日フィッティングを可能にしたのは、ペースメーカーなどの医療機器や潜水艦、宇宙船といった過酷な環境で使われてきた「カプセル化技術(Encapsulation Technology)」だ。内部部品を樹脂で完全に封止することで高密度な部品配置が可能になり、従来は耳かけ型や大型の耳あな型にしか搭載できなかったBluetooth通信やAI処理、充電機能といったすべての先進機能を、既製ドームで装用できるコンパクトな筐体に収めることに成功した。開発には7年以上を要したという。開発段階では100人以上の耳で物理的なフィット検証を実施しており、3人中2人が標準ドームで快適なフィット感を得られることが確認されている。
すべての機能を耳の中に収めた"All in Ear"の設計でありながら、音の処理には常時稼働する第2世代のディープニューラルネットワーク(DNN 2.0)を搭載している。最新プラットフォーム「シリウス」上で動作し、音環境の変化に即応して不要なノイズを瞬時に制御、会話をより明瞭に捉えやすくするという。AIの処理はクラウドではなくオンデバイスで実行される。
通信を担うのは同社が独自に開発した外部アンテナで、外部機器との安定した接続に加え、補聴器本体を耳のくぼみに保持する役割と、取り外し時の引き手としての役割も兼ねている。ワイヤレス接続はMade For iPhoneやASHAに加えBluetooth LE Audioに対応し、次世代規格のAuracast(オーラキャスト)もサポート。海外ではすでにシドニー・オペラハウスやロンドンの芸術大学などでオーラキャストの導入が始まっている。
バッテリーは専用のスマートチャージャーで2時間の充電により、最大20時間使用が可能。15分の急速充電でも約4時間使用できる。さらに「低容量充電方式」を採用しており、使用開始から約5年後もストリーミングを含めて約20時間の駆動が見込めるとしている。万が一、電池が少なくなっても30分の充電で最大8時間使用でき、日常のさまざまなシーンで安心して使えるとうたう。カラーはマット・ブラックの1色展開。
約7割が「目立つ」と思う補聴器
ジール装用の写真を見た87.9%が「目立たない」
同社が20〜79歳の健聴者・難聴者あわせて800名を対象に実施したインターネット調査では、補聴器の使用は他人から見て分かると思うかという問いに69.5%が「分かる」と回答した。しかし、最新の補聴器を装用した写真を見せたところ87.9%が「目立たない」と答え、先入観と実態の間に大きなギャップがあることが明らかになった。ジールが備えるすべての機能を搭載した補聴器について魅力度を聞いたところ、79.1%が「魅力的」と回答している。
同調査では「難聴リスクチェックリスト」も実施しており、補聴器を使用していない708名のうち22.0%が「難聴リスクあり」に該当した。リスクありと判定された人のうち約4割が「聴力に不安を感じたことがない」と答えており、自覚がないままリスクを抱えている人が多い実態が浮き彫りになった。調査を監修した「みみはなのど・あそうクリニック」院長の麻生 伸医師は、難聴の放置は認知機能低下を加速させる要因にもなるとし、補聴器を「隠すもの」から「魅力的で便利なツール」へ変えることが早期受診につながると指摘している。
海外では既存ユーザーだけでなく、従来は補聴器に抵抗感のあった若年層の新規ユーザーも多く獲得しているといい、日本市場でも同様の広がりが期待される。オーティコンは1904年にデンマークで創設された補聴器メーカーで、補聴器業界で唯一、聞こえと脳に関する基礎研究所をもつ。
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