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画像認識に時間要素を加えた「状況認識AI」をソフトクリエイトが開発

99.9%の不良品検出や300工程超の可視化も “職人の目になるAI”が製造業の技術継承を支援

2026年02月09日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 あらゆる業界でAI活用への期待が高まっているが、AIサービスを積極活用する製造業は6.1%にすぎないという(ソフトクリエイト調査)。現場の課題とAI技術がうまくマッチしていないことが原因だ。そこで、SI事業を展開するソフトクリエイトが着目したのが、“職人の目をAI化する”というアプローチだ。

 ソフトクリエイトは、画像認識に時系列の要素を取り込み、作業の流れや文脈を理解するAIを開発。品質安定化や技術継承を支援する状況認識AI「メニナルAI」として、2026年2月中旬より中堅製造業向けに提供開始する。

 同サービスにより、作業が手順通りに行われているかどうかを検証でき、既に99.9%の精度での不良品の検出や300工程超の手作業の可視化を達成している。

 ソフトクリエイトの事業推進本部 製品開発部 部長である畠山覚氏は、「現場のAI活用は、『手順通りか』『型番が合っているか』かなど、人の目で確認する作業が大部分を占める。人の目の代わりになるAIを作れないか、という発想で開発に至った」と語る。

ソフトクリエイト 事業推進本部 製品開発部 部長 畠山覚氏

“静止画ベース”で作業を可視化し、ローカル処理でセキュリティとコストも両立

 メニナルAIは、画像から瞬時に現場の作業を可視化できるAIサービスだ。以下の4ステップで利用できる。

 最初に作業工程の画像を入力して、画像内の物体や状態にタグ付けを行い、センサー情報(温度・湿度・LiDARなど)があれば紐づけする(①)。そして、タグの“発生順序”を指定して工程を定義する(②)。ここまでがAIに学習させる事前準備となる。

 そして、検証したい作業工程の画像を入力すると画像認識でタグを自動分類(③)。タグの時間順序から工程を認識し、センサー情報などを加味して「何が起きているか」を把握する(④)といった流れだ。動画の入力でも利用できる。

メニナルAIの使い方

 最終的な状況認識は、LLMと従来型アルゴリズムを利用でき、LLMはファインチューニングや強化学習により精度を高められる。他にも精度を高めるために、画像処理やデータ補正の仕組み、連続したタグの時間幅を最適化して同一工程と判断する仕組みなど、さまざまな技術が用いられている。

 特徴は、静止画ベースで状況が認識できる点だ。「動画フレームを前提としたAIは存在するが、静止画と時間軸から推論するAIサービスは他社にはない。必要なデータ量も少なく、低コストで、監視カメラのようなストリーミングできない映像とも相性が良い」(畠山氏)

タグの発生順序から作業の文脈を把握する“タグベース”の工程定義

 ソフトクリエイトは、メニナルAIをパッケージ製品として提供し、伴走支援サービスも展開する。小型のローカルLLMとアルゴリズムのハイブリッドにより、現場のエッジデバイスで処理するため、機密性の高い製造業でも安心して導入可能だ。学習の準備期間を含めて、最短1週間程度で利用できるという。

 今後は、予測・見守AIとの連携により「安全な手順を提案」する機能を加えて、手順書も自動生成できるようアップデートを図っていく。この予測・見守AIは、作業の注意喚起を促すような単独のAIエージェントとしても提供する。

 さらには、2026年夏には、音声データを認識する「ミミ(耳)ニナルAI」、2026年秋には物理的な機器を制御する「ウデ(腕)ニナルAI」を開発予定だ。畠山氏は、「フィジカルAI時代に必須となる『状況認識の基盤』を構築したい」と展望を語った。

予測・見守AIとの連携で「安全な手順を提案」する機能も

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