街の評価は、固定されたものではなく、時代の空気や語られ方によって少しずつ塗り替えられていく。かつて共有されていたイメージが、気付かぬうちに現状とかけ離れていることも珍しくない。再開発や情報接触の変化を背景に、街がどのように見られてきたのかを捉え直すことは、現在の評価を読み解く手がかりとなる。
東京都と埼玉県在住の18~45歳男女900名を対象に、池袋の治安イメージと再開発に関する意識調査がCHINTAIによって実施された。
調査結果によると、平成期に「池袋の治安は悪い」と感じていた割合は47.8%と約半数にのぼっていた一方で、令和の評価では「非常に悪い」「少し悪い」と回答した割合が合計35.8%にまで減少し、「普通」「良い」と評価する層が約6割を占める結果となっている。
調査では、平成期の治安イメージ形成にニュース報道や実際の訪問印象、ドラマや映画などの作品媒体が寄与していた一方、令和ではSNSを通じた情報接触が順位を上げるなど、情報収集手段の変化がうかがえる。
また、令和の治安が良くなったと感じる理由として「再開発により街がきれいになった」や「公共空間の整備」といった景観の変化が挙げられており、防犯設備の増加や巡回の充実といった実感に結びつく要素も一定程度認識されている。
さらに、西口再開発を認知している回答者は55.6%に達し、「街が明るくなった」「治安が良くなった」といった肯定的な印象を持つ声が見られた。
ただし、「特に変わらない」とする回答も過半数となっており、治安イメージ改善は一様ではないことが明らかとなった。
居住意向については約3割が「住みたい」と回答し、利便性の高さが評価される一方で、「治安が悪いイメージ」「家賃の高さ」「繁華街の雑多さ」が居住判断に影響する要因として挙げられている。
この結果は、池袋の治安イメージにおいて平成から令和への変化が進む一方で、居住意向における足かせとして過去のイメージや街の性質が残存していることを示している。
街に対する印象は、一度定着すると長く残る一方で、実際の姿とは少しずつずれていくことがある。再開発や環境の変化が進んでも、評価が追いつくまでには時間がかかる。本調査は、街の現在地と人々の認識との間にある差を示すものであり、評価が更新されていく過程そのものを映し出しているといえるかもしれない。



















