フォルダ構成から仕様書作成、開発ガイドラインまで、独自ノウハウを披露
「とほほのWWW入門」作者・杜甫々さん “10年先を見据えた”プロジェクト管理術を語る
Webに関する技術サイト「とほほのWWW入門」を、30年間ひとりで運営してきた杜甫々(とほほ)さん。同サイトは個人活動だが、本職であるソフトウェア開発でも複数の長期プロジェクトに携わってきたという。
Backlogのユーザーグループ・JBUGは、2025年11月29日、プロジェクトマネジメントの祭典「Backlog World 2025」を開催。杜甫々さんの招待セッションでは、彼がソフトウェア会社で実践してきた、プロジェクト管理における数々の工夫が披露された。
「とほほのWWW入門」を始め、長期プロジェクトに携わり続けた
1996年に開設された「とほほのWWW入門」。プログラミング言語やフレームワークなど、Web技術の入門情報を網羅的に発信し続けており、最近では、陶磁器や洋楽、中国語、韓国語、タイ料理にまでコンテンツを広げている。「2025年は尻を叩かれて、AIの記事も載せている」と杜甫々さん。
インターネット黎明期には、同サイトでHTMLコーディングやCGIプログラミングを学んだ古参の読者も多いだろう。杜甫々さんもインターネット歴38年であり、「インターネット老人会の会長を目指している」と会場を和ませた。ちなみに、“杜甫々”はハンドルネームで、本名ではないという。
そんな杜甫々さんは、大学卒業後、1988年にメーカー系ソフトウェア会社に入社。入社後はさっそく、UNIXにTCP/IPを移植するプロジェクトに参加したという。その後、ネットワーク管理システム(1990年~現在)、セキュリティ管理システム(2002年~現在)、クラウド管理システム(2013年~現在)と、今なお続く長期プロジェクトの数々に携わってきた。なお、会社自体は2025年10月に定年退職を迎えたばかりだ。
ここまでプロジェクトが長期化すると、仕様書だけでも1000枚を越え、メンバーの入れ替わりで知識の断絶も発生する。ここからは、杜甫々さんが「得意分野ではない」「細かで古い話」との前置きの上で披露した、プロジェクト管理で実践してきた工夫を紹介する。
フォルダ構成:誰もが目当てのファイルに辿りつく「10年フォルダ」
まずは、「フォルダ構成」における工夫だ。長期プロジェクトでは、ファイルのバージョンアップ(v1.1、v1.2…)やバグフィックス(v1.1.1、v1.1.2…)を重ねるうちに、「どこに何があるかわからなくなる」問題が発生する。
そこで杜甫々さんが推進してきたのが、10年経っても乱れない「10年フォルダ」と呼ぶフォルダ構成だ。具体的には、「バージョンに依存するファイル群」と「依存しないファイル群」を完全に分離させるのがポイントだという。
例えば「v3.2」に関連する仕様書は、バージョン依存ファイルを管理するフォルダにあるv3.2フォルダ直下にのみ保存する。そして、“最新の仕様書”はバージョンに依存しないファイルとして別フォルダで管理する。これを徹底することで、新メンバーでも目当てのファイルにすぐに辿り着ける。
ただしこの運用では、バージョン依存と非依存の両方の仕様書を書く必要がある。それに対し、「v3.2の仕様書では2行ほどしか記載せず、詳細は最新仕様書にリンクで飛ばし、同じことを複数の仕様書で書かないようにしていた」と杜甫々さん。
さらに、「リリースが終わればバージョン依存のフォルダは捨てるくらいの気持ち」で運用するのがよいという。結局のところ、重要なのは「最新の仕様」であり、10年後に保守しているメンバーは、古いバージョンの仕様など読まないからだ。
細かな工夫としては、大本のフォルダ名に2桁の固有数字を付与している。“マウス嫌い派”である杜甫々さんは、この数字を利用してキーボードのみでエクスプローラーを移動していたという。





