再生アルミをまとった「Samsung T7 Resurrected」レビュー。性能と環境配慮を両立する、これからのストレージ選び
ポータブルSSDを選ぶ際、まず目がいくのは「転送速度」や「容量」だろう。特に、膨大な素材を扱うクリエイターや、読み込み速度が勝敗を分けるゲーマーにとって、スペックの高さは何より重視すべきポイントであるはずだ。
しかし最近では、そうした目に見える数値に加えて、メーカーがどのような姿勢で製品を作っているかという点も、無視できない要素になりつつある。すでに気づいているユーザーも多いだろうが、昨今のガジェットのパッケージからは発泡スチロールやプラスチック素材が姿を消し、紙や段ボール素材へと置き換わりつつある 。こうした「脱プラスチック」へのシフトは、環境負荷を低減するための重要なプロセスだ。こうした持続可能な社会の実現に向けた取り組みの積み重ねが、今メーカーに問われている。
SamsungのポータブルSSD「T7」の派生モデル「T7 Resurrected」は、そうした持続可能な社会の実現に向けたプロダクトの形だ。最大の特徴は、ボディに100%再生アルミニウムを採用したこと。定評のあるパフォーマンスはそのままに、環境への配慮という視点をプラスした。Samsungが示したこの一歩は、これからのガジェット選びにおける新たな評価基準を、ユーザーに提示するものになるだろう。
再生アルミニウムが示す、Samsungの新しい「スタンダード」
今回の新製品の投入において最大の注目点は、ボディ素材に「再生アルミニウム」が採用されたことにある。
これまで、多くのデジタルガジェットにとって「環境配慮」と「プレミアムな質感・性能」を両立させることは容易ではなかった。しかしSamsungは、主力製品であるT7のボディを再生素材へ切り替えるという挑戦をしてきている。ポイントは、再生アルミニウムを採用しながらも、従来のモデルと比べてデザインや質感、そして冷却性能に変わりがないことだ。
これは、Samsungが「環境への配慮を理由に、ユーザーに品質の妥協を求めない」という姿勢を示した結果と言える。持続可能な社会の実現に向けた取り組みは、もはや一部の熱心な層だけのものではない。普段通りの「良いもの」を選んだ結果、それが自然と環境負荷の低減に繋がっていることが、新しいガジェットの在り方なのだ。
使われる「再生アルミニウム」とはどんな素材なのか
ここで、今回の核となる「再生アルミニウム」について簡単に説明しておこう。この素材は単にどこからか集めてきた廃材ではなく、実はSamsungのスマートフォン製造工程と密接に関わっている。
Samsungのスマートフォンに採用されている「アーマーアルミニウム」のフレームは、1つの金属ブロックから削り出されるが、実際に製品として使われるのはそのうちの約10%に過ぎない。残りの約90%は、これまで製造工程で発生するアルミニウムスクラップとして扱われてきた。
Samsungはまず、このアルミニウムスクラップを活用する試みを「T7 Shield」で行ない、循環型素材を用いた製品開発の可能性を検証してきた。
そして「T7 Resurrected」では、その取り組みをさらに発展させ、筐体に100%再生アルミニウムを採用。再生素材を前提としながらも、デザインや質感、冷却性能といった従来モデルの完成度を維持するレベルにまで仕上げている。
再生アルミニウムを採用するメリットは、大きく分けて3つある。
1つ目が、圧倒的なエネルギー効率の高さだ。アルミニウムを一から(鉱石から新地金として)製造する場合に比べ、再生アルミニウムは溶解と再成形だけで生産できるため、必要なエネルギーを大幅に抑えることができる。これに伴い、製造過程におけるCO2排出量も劇的に削減されるのだ。
2つ目に、資源の有効活用である。例えば、約35トンの再生アルミニウムがあれば、約80万個ものT7用のボディを生産することが可能になる。スマートフォンの生産ラインから出る「端材」を、別の主力製品の「主役」に変えるこのサイクルは、資源を無駄にしない極めて合理的な仕組みと言える。
そして3つ目に、品質の維持だ。再生素材だからといって、アルミニウム特有の軽さ、熱伝導率の高さ、そして堅牢性が損なわれることはない。ユーザーはこれまで通りの高いパフォーマンスを享受しながら、自然と環境負荷の低減に加担できる。性能に一切の妥協をせず、賢く未来に貢献する。これこそが、最新のストレージが提示する真の価値なのである。
なお、「T7 Resurrected」は、こうした環境配慮と製品設計が評価され、「CES 2026 イノベーションアワード」を受賞している。
受賞に至った背景や、再生素材を用いた製品開発に込めた思いについては、Samsung公式サイトに掲載されている開発者インタビューで詳しく語られているので、関心のある方はあわせてチェックしてみてほしい。



