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81プロデュースとイレブンラボジャパンが業務提携

声優の声を“正規に”AI音声化し、28ヵ国語に多言語展開。その背景は?

2025年12月16日 19時05分更新

文● 貝塚/ASCII

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81プロデュースとイレブンラボジャパン、業務提携

 声優事務所の81プロデュースと、AI音声技術を手がけるイレブンラボジャパンが業務提携を発表した。

 提携の背景にあるのは、生成AIの進展とともに顕在化してきた「声優の声の無断利用」という業界全体の課題だ。

 近年、声優の声を学習したAI音声が、本人の許諾なく使われる事例が国内外で増えている。日本のコンテンツ産業において、「声」は重要な文化資産であり、その保護と正当な活用のルール作りは避けて通れないテーマだ。1981年に創業し、多数の声優を抱える81プロデュースが、業界に先駆けて本提携に踏み出した意味は小さくない。

提携によって、何が実現する?

 同社は今後、所属する声優の声を随時、イレブンラボの技術を使って登録する。登録した音声をもとに、許諾を得たアニメ、ナレーション、番組といったコンテンツを多言語化していく。

 イレブンラボは今回の提携に際して、「元の声優の声はその魅力を損なうことなく、29ヵ国語もの多言語に生成されるそのコンテンツがグローバルに配信され、世界中のファンが、元の声優の声のニュアンスを保ったまま各言語で作品を鑑賞可能になる」と説明。

 またイレブンラボは、VoiceCAPCHAやデジタル透かし、C2PAへの準拠といった技術を通じて、声の権利と出所を明確にし、不正利用を防ぐ仕組みを構築している。

 つまり、声優の声を無秩序に使うのではなく、“正規の”管理下でグローバル展開につなげる仕組みを整える取り組みだ。

 今回の提携は、生成AIをめぐる混乱が続く中で、声優の声を「守りながら使う」ための動きが、具体的な形として表れた事例のひとつと言えるだろう。

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